【漫画】孤独な老猫の運命は? 『とある老猫とユウコチャンの話』が泣けると話題

ーー今回の反響を受けての感想をお聞かせください。また印象に残った読者からの感想はありましたか?

伊達しのぶ(以下、伊達):こんなに反響があるとは思っていませんでした。実際に猫を飼っていた方から頂いた感想が多く、「うちの猫も18歳まで生きていました」など実際の経験を聞けたことが印象的でしたね。

ーーだれかと生きることや大切な存在の死について考えさせられる作品でした。本作を創作したきっかけを教えてください。

伊達:友だちとその友だちが飼っていた猫がモデルになっています。友だちの猫と触れ合うなかでお話を思いつきました。

 私は猫を飼ったことがないので、実際に猫を飼っていた人の気持ちを完全に理解ことはできないと思います。ですが「猫を亡くしたときの悲しい気持ちが救われた」という声をもらえたことで、本作を描いてよかったと感じました。

ーー猫と人間が織り成す関係が印象的でした。

伊達:昔と今とでは、ペットの飼うことの価値観が少し変わってきていると感じています。最近は家族としてペットを迎えている方が多い印象です。また最近は未婚率も高まっているので、ユウコチャンのように孤独を埋めるかたちとしてペットを飼われているのかもしれないと思います。

ーー旦那さんや子どもが欲しいと話す「ユウコチャン」と、ひとりでいることに慣れている野良猫の「ヨル」。対象的なふたりを描いた理由を教えてください。

伊達:本作のテーマを表現するために、孤独にはなりたくないユウコチャンと、孤独を受け入れているヨルを描きました。

 実は、ノラ猫のヨルはいっぱい生んだ子猫を亡くしているという設定なんです。だからヨルはどれだけ寄り添っても最後はひとりになるのだと感じています。私自身も、友人がいても結婚しても、生きているなかでは人間は誰しもがひとりであり、他の誰かにはなれないということを常々感じています。

 友だちの悩みを聞いていても、私はその人じゃないので気持ちを完全に理解することは不可能だと思うんです。同様に、私のわかってほしいと思うことが伝わることも難しい。そんな人間の孤独さを表現したいと思い、本作は「孤独とどう向き合うか」をテーマにして対照的なふたりを描きました。

ーー本作を描くうえで工夫した点を教えてください。

伊達:漫画を描く際には、一般的にプロローグやエピローグ、物語の見せ場などを意識して「ネーム(漫画の設計図)」をつくると思います。しかし私はネームはつくらずに下書きを描き始めているんです。自分の思ったままに描いているので、工夫しているところを聞かれると答えることが難しいですね(笑)。

 自分の感情のままに描いたので、ヨルとユウコチャンが抱き合ったシーンは私も泣きながら描きました。

ーー今後の活動や目標について教えてください。

伊達:商業の漫画家として活動できればという思いは昔からあったんですけど、今は自分のペースで描き続け同人誌にまとめたりイベントに参加したりすることもいいなと思っています。人がどう思うかということよりも、自分が描きたいものを描くことを貫き通していきたいですね。

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