Def Tech 20周年の祝祭、JESSEと重ねた原点 この曲からすべてが始まった──「My Way」が繋いだ軌跡

Def Tech、20周年メモリアルライブレポ

 軽やかで心地よいメロディに乗ってお揃いのダンスを楽しんだ「Child in me」からライブはクライマックスへ。「一番最初の時、JESSEとShenと俺だけだった。この曲からすべてが始まった」(Micro)という言葉に導かれたのは「My Way」。ShenとMicroが向き合い、冒頭のフレーズはアカペラで披露。この日一番の歓声が沸き上がる中〈手をつなげば怖くないから そこまでお前は弱くないから/でもいつまでも そばにいないから〉というラインが会場全体を大らかに包み込む。楽曲の終盤にShenが客席に降り、ナチュラルな一体感を生み出した。自分を信じ、自分の道を進み、望む場所を目指すーー。この曲で描いたメッセージは今もなお、Def Techとオーディエンスを繋ぎ、前に進む力になっている。そのことがリアルに伝わってきた。

Def Tech(撮影=umihayato)

 観客の大合唱が生まれた「Irie Got 〜ありがとうの詩〜」、そして壮大なメロディとサウンドが響き合う「Ke Aloha Wai」。豊かな自然を生み出し続ける地球への愛を歌った楽曲によって本編はエンディングを迎えた。

 アンコールが始まると、ステージ中央には3人のシルエットがーーShen、Micro、そして、JESSE(RIZE/The BONEZ)だ。Def Techの名付け親であり、結成のきっかけとなった盟友・JESSEとともに演奏されたのは「ANOHI feat. JESSE」。“あの日”をテーマにした3人のフロウが共鳴する場面もまた、この日のライブの大きなハイライトだった。

 「普通はすぐ帰るんだけど、一言いいですか。頭からずっと(ステージの)袖で見てて、『My Way』やってて。ウチの実家の地下室で、一番安いMTRで作って……会場の一人ひとり、見てました。あの1曲がこんな景色になるなんて、初めてDef Techで泣かされました。このままツアー行くでしょ? 20周年は1回しかこないから、そんなもんじゃ物足りねえなと思って」(JESSE)

Def Tech(撮影=umihayato)

 ここでMicroからアナウンスされたのは、2026年2月8日の日本武道館公演。歓喜の声が上がる中、「みんなで武道館まで突っ走ろう!」という言葉とともにJESSEがバックステージへ。さらにMicroが「行きますか、武道館に向けて!」と呼びかけ、アッパーチューン「Summer Steppin‘」を放つ。ラストは「おんがく♪MUSIC」。〈音楽があれば いちばん苦しいときこそ/楽しさに溢れた世界へ輝くから〉というフレーズを観客へ手渡し、ライブは終了した。

 8月から11月にかけて、アルバム『4ELEMENTS』を携えた全国ツアーがスタートする。ファイナルは15年ぶり、通算3回目となる武道館ワンマンライブ『20th Anniv. Grand Final at 日本武道館』。20周年のアニバーサリーによって、Def Techの音楽、メッセージ、ライフスタイルがさらに幅広い層のリスナーへと伝わる。それはまったく明るい兆しが見えない今の社会において、とても意味があることだと思う。

■『Def Tech Summer Sound Splash』
2025年6月29日@神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール

<セットリスト>
1.Catch The Wave
2.Surf Me To The Ocean
3.High on Life
4.Gone Surfin'
5.Man Up
6.Ring D Alarm
7.KANPAI
8.KONOMAMA
9.Automatic
10.FANTASY
11.Like I Do
12.One Day
13.Uchiaketekure
14.I hear music
15 .On the Shore
16.Child in me
17.My Way
18.Irie Got 〜ありがとうの詩〜
19.Ke Aloha wai
En20.ANOHI feat. JESSE
En21 Summer Steppin'
En22 おんがく♪MUSIC

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