BMSGの新たな宝物は常識の向こう側へ! 『THE LAST PIECE』最終回――STARGLOWに託された希望と未来
そして、4人目だ。STARGLOWのメンバーとして選ばれたのは、ラップスキルと表現力に長けたGOICHIだ。名前を呼ばれた瞬間、泣き出しそうな、しかし嬉しそうな、何とも言えない表情でSKY-HIの元へ歩を進める。ズボンの布を握りしめて手のひらを清め、パーカーを受け取った。

「たぶん、ここまでずっと起爆剤みたいな形で、グループの爆発力ってとらえられてることは多かったと思うし、間違ってないと思う。でも、今日のパフォーマンスのカラフルさや、ここまで実直に自分が何するべきかを見失わずに、昨日の自分に勝つことを愚直にやり続けていった結果、ずっと伸び続けている。その心のブレなさを本当に見習いたいと思うし、憧れる心が強くあります。ただの起爆剤ではなくて、あなたは俺の、そしてグループの翼になれる人だと思う。自由な景色をたくさんグループに見せてくれると思う。そして、それを見ているお客さんが『自由に生きていいんだ』『自分のまま生きていいんだ』っていう勇気を与えられる人だと信じています。最高にかっこいい夢をたくさん見せてください」


オーディション中、一度はSKY-HIに「天井が見えてしまった」と評価された時期もあったが、その天井を壊して新たな一面を見せ続けたGOICHI。“グループの翼”と表現された彼もまた、これまでの感謝と決意を表明する。「自分がこうやってブレない芯を持ち続けて、『THE LAST PIECE』に挑み続けることができたのは、自分が生まれ持ったものではなくて、家族、友達、一緒にやってきた仲間、お世話になってきた先生方、もちろん日髙社長。いろいろな方の支えがあって、今こうやって自信を持ってここに立てています。プロのアーティストになるっていうさらなる夢に向かって、これからも自分のパフォーマンスを世界に見せに行きたいと思います」。そんな思いを胸に、SKY-HIと熱い抱擁を交わすGOICHI。思いの強さがこもっていたのか、SKY-HIは「力が強いぜ」と笑いながらも、たくましい新たなメンバーの背中をポンポンと優しく叩いた。



そして、STARGLOWの5人目。最後のメンバーに選ばれたのは、ADAMだった。まわりの参加者よりも歌唱やダンスの経験が浅いながらも、毎回の審査で急成長を見せ、ここまで這い上がってきたメンバーだ。名前を呼ばれたADAMは、目頭を押さえながらSKY-HIの元へ。
「本当に、最後の最後まで悩んだのも事実。悩ませてくれるところまでたどり着けたのは、あなたの努力と実力。そのうえで『STARGLOWって何なんだろう?』って思った時に、あなたが今まで磨いてきた、あなた自身だから出せる声、オーラ、スタンス、アティチュードは替えがきかないものだな、と。3つ目のグループは、圧倒的にそれぞれのスタイルを尖らせて、磨き続けた槍が集まっているものにしたい。そうなった時に、やはりあなたが適任だと、そう思わせてくれた数か月のあなたの努力、そこに向かうまでの姿勢。どこまでも貪欲にやってくれたと思います」


丁寧な言葉で、ADAMをSTARGLOWのメンバーに選出した理由を述べるSKY-HI。そのうえで、「あと3カ月あげます。これまでと同等かそれ以上の努力をして、トップアーティストまで上り詰めてほしい。今の成長力ならいけると思うので。ひょっとしたら人生でいちばんハードな3カ月になるかもしれないけど、そこを乗り越えて最高に輝くひとつの星になってほしいと思ってるんだけど、いけるかな?」とさらなる成長を促す。ADAMはまっすぐな瞳でSKY-HIを見つめ、「はい!」と力強く返答。そして、「今名前を呼んでいただいて、いちばんに思い返したのはクリエイティブ審査後の合格発表で、『簡単ではないけど不可能ではない』と日髙さんが言ってくださった言葉でした。その瞬間に僕も不可能じゃないと思いましたし、その時に言った『絶対掴んでやる』という言葉を実現できて嬉しく思っています。ただ、本当にここがスタートラインだと思うので、簡単じゃないけど不可能ではないことを可能にした自分に自信を持って、世界を代表するアーティストになりたいと思っています」と明言した。


RUI、TAIKI、KANON、GOICHI、ADAMからなるSTARGLOW誕生の瞬間だ。宝物、希望、パートナー、翼、槍――。さまざまな美しい言葉で表現された5人が作り上げる新たな希望の星。一列に並んだ5人を「これが、BMSGから今年誕生する3つ目のボーイズグループSTARGLOWです。よろしくお願いいたします」とあらためてSKY-HIが紹介すると、BMSG所属アーティストやスタッフ、そして今まで一緒に歩んできた仲間たちからあたたかい拍手が贈られる。そして、「ここが世界のてっぺんじゃないかっていうところを見るまで、絶対に走るのを止めたくないと思ってるんだけど、ついてきてくれますか? 覚悟はありますか? もちろんだよね。行きましょう!」と5人とともに決意を表明し、新たなスタートを切るのだった。




しかし、この日SKY-HIが発表したのはこれだけではない。「STARGLOWを王道で勝負しようと思わせてくれた理由がもうひとつある」と前置きして語られたのは、視聴者も参加者をも驚かせる想定外の事実だった。


「疑似プロ審査で脱落者がいなかったのは、単純に選べなかっただけじゃない。『これはもう全員デビューできるじゃん』って思った」「今すでにBMSGには、少なくとも4つ目、そして5つ目のグループを今後作っていくという構想が具体的にあります」「RAIKI、KANTA、YUTA、KEI、TAICHIを中心に4つ目のボーイズグループを作っていきたいと思ってる」――。なんと、今回STARGLOWに選ばれなかったファイナリスト5人をメンバーに含む、新たなグループのデビューに向けた構想があるというのだ。予想もしていなかった展開に、驚きや安堵、希望などの入り混じった表情を浮かべる参加者たち。それでも、SKY-HIが「ついてきてくれるだろうか?」と問いかけると、「はい!」と力強く返答した。



また、SKY-HIは、この『THE LAST PIECE』をもって大型オーディションを開催して新たな仲間を探すというフェーズは一旦終了させ、今まで出会ったメンバーの才能を開花させることに注力すると明言。そして、「この5年で音楽業界や芸能事務所の話をする時に、国内でBMSGの名前が出ないことのほうが珍しくなってきた。5年くらいあると、世のなかってそのくらい変えられるから、次の5年でもっと世のなかを変えていきたい」「来年以降、BMSGとしてやることもいっぱいある。きっともっと大きくなると思う。その時に、もっと輝いているみんなの姿を見せてもらえたら嬉しい。いちばんかっこいい音楽事務所になろうと、心から腹を決めてやっていきたいと思ってるので、よろしくお願いします!」と、会社としても大きな挑戦に踏み出していることを伝えた。SKY-HIの熱いメッセージに、アーティストたちは真剣な眼差しで応え、見守っていたスタッフからは盛大な拍手が贈られたのだった。

多くの視聴者に夢を追いかけることの美しさを教え続けてきたプロジェクト、『THE LAST PIECE』。そのラストは、STARGLOWという輝かしいグループの誕生、そしてBMSGが未来に向けた大きな一歩を踏み出した歴史的瞬間とも重なり合った。無謀な挑戦を愛する者たちによる夢の実現は、今始まったばかりだ。













































