片寄涼太、初ソロライブで表現する“自分らしさ” “史上一番近い客席”も用意された一夜限りのプレミアライブ

片寄涼太が表現する“自分らしさ”

 本稿では恵比寿のBLUE NOTE PLACEで行われた2nd公演(21時回)をレポートする。

 1階席と2階席が吹き抜けでアーバンな雰囲気の会場では、開演前から1stアルバム『Bouquet』の世界観に合わせて考案されたオリジナルカクテルとチキンのブーケサラダプレートが提供され、特別なひとときに花を添えていた。リラックスしながら開演の瞬間を待っていると、ステージからキーボード、ドラムス、ベース、サックス&フルートのフルバンド編成によるインタールード演奏が優しげな音色を響かせる。そしてオフステージから「こんばんは!」と朗らかな第一声を発する片寄涼太がスポットライトを浴びて登場した。ブルーのシャツにセーターを重ねた温かみのあるジャケットスタイルの片寄は、一輪の白いバラを手に客席の間をぬってステージへ。客席にいた片寄の実の父に手に持ったバラを渡すという心あたたまる一幕も。

片寄涼太ライブ写真

 1曲目は『Bouquet』リード曲である「Stay or Go」を披露した。アウトロで片寄が「今日は最高の夜にしましょう」と客席に語りかけた後、2曲目「Dance the life away」では人懐こいメロウチューンのビートに自然と身体が揺れる。コーラス前のフレーズ〈喧騒の狭間で〉に込めるファルセットやアドリブでの弾む歌声には心も温まる。歌唱中の一挙手一投足もグルーヴィーに「一緒に踊りませんか?」と片寄が笑みを浮かべて3曲目「今夜はブギーバック」へ流れる。片寄は1階席、2階席それぞれに「Say Yeah !」とコールアンドレスポンスを促し、ライブ公演として“片寄涼太史上一番近い”客席との距離感ならではの交流で盛り上げる。前半最初のMCコーナーでは「キラキラをワクワクをより膨らませられるライブにしていきたいと思います」と意気込みを語った。

 4曲目「Smoky Town Rain」は土岐麻子によるサウンドプロデュース曲で、日本語の美しさと歌謡曲のようなノスタルジックさを兼ね備えた楽曲の紹介から、キーボードの伴奏に乗るボーカルの繊細な魅力が際立つ。各フレーズは静かに粒立ち、間奏にはフルートの音色も加わる。しっとりした雰囲気のまま5曲目に初ソロ曲「Possible」を繋げ、スタンドマイク前に立つ片寄のロングトーンとファルセットがのびやかにきらめく。ドラムス、ベース、キーボード、サックスの順でバンドメンバー紹介までシームレスに織り込んだ。

片寄涼太ライブ写真

 ライブ中盤のMCコーナーでは本公演前の12月18日にGENARATIONSのアリーナツアー『GENERATIONS LIVE TOUR 2025 “6IX SENSE”』を完走したことに触れ、他にもGENERATIONSメンバー6人によるプロデュース企画「PRODUCE SIX COLORS」など2025年のグループ活動も振り返った。中でも9月7日にさいたまスーパーアリーナで開催された『TOKYO GENARATIONS COLLECTION』で披露した自作文からの抜粋朗読パートは中盤パートの見せ場となった。その流れで歌う松田聖子の「SWEET MEMORIES」カバーを6曲目として歌詞の内容と自作文が共鳴しながらアウトロまで丁寧に歌い上げた。続く7曲目「サクライロ」も切ないラブソングで、アルバム初回盤に収録されたブックレットの武勇伝ページに「ゆっくりと時間をかけて一つ一つが呼吸を思いだすように」と書かれているように歌い込まれる。

片寄涼太ライブ写真

 ライブ終盤はクリスマスの思い出になるような場面がツリー下に溢れるプレゼントのように積み上がる。8曲目「tenkiame」イントロ中に片寄が客席に「みなさん一緒に行きましょ!」とフランクに提案すると、1階席と2階席が自然と呼吸を合わせて〈la la la〉と声を重ねる。客席との一体感を受け取った片寄も思わず「デビューします? みんなで」と朗らかなリアクションで返した。片寄の思いを共有する一体感のある会場に音楽の輪が生まれていた。

片寄涼太ライブ写真

 公演ラストナンバーは作詞曲「朝日のように、夢を見て」を披露した。サビのフレーズ〈あるはずのない 虹のまぼろし〉には自宅での作詞中に窓の外に虹を見た経験を落とし込み、公演で提供されたオリジナルカクテルに浮かぶあざやかなエディブルフラワーはこの虹と朝日の色合いを花束のように表現している。「心を込めて歌います」と歌唱前からエモーションを高める片寄を温かい拍手が包み、アウトロまで豊かなフレージングがきらめいた。歌唱後、片寄は客席の間を抜けて一度退場。

片寄涼太ライブ写真

 1階席からアンコールを求める手拍子、2階席から「涼太」コールを受けて再登場した片寄はメガネをかけていた。本人もレアだと語るメガネスタイルでアンコール1曲目「運命」を歌う。ソロ活動を通じて何度も歌ってきた同曲は片寄自身が常に「背中を押された」特別なナンバーであり、「みなさん一人ひとりが主人公です」というメッセージをアウトロに付け加えたようにリスナーにとっての応援ソングでもある。さらに今回のライブ仕様にアレンジしたアルバム収録のボーナストラック「Pray -for Bouquet -」は、ホリデーシーズンにぴったりの心温まるサウンドの中でボーカルの魅力が一際華やぐ。一夜限定ライブならでの距離感で片寄の息づかいを間近で感じる特別なクリスマスライブのひとときを締めくくった。

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