『絶対可憐チルドレン』物語はいよいよ佳境へ 強く可憐な少女たちの成長を振り返る
「週刊少年サンデー」の長期連載作品ーー『絶対可憐チルドレン』。この作品は『GS美神 極楽大作戦!!』などで知られる椎名高志の最新作である。2005年の連載開始から15年の月日が流れた今、物語はいよいよ最終決戦に突入する。
高校生編もいよいよ佳境
この物語は、様々な力を持った超能力者が存在する架空の世界が舞台。「B.A.B.E.L.(バベル)」と呼ばれる日本最高の超能力者が集う機関に属する少女3人とその指揮官が主人公。
少女たち3人は「ザ・チルドレン」と呼ばれ、世界でも最高クラスの能力を誇る超能力者である。念動能力者の明石薫、瞬間移動能力者の野上葵、接触感応能力者の三宮紫穂。そんな彼女たちを率いるのは超能力研究者である皆本光一。
『絶対可憐チルドレン』は3部構成で物語が作られている。小学生編、中学生編、そして最後を締めくくる高校生編。物語に合わせてチルドレンは成長しており、現在彼らは高校生。この物語当初から「防ぐべき未来」として皆本に示唆されている未来ーー世界中で超能力者と一般人とが争い合う世界がすぐそこまで来ていた。
人々を惹きつけるクイーンの魅力
3人のチルドレンの中でも物語の中心的人物となっているのが明石薫ーー破壊の女王だ。彼女はモテる。特に同性からの人気は根強い。同じチルドレンの紫穂や葵はもちろんのこと、最初は敵であった澪や悠理にまで強い好意を抱かれている。そのままの自分をまっすぐに認めてくれるところに人々は惹かれていくのだろう。
この魅力は超能力者の中ではある種のカリスマ性となって発揮される。当初は彼女がクイーンとなることに懐疑的であったカタストロフィ号の面々も、彼女をクイーンの椅子に座らせ今ではその事実を受け入れている。
彼女に最高レベルの超能力があることで「何とかしてくれるかもしれない」「この状況を打破できるかもしれない」と自分では越えられないものを越えてくれる期待感を超能力者たちに抱かせる。そしてそこに「超能力者を助けたい」という裏表のないまっすぐな想いが加わる。
この2つが備わっている限り、彼女は超能力者のクイーンとなるだろう。能力だけではないカリスマ性で人々を魅了し続ける未来が見える。
アップデートされていく服装がキャラクターの魅力を引き立てる
ここから先はクイーンに限ったことではないのだが、『絶対可憐チルドレン』はとにかく女の子たちが魅力的だ。可愛い女の子にカッコいい女性が盛りだくさん。キャラクター達の性格によるところも多分にあるが、その魅力の一端に「服装がおしゃれ」ということもあげられると感じている。
『絶対可憐チルドレン』では女性陣の服装がトレンドに合わせて変化していく。『GS美神』を連載していたことから分かるように、作者の椎名高志はそれなりのご年齢のしかも男性である。が、女性陣の服装のトレンドが年の流行りに合わせてしっかりアップデートされているのだ。
「これ週刊少年サンデーだよ? 少女漫画誌じゃないよ? 毎週そこみてる読者どんくらいいるの……?」と一読者である筆者は疑問に持ってしまうのだが、この女性服の研究には「女の子を魅力的に描く」という作者の強い意志を感じさせられる。
それは女の子のニーソックスと足の境目がまっすぐではなく、少し肉が乗った描写にされているところからも感じられる。この女性の服装にリアリティさが感じられるところも絶対可憐チルドレンの隠れた魅力の一つではないだろうか。
チルドレン3人の服装もそれぞれに個性がある。紫穂はレースやフリルをあしらったいわゆる「女の子らしい」服装。葵はシンプルで少しスポーティーな服装。そして薫はその中間辺りの服装として描き分けられている。
トレンドに100%寄せた服装というわけでもなく、古臭すぎもしない。適度に読者に「今」を感じさせ読者受けする服装。そのちょうどいい匙加減が男性読者のみならず女性読者も獲得している所以だろう。