米中で勢い増すオーディオブック、日本でも浸透なるか? コロナ禍で顕在化したニーズ
声優やナレーターなど“声のプロ”が朗読した本を聴くサービス・オーディオブックが現在、大きくユーザー数を伸ばしつつある。オーディオブック配信の大手「audiobook.jp」の会員数は2012年には10,000人に満たなかったものの、2019年10月に会員数が100万人を突破し、現在も会員数が伸びつつある状況だ。2020年に入ってからは、コロナ禍の影響もあり、さらに存在感を増している。
オーディオブック好調の理由
2020年に入ってからもユーザー数が伸びている要因として、以下のような理由が考えられるだろう。
・コロナ不安でスキルアップや自己研鑽への興味が高まり、学習手段の1つとしてオーディオブックを活用する人が増えている。
・YouTubeの解説動画などで、ある程度の長さがある聞き流しコンテンツにユーザーが慣れつつある
・コロナで自宅時間が増えて、仕事中に聞いたりするユーザーが増えつつある
・スマートスピーカーに適したコンテンツとして消費するユーザーが増えている
オーディオブックは、車社会である欧米や中国ではすでに浸透しており、アメリカでは7年連続で2桁成長を見せているという。中国大手のオーディオブック企業「懶人聴書」の月間アクティブユーザー数は3000万弱、1日当たりのアクティブユーザー数は1000万弱だ。1ユーザーの1日平均利用時間は約3時間、主なユーザーは16才から25才までの若者と、今後のさらなる成長が期待できる市場となっている。
日本は欧米や中国と比較すると、オーディオブックをはじめとした耳で聴くサービス(radiko、spoon、Podcastなど)は浸透しにくいと見なされてきたが、昨今のライフスタイルの変化によって、徐々にその素地が醸成されているようだ。
令和2年9月現在の国内で、ユーザー数の多いオーディオブックサービスは以下の2つだ。
・audiobook.jp
audiobook.jpは、日本のオーディオブック市場の草分け的存在であり、月額税抜き750円のサブスクリプションサービスに強みがある。ビジネス書や、小説など様々なジャンルが取りそろえられているが特にビジネス書が多い。リーズナブルな価格(税込750円)で読み放題という点が、ユーザーの呼び水になっている。
・Audible
Audibleは、Amazonが提供するオーディオブックサービスだ。Amazonの知名度と初回1冊無料キャンペーンによって大きくユーザー数を伸ばしていると推察できる。月額1500円で、好きな本を1冊読める上、2冊目以降が30%OFFなので、「好きな本をお得に読みたい層」のニーズに応えられていることが、ユーザーの増加につながっているのだろう。