小林直己が語る、夢を追い続けることへの覚悟 「あえて発信することで、自分に発破をかけている」

小林直己、初自伝的エッセイを語る

 EXILEパフォーマー/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEリーダー兼パフォーマー・小林直己による著書『選択と奇跡 あの日、僕の名字はEXILEになった』が、文藝春秋より2021年11月24日に刊行された。同書は「文藝春秋digital」にて連載された「EXILEになれなくて」に加筆して完成させた1冊で、小林の視点から見たEXILEというグループの姿が、小林自身のさまざまな悩み、葛藤、希望、そして決意とともに綴られている。同書を執筆するにあたって、小林はどんな想いを抱いていたのかーー。大人気音楽グループの一員として活動する人間の素顔に迫った。(編集部)

小林直己が語る、著書『選択と奇跡』に込めた想い

自分を再発見することもありました

小林直己『選択と奇跡 あの日、僕の名字はEXILEになった』(文藝春秋)

――これまでにもHIROさんが発表された『Bボーイサラリーマン』を始め、さまざまなメンバーさんがEXILEの歴史を執筆されてきましたが、『選択と奇跡 あの日、僕の名字はEXILEになった』は、加入前の“外から見たEXILE”と加入後に“EXILEの一員として感じたこと”の両面が、直己さんならではの視点で描かれていて興味深かったです。文藝春秋digitalでのweb連載『EXILEになれなくて』をもとに構成されていますが、執筆するにあたって特に大事にしていたことはなんでしょうか?

小林:どのエピソードも出来事としてはファンのみなさんも知っていることかもしれませんが、そこに至るまでの経緯は僕らメンバーにしかわからないことなので、その時々で僕が感じていたことをそのまま書こうというのは、web連載をスタートさせた頃から思っていました。ただ、連載を始める前はLDHで学んだ10年間のことを書こうと思っていたんですけど、連載をスタートしてまもなくコロナ禍に突入したため、もともと書こうと思っていた内容が現状に合わない月が出てきたんです。たとえば、ライブのことを書こうと思っていたら緊急事態宣言で中止になってしまった、とか。そういう書くことで自分の考えが整理されるから、明日がわからない状況の中で書いていくと、なおさら“今自分が考えていること”が素直に反映されていって。連載が進むにつれて、最初に思い描いていたものからどんどん方向性が変わっていきました。

――ということは、今ご自身で読み返したら、書いた時とは違う気持ちになっている内容も……?

小林:ありますね。書きながら自分を再発見することもありましたし、先の見えないコロナ禍では、3ヵ月前と今とで状況がガラッと変わっていたりするので。僕も出版するにあたって、1回全部書き直したほうがいいんじゃないか?と編集さんに相談しました。でも、ある方に「その時に感じたことを載せたほうがリアルだし、それを経て『選択と奇跡』というキーワードに辿り着いたんだから、ありのままでいいよ」と背中を押していただいて、あえて修正を加えることなく出版することになりました。だから、恥ずかしい部分もあり、間違っているところもたくさんあると思います。校閲も自分でしたんですけれど、正直自分でも、読みにくいところもあるなと思いました。でも、あえてそのまま載せてあります。

――その上で付けたタイトルが、『選択と奇跡 あの日、僕の名字はEXILEになった』。“選択と奇跡”という言葉に込めた想いも教えてください。

小林:このエッセイにはコロナ禍で過ごした約1年半のことが書かれていますが、その中で僕は、パフォーマンスすることが自分にとってどれほど支えになっていたか、ということをものすごく思い知りました。自分が表現したものを受け取ってくれる人がいることで、自分の存在を実感していたんだなぁって……。と同時に、これまでこういったピンチをどう乗り越えてきたか?を思い返したら、たくさんの選択をしてきたことや過去にもたくさんの方に支えられてきたことにも、改めて気づいて。その1つひとつが奇跡であり、全ての結果として今の自分がいるんだと思えたんです。

――大小さまざまな奇跡が重なり合って軌跡になっていたんですね。

小林:そしたら、おのずと自分に関わる全ての人への感謝の気持ちが込み上げてきて。だからこそ、自分は夢に向かって挑戦をすることをやめてはいけないと、身動きのできない日々の中で鬱屈していた気持ちから解放されました。そういう経緯があったので、新たに執筆したあとがきも〆切のギリギリまで悩んで書き上げましたし、タイトルにも同様の前向きな想いが込められています。

――タイトルに『あの日、僕の名字はEXILEになった』と添えたのはなぜですか? EXILE TAKAHIROさんのように“EXILE”を名前に付けている方と違い、直己さんは“小林直己”名義で活動していらっしゃるので、名字は小林では?と思って(笑)。

小林:あははは。ちょうど最近、TAKAHIROにも同じようなことを言われました。EXILEメンバーの会議で「こういうタイトルで本を出版させてもらいます」と報告したら、「直己の名字、EXILEじゃなくない? EXILE NAOKIじゃなくなったよね?」って(笑)。

――EXILE第四章が始動する時に改名されましたもんね。

小林:そもそも当時の想いとしては、それまではEXILEの中で甘えていた部分があったので、EXILEに対して自分がどういうものを提供できるのか?を自分と向き合って発見したい、という気持ちで改名したんですよ。自分は弱いので、そうやって1つひとつ取り組んでいきたいと思って。でも改名したことで、グループ外の仕事をいただく機会も増えましたし、逆にグループの重みを感じることも増えました。

 じゃあ、なぜ今『あの日、僕の名字はEXILEになった』をタイトルに加えたかというと、そんなEXILEと真剣に向き合ったからこそ、自分はどうなんだ?と考えることができたからです。 自分なりのEXILEはどういうものなんだ? EXILEの中にいないとEXILEは表現できないのか? という自問自答を繰り返していくと、EXILEとはもしかしたら”生き方”のことかもしれないなと思って。

――アーティストである以上に生き方である、と。

小林:だから、僕の大きなターニングポイントとして、加入してEXILE NAOKIになった日のことをタイトルに記すことにしました。それと、編集さんに「タイトルにEXILEって入れてください」と言われたっていう、大人の事情もありますね(笑)。

――ここでも赤裸々にありがとうございます(笑)。コロナ禍では誰しもが、何が正解かわからない状況で選択することの難しさを痛感していると思いますし、さまざまな選択をして夢を掴んできた直己さんの言葉に救われる方も多そうですね。そういった読者のことも、執筆しながら考えていましたか?

小林:そうですね。この本には僕の“選択と奇跡”が書いてあるんですけれど、僕が体験したことを知ることで、みなさん1人ひとりの“選択の奇跡”がリマインドされたらいいなと思いますし、この本がご家族や友人、恋人と会話するキッカケになったら嬉しいです。それが実現したら、いつもはグループでやっているエンターテインメントに通ずるものがあるなと思いますし、僕が執筆した意味があるなぁと感じます。

――本文にも、執筆する理由の1つとして「言語化できないエネルギーを言葉として表現したい」と記されていましたが、エネルギーが言葉を通して伝わったかどうかが、そこで証明されるわけですね。

小林:自分自身が、コロナ禍で音楽や映画といったエンターテインメントの力に救われたように。SNSを通してファンのみなさんが届けてくれる言葉から、こんなに待っていてくれる人がいるんだ!と自信をもらったように。この本も読んでくださった方にとって、そんな存在になったらいいなと思います。

――とはいえ、言葉が持つ力を実感する直己さんだからこそ、自分の考えを発信したり、書籍として形に残すことに対する怖さもあるのではないでしょうか。

小林:文章が残るっていう怖さはありますね。心配する方向が少し違いますが、後々発言の一部分だけが切り取られてネットニュースになったら嫌だな、とか思います(笑)。でも、僕がやっている職業はそういうものだと割り切っている自分もいますし。今感じているポジティブな気持ちを伝えたり、新たに見えているヴィジョンをこれから叶えていく上で、「これまでの自分はこうだった」と書き切れたことは、すごくよかったなと思います。それも本を発表して一区切りつけたいと思った理由の1つかもしれません。



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