【漫画】帰宅した女学生が、台所で見たものは……一見上手なホラー作品がプロ漫画家の添削で激変
各種アプリやウェブサービス、SNS等の隆盛により、漫画やイラストを発表する場が急増している昨今。ウェブ発の人気作品も多く登場するようになり、独学でプロを目指すクリエイターも増えているようだ。そんななかで、ステップアップのためのポイントを解説する「添削動画」が、YouTubeを中心に人気を博している。
なかでも15万人を超えるチャンネル登録者を抱え、常に高い視聴回数と高評価を記録しているのが、元週刊少年漫画誌の連載作家・ペガサスハイド氏だ。視聴者から寄せられるイラストや漫画は、素人が見ればすでにハイクオリティに見えるものが多いが、それをプロの目線で細かく添削し、実際に手を入れて、見違えるような作品に仕上げてしまう。あくまで本人の長所を生かしながら、優しく的確にアドバイスを送る様子が気持ちよく、クリエイターでなくても楽しめる動画になっている。
12月5日公開の動画で取り上げられたのは、おどろおどろしいホラー漫画だ。グロテスクな描写があるため、動画を見る際には注意が必要だが、いつものように学校から帰宅した女学生が、台所で凄惨な光景を目の当たりにしてしまう……という内容で、言葉を失う女学生の反応にリアリティがある。
ペガサスハイド氏はいつものように、この作品の「良いところ」から分析していく。いわく、「作者が伝えたいことが伝えられている」。情景の描写がわかりやすく、セリフやナレーションがなくても、何が起こっているかが伝わってくるということだ。そして、「全体的におどろおどろしい雰囲気が出せている」。1コマ目には暗がりのなかにたたずむ「家」が描写されているが、確かに、いかにも悪いことが起こりそうな雰囲気があり、冒頭から「怖い漫画だ」ということを読者に伝えることに成功している。
それでは、この漫画をプロが添削するとどうなるのか。ハイド氏は帰宅した女学生がまだ異変に気づかない段階のコマで、ダイニングに広がる凄惨な光景の「シルエット」を描いた。「日常」から「非日常」へのシームレスな展開を生むことで、見せゴマのインパクトをより高めたのだ。また、元の漫画では、ショックを受けた女学生が「え……」と言葉を失う様子が描かれているが、ハイド氏は「……!!」と、吹き出しを変更。声も出ないほどの衝撃を表現し、怖さを強調している。
一方で、コマの割り方など、漫画初心者に対する基本的なアドバイスを忘れないのも、ハイド氏の添削動画が人気を集めている要因だ。また、普段にも増して画力への指摘が多く、その理由として「ホラーやサスペンスは、絵が上手でないとギャグに見えてしまう」というポイントを挙げている。なるほど確かに、グロテスクで怖く見えた元の漫画も、角度を変えてみると、人によっては絵柄の違和感が笑いにつながってしまうかもしれない。
ファンタジーからラブコメ、ギャグにホラーまで、ジャンルを横断して展開する、ペガサスハイド氏の添削動画。「人に伝える」ことにフォーカスした内容は、漫画やイラストに限らず、様々なクリエイティブや日常のコミュニケーションにおいても、役立つ知見が満載だ。気になる人は、チャンネルをチェックしてみよう。