『チェンソーマン』作者も絶賛! 女子高のリアル描く『女の園の星』大ヒットの理由
熱い視線が注がれる『女の園の星』の2巻の見どころは星先生をはじめとした、謎に包まれていた先生たちのプライベートが濃く描かれる点だ。
例えば数学科の担当であり2年3組の担任を務める「小林先生」の弟が登場し、週末に家に来るような関係であることが明かされる。また中学時代の星先生の写真や、教室で飼っていたクワガタとの思い出も語られる。第1巻でも星先生の酒癖について明かされたが、今回は小林先生の家族や星先生の過去にも焦点が当てられるのだ。
女子生徒の一人が食事中の星先生を見て「ウケる」と発する一コマがあるが、第1巻では、別の生徒が書いた星先生の観察日記でも、食事をする先生を見たときの心境が記載されている。
5月20日(水)
職員室に行ったら
星先生がサンドイッチを食べていた。
当たり前だけど
「この人ごはん食べるんだ」と思った。
(文:鳥井毬子)
彼女たちの教師に対する印象について、作者の和山氏自身も同様の心境を抱いていたことをインタビューで話している。
それと、私は学生時代、教師を人間だとは思っていませんでした。悪い意味ではなく、「教師は教師」でしかありませんでした。(中略)「あ、この人笑うんだ」と、人間なので当たり前のことですが、生徒が普段見ることができない先生の顔に、ドキッとしたりしたものです。
(特集放送直前!『女の園の星』和山やま先生スペシャルインタビュー/フィール・ヤング / on BLUE 編集部)
子どもたちが学校で過ごす時間は多いが、教師との接点は授業や部活動など限られたひと時であるはず。生徒から見えないところでカロリーメイトを食べたり、トイレで歯を磨いたり、お掃除ロボットを愛おしく思ったりする教師たち。本作は自分が生徒だった頃には見えていなかった、教師のリアルで人間的な一面を知ることができる。
2巻に収録されるエピソードで、自習中に騒ぐ女子高生を星先生が注意するシーンがある。彼女たちを見ながら発した星先生の心の声は、作中で初めて描かれた心境であった。先生のプライベートな一面に加え、これから先生の内面も明かされていくのだろうか。続きが気になって仕方がない。
■あんどうまこと(@andou_ryoubo)
フリーライターとして漫画のコラムや書評を中心に執筆。寮母を務めている。