マグロが消費者に届けられるまでのルポルタージュ『マグロの最高峰』 様々な角度からマグロについて取材

著者渾身のルポ『マグロの最高峰』

 例年、正月のニュースをにぎわすマグロの初競り。昨日、豊洲市場にて行われた2020年の初競りで1億9320万円を記録し、1999年以降では過去2番目の高値となった。本書『マグロの最高峰』(NHK出版、2019年12月10日刊)では、マグロの聖地といわれる青森県大間から、消費者の元にマグロが届けられるまで順を追って解説している。

 第一章では、本州最北端に位置する大間の一本釣りの旨さの秘密、本マグロの回遊ルート、漁法、値段の決まり方、釣れる漁師の条件、TV番組でもマグロを釣り上げる最後のシーンに登場する電気ショッカーなどについて、漁師への取材を通し解説。

 第二章では、漁師、漁協、仲卸、料理人の関係や魚河岸の仕来り、マグロの種類(本マグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンチョウマグロの5つ)、価格を左右する理由、マグロの質を決める4つの要素などを説明している。

 第三章では、日本人とマグロの縁、江戸時代に江戸では下魚として扱われていたマグロが高級化するきっかけとなったトロの誕生、初競り劇場と呼ばれるようになった人物達の登場、そして昨年、2019年の初競りの3億円突破の興奮を伝え、最終の第四章で、食べることにこだわったルポルタージュとして、鮨屋での作法や、著者お勧めの10店が紹介されている。

 著者の“人生観を変えるマグロに出会ってみたい”という想いをきっかけに、マグロについて様々な角度から密着取材した一冊となっている。

■著者 中原一歩(なかはら・いっぽ)プロフィール
1977年、佐賀県生まれ。雑誌を中心に取材記者を始め、新聞・ウェブメディアなどでも記者として活躍中。事件が起きると一番乗りで現地入りし、迫真のルポを書くことで定評がある。著書に『私が死んでもレシピは残る──小林カツ代伝』(文藝春秋)、『最後の職人──池波正太郎が愛した近藤文夫』(講談社)など。マグロの取材は長く、地方の鮨屋をめぐる「旅鮨」もライフワークとする。

■商品情報
NHK新書『マグロの最高峰』
出版社:NHK出版
発売日:2019年12月10日
定価:990円(本体900円)
URL:https://www.nhk-book.co.jp/detail/000000886092019.html

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