Number_iにとって“ツアー”はどんな意味を持つのか? 舞台の裏側でメンバーが見せた成長と更新の姿を観て

Number_iにとっての“ツアー”の意味

 なかでも印象的だったのが、各メンバーのソロステージの準備風景だ。「透明になりたい」を歌う平野は、観客がより曲の世界観に入り込めるようにと、マイクスタンドの向きや自身へのライトの当て方を考え抜いていく。「Bye 24/7」を歌う神宮寺は、今回のツアーの象徴とも言える水の演出を取り入れながらも、ほかの曲とはまた違った魅せ方を探っていく。「Recipe」を歌う岸は、ルーパーと複数の楽器を使用することから、本番で最善のアンサンブルを届けられるように何度も微調整を重ねていく。そもそも、自分のソロ楽曲をNumber_iとしてステージで、しかしひとりで届けること自体が、3人にとって初の試みだ。それぞれが時間をかけて、悩みながらソロステージを完成させたことが、映像を通して感じられた。

 「一年の集大成」と書いたが、『THE_i -what is Number_i-』での準備期間の様子を踏まえると、このツアーは彼らにとってひとつの挑戦でもあったのだろうと思う。自分たちの手でイチから作り上げ、新たな試みも織り交ぜられた、Number_iとして初めての全国ツアー。思えば、Number_iは常に独自の道を開拓しながら進化し続けてきたグループだ。その過程で、またひとつ更新した姿を見せるための、あるいはこれからも成長し続けることを示すためのツアーだったのかもしれない。

 Number_iが次に何を見せてくれるのか期待できるのも、彼らが恐れず挑戦し続けているからこそだ。“裏側”も知った今、そんなことを感じながら、彼らが作り上げた『Number_i LIVE TOUR 2024 No.I』を再び観たい。

Number_i、初ライブツアーで示した答えとは何だったのか? 高らかな宣言に触れた一夜――福岡公演を観て

Number_iが約30万人を動員した初めてのライブツアー『Number_i LIVE TOUR 2024 No.I』を完走。1…

Number_iの音楽を支えるSHUN(FIVE NEW OLD)が語る、「ギリギリのラインを攻めることができる」理由と濃密な一年

Number_iの楽曲を多く手掛けるFIVE NEW OLDのSHUN。2024年の音楽シーンを沸かせた、影の立役者でもある彼は…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる