学園漫画『SKET DANCE』はなぜ読み継がれる? ラストエピソードの衝撃展開から考察

『SKET DANCE』ラストエピソードを考察

 2007年から2013年まで連載し、幅広い年齢層に支持された学園漫画『SKET DANCE』(集英社)。学園漫画の設定を活用した秀逸なギャグが特徴的な本作だが、よく作り込まれたストーリーも大きな魅力だろう。様々なエピソードが作中では描かれたが、最後の長編エピソードとなったのが、ある1人の中学生と向き合う「ラストダンス」だ。『SKET DANCE』にしては長い、6話を跨ぐほどの長編となったこのエピソードには、ある秘密が隠されていた。そこで本記事では「ラストダンス」と“『SKET DANCE』における読者の1番の関心”について紐解いていく。

 コミックス最終巻の冒頭より開始した「ラストダンス」。本編は開盟学園に新理事長・一丸龍成が就任し、無茶苦茶な学園改革案を打ち出す場面から始まる。“男女間での会話禁止”や“クラスを男女別にする”など明らかに行き過ぎた学園改革案に直談判を試みるボッスンだが、一丸はそれを一蹴。そして彼は個性の排除が目的だとして、中学3年生の自身の息子・友貴をボッスンに見せる。挨拶するボッスンを無視する友貴。実は友貴は個性の強さゆえにいじめらた経験があり、1年以上言葉を発さずに過ごしていた。

 それを聞いてもなお「自分の周りには個性が強くても楽しく過ごしている奴がいる」と話すボッスンだが、一丸は聞き入れない。そして議論の結果、“文化祭の3年C組の出し物で友貴が喋れば、個性は必要と認め学園改革案は取り消す”という結論となった。こうしてスケット団最後の仕事が幕を開けるのだった。

 出し物の内容を、各々の個性を活かした「劇場型ウォークラリー」に決めたボッスン達は準備を進める。友貴も準備の見学に来るようになり順調かに見えたが、突如文化祭に参加しないと表明する。焦るクラスメイトをよそに、最初から友貴のいじめの原因と、喋らない理由が気になっていたボッスンは、ひとり「集中モード」に入る。

 文化祭当日、3年C組には友貴の姿があった。ボッスンに「喋らない理由がわかったから必ず来てくれ」と告げられていたのだ。楽しそうにボッスン達の出し物を体験する友貴。しかし全てを周っても、友貴は口を開かない。私の勝ちだと話す一丸だが、それに「オレが友貴を喋らせる」とボッスンは返す。ボッスンは友貴に皆の前で言ってもいいかと前置きをした上で、「キミは男の子なんだね」と呟いた。

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