NOAが宿す“光”と“影”――「乗り越えたからこそできる表現がある」 5周年記念公演『LiGHTS』を振り返る

NOA、“光”と“影”を見せた一夜

 9月13日、横浜BUNTAIにてNOAのアーティストデビュー5周年を記念したスペシャルライブ『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』が開催された。

 NOA自身が年初のインタビューで「9月のライブにすべてを集約する戦略を取っている」(※1)と語った通り、この夜は彼の5年間の歩みと内面的成長を“光”と“影”というテーマで表現したライブとなった。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

 定刻の17時を過ぎた頃、オープニングVTRがステージ後方のスクリーンに映し出された。その後、暗転したステージに照明がつき、赤いマント姿のNOAと黒いマントを纏った複数のダンサーが現れた。「It Ain't Over」からパフォーマンスをスタートさせた。この対比的な衣装選択は、まさにこの日のテーマである“光”と“影”を視覚的に表現したものだった。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

 続いて、赤い照明がステージを照らすなか、重低音が印象的な「RED ZONE」を披露し終えると、ここでNOAがあらためて、「今日はこれまでの5年間の集大成を見せる」と宣言。その後「Just Feel It」「Runaway Love」と、デビューアルバム『NO.A』からの楽曲を披露したが、特に「Runaway Love」での女性ダンサーとの寸劇を交えたパフォーマンスは見応えのあるものだった。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

 序盤のハイライトとなったのが、NOAが「次の曲はまだリリースされてない曲です。でも、知っている人はいるかな?」と会場のファンに語りかけたあとに披露した未発表楽曲「Eyes On Me」だ。この曲では、センターステージに出て、観客と近い距離でパフォーマンスを披露。その様子に観客は熱狂的な反応を見せ、早くも会場の一体感が高まった。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

 ライブが中盤に差し掛かると、過去ライブ映像を収めたVTRがステージ後方のスクリーンに映し出された。オンラインライブ、初リアルライブ、有明アリーナ公演、ファンミーティング……NOAとファンがともに歩んできた軌跡が刻まれたこの映像を多くのファンが感慨深げに見入っていた。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

 映像が終わると、NOAが再びステージに登場。スポットライトが当たるなかで歌い上げた「Better」は、この5年間の成長を象徴するかのような力強さと繊細さを併せ持つパフォーマンスだった。「Fireworks」では、NOAが「みんなまだ夏は終わらないよね?」と呼びかけ、夏の終わりの儚さを感じさせる。ライブのひとつのハイライトとなったこの楽曲では、夜空に上がる花火の映像演出の効果もあって、会場がより深い感動に包まれた。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

 この日は、中盤にバンドセットで「answer」、「COLORS」、「gimme」が披露されるサプライズも。さらにNOAは「このあと0時にリリースされる新曲を披露します」と新曲「Just Say It」を発表した。好きな人のためにその好きな人を諦めるという切ないテーマを歌ったこの楽曲のエモーショナルなメロディに酔いしれる。

 そして、ここからライブは“闇”の部分へと転換していく。NOAがステージから姿を消すと、ダンサーセクションが始まった。雨音と傘を使ったパフォーマンスは幻想的で、その後に続く「WE ALL READY」では20人以上のダンサーがステージに登場し、迫力あるパフォーマンスを展開した。この未公開新曲について、NOAはJ.R.B.Y.と一緒に書いた曲だと説明。そして、「ここからまだ見せていない闇の部分をみせる」と続ける。燃えるような赤い照明のなかで「BURN」がダンサーとの激しいパフォーマンスとともに披露され、「Multiverse」では宇宙空間を漂うような映像とともに大きなスケール感で表現されていく。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

 こうした自身の闇の部分の表現を経て、NOAは再び光の部分の表現へと回帰。VTRで観客席に向かって歩くNOAの映像とともに、バックスクリーンに“LIGHTS”という文字が浮かんだのち、ライブ本編のラストを飾る「LIGHTS UP」を披露した。この楽曲はアップリフティングなダンスナンバーだが、今回はVTRのSEとシームレスに繋がるシンセアルペジオが印象的な特別なアレンジ。会場が大いに沸き立ったのを感じた。

 その後のアンコールでは、アーティスト活動を振り返るインタビュー映像が流された。デビュー1年目に感じたこと、楽しかった思い出、そして「光だけではなく影もあり、そこを乗り越えたからこそできる表現がある。それを皆さんにお見せしたかった」というファンへの想い、5年前の自分へのメッセージ――。NOAの率直な言葉が綴られた映像を観客は感慨深げに見入っていた。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

 アンコールのスタートを切った「Purple Sky」では、紫色の空模様の映像を背にNOAが熱唱。サビで「みんな一緒に!」と煽ると大合唱が起こり、感動的なムードに包まれた。さらに「Merry Go Round」ではNOAが観客席に降り立ち、会場を歩き回りながらファンの目の前で歌う場面も。そして、バンドメンバーとダンサーの紹介、観客を含めた集合写真ののち、NOAはここで今年12月からのビルボード公演『NOA Billboard Live 2025』と来年1月からのホールツアー『NOA HALL TOUR 2026』の開催を発表。会場は大きな歓声に包まれた。

 その後の「Highway」でライブが終了かと思われたが、観客の「いかないで!」という声に応えてNOAが再びステージに登場。「その気持ちをぶつけてください!」と観客に向かって語りかけると高速で駆け抜けるビートが幸福感を助長させる「Red Light」を披露し、この特別な夜を締め括った。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

 “光”と“影”というテーマで構成された今回のライブは、NOAが5年間で築き上げてきた表現力の集大成と呼ぶにふさわしいものだった。定番楽曲でもある「Fireworks」「Paradise」「LIGHTS UP」などは、過去ライブからの進化を見せながらも、ファンにとって特別な意味を持つ楽曲として機能していた。一方で、「Eyes On Me」「Just Say It」「WE ALL READY」といった未発表楽曲は、NOAの新たな表現の可能性を示すものとなった。

 5年間の軌跡を振り返ったうえで、これから始まる新たなチャプターへの期待を大いに感じさせたNOA。年末のビルボード公演と来年のホールツアーでは、さらに進化した彼のパフォーマンスで再び多くのファン/リスナーを魅了してくれるはずだ。

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

『NOA 5th Anniversary Special Live "LiGHTS"』

※1:https://realsound.jp/2025/07/post-2091308_2.html

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