【漫画】もしも“幸福度”が数字で見えたら? Twitterで話題『人の幸福度が見える女の子の話』が深い

ーーもしも将来の幸福度を知り得たらなど、様々な想像が膨らむ作品でした。創作のきっかけを教えてください。

なまくらげ:私は今までは二次創作物を中心に投稿していたのですが、今年から一次創作にまつわる活動も始めました。本作は2作目の一次創作物です。

 人の行動原理や哲学的なことを考えることが好きで、自分が日々を過ごすなかで考えていたことをテーマに本作をつくりました。

ーー人の幸福を作品の題材とした理由はどんなところにあったでしょうか。

なまくらげ:私は大学で経済学部に所属していました。経済学は人の幸せを追求する学問のひとつです。そんな経済学には、人の行動指針の一つとして、各々の選択によって得られる主観的な幸福度を表した「効用」という考え方があります。これを漫画のテーマとしてつかえないかと思い、本作に落とし込みました。

ーー周りの生徒よりも低い幸福度を示した女子生徒「舞花」さんを描くうえで、特に意識した点はありますか。

なまくらげ:今が幸せでも、将来はどうなるかわからない。その例として彼女を描きました。これまで幸せな人生を歩んできたような明るい人でも、生涯の幸福度がマイナスの数値になるかもしれません。彼女の姿から、予期することができない人生に今後どんなことが待ち受けているんだろうかと考えていただければうれしいです。

ーー舞花さんの「絶対に幸せになるぞーって/毎日楽しく過ごすしかないかな!」という言葉から、彼女の思想や価値観を感じました。

なまくらげ:これまで幸せだった舞花は、これから不幸の道を歩んでいく必要があります。不幸を感じた瞬間に彼女が命を絶ってしまうと、生涯の幸福度である幸福と不幸の総量が釣り合いません。不幸を感じながらも幸福度が「-28」になるまで生き続けるためには、前向きな思想をもっていないとむずかしいと思います。これから不幸の道を歩む舞花の前向きさを表すため、彼女の台詞を選びました。

ーーもしも、なまくらげさんが自分の幸福度を知り得たら?

なまくらげ:むずかしいですね。もし自分の幸福度がマイナスであっても、これまでの人生がとても不幸なものであったら、そのあとは幸福のまま人生を終えることができるかもしれません。

 幸福度の値に限らず、将来を予想して、どんな人生になるか悩みながら日々を過ごしていくのかなと思います。もし本当に駄目だったら、舞花が話したようにあきらめてしまうかもしれません。

ーー本作にまつわる感想や考察が多く見られました。

なまくらげ:読者のなかには、舞花と主人公は自身の幸福度を知ってしまったからこそ、マイナスの幸福度を示したのではないかという捉え方をしてくださった方もいました。幸福度の値を知ってしまったことで幸せになるか、不幸になるかは人それぞれだと思いましたね。

ーーなまくらげさんが作品を投稿する理由を教えてください。

なまくらげ:二次創作は好きなキャラクターを描くことに喜びや楽しさを感じていました。しかし、いつも悩んだり考えたりしていることをかたちにしたら面白いと思い、一次創作物もつくるようになりました。

 自分の考えたことを作品にする過程で思考が整理されることを感じています。また漫画を投稿することで読者の方から感想をいただくことができ、こんな考え方があるのかと刺激を受けています。そんな作者と読者の相互作用が生まれることが面白いと感じています。

ーー今後の活動について教えてください。

なまくらげ:同人活動や趣味として漫画を描き続け、即売会などのイベントに参加できればと思っています。漫画の創作と物事を考えること、2つの趣味を両方楽しんでいきたいですね。

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