もしも爬虫類が少女になったら? 『爬虫類ちゃんは懐かない』擬人化で伝える爬虫類の生態

『爬虫類ちゃんは懐かない』レビュー 

 「懐く」を国語辞典で調べると、「慣れ親しむ。慣れて付き従う」と書かれている。なるほど、この作品の爬虫類ちゃんたちは、葉中に付き従ってはいない。しかし、ナンシーもミシェルもストーリーが進むにつれて、葉中の心配をしたり、相談に乗ったりと、対等の立場で接するようになっていく。ツンデレキャラクターにしてはツンの割合が高いようにも思えるが、彼女たちは葉中が注ぎ続ける愛に応えるようになったのである。爬虫類が懐くことはなくとも、懸命に世話をすることには意味があると感じさせてくれる作品だ。

 動物を擬人化することで、その生態をより身近に感じられるのがこの手の作品の魅力である。『東京ミュウミュウ オーレ!』では、イリオモテヤマネコやピンクイルカなどといった絶滅危惧種の動物と男子高校生が融合したことで、一般的にはあまり知られていない、珍しい動物への興味を促していた。『爬虫類ちゃんは懐かない』でも同様に、爬虫類をよく知らない読者でも親しみを持てるよう可愛らしい少女の姿で描かれている。葉中に注文を付ける台詞には、爬虫類が何を食べるのか、どのような環境を好むのかといった情報がふんだんに盛り込まれている。そのため、読み進めていくうちに爬虫類に対する苦手意識は薄れ、知的好奇心が刺激されていることに気づくのである。

■誉田優
フリーライター・記者。ドラえもんと共に育った生粋の漫画好き。
Twitter:@yu__honda

■書籍情報
『爬虫類ちゃんは懐かない(2)』
佐々木マサヒト 著
価格:本体600円+税
出版社:集英社
公式サイト

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