Def Tech 20周年の祝祭、JESSEと重ねた原点　この曲からすべてが始まった──「My Way」が繋いだ軌跡

　Def Techがデビュー20周年を迎えるメモリアルライブ『Def Tech Summer Sound Splash』を神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで開催した。

　ハワイ育ちのShen、東京出身のMicroによるDef Techは2005年にミニアルバム『Def Tech』でデビュー。収録曲「My Way」のヒットにより一気にブレイクを果たし、ハワイアン、レゲエ、サーフロック、ヒップホップなどを融合したサウンドと喜怒哀楽をリアルに描いたリリックによって高い支持を獲得。2007年に解散するも、3年後の2010年にリユニオン。その後は自分たちのペースで活動を続け、自らの音楽性を深め、広げてきた。

　20周年のキックオフとして行われた今回のライブでは、代表曲、ヒット曲はもちろん、最新アルバム『4ELEMENTS』の収録曲やルーツに根ざした楽曲も披露。これまでの軌跡と、この先のビジョンを同時に体感できる開放的なステージを繰り広げた。

　6月29日、横浜の最高気温は28度。みなとみらい駅の周辺は浜風が吹き抜け、湿気さえも気持ちいい。さらにパシフィコ横浜の前にはハワイアン、メキシカンなどのキッチンカーやサーフカルチャー系のショップが設けられ、完全にフェス気分。マリンスポーツが似合いそうなオーディエンスは小さい子供と一緒の方も多く、音楽はもちろん、ライフスタイルを含めてDef Techに共感している人たちが集まっているんだなという実感が湧いてくる。

　17時10分を少し過ぎた頃、ついにライブがスタート。バンドメンバー（ギター、ベース、DJ、MPC）に続きShen、Microが登場すると、会場全体から祝福の歓声が沸き上がる。オープニングは「Catch The Wave」。Def Techの音楽的／精神的なスタイルをダイレクトに示す楽曲と海の映像によって、ライブは幕を開けた。

　さらに「Surf Me To The Ocean」、Shenがウクレレ、Microがアコギを弾いた「High on Life」、サーフロック系のサウンドと揃いの振付で盛り上がった「Gone Surfin’」を続けて、ゆっくりとテンションを上げていく。「待ちに待ったパシフィコ横浜。Def Tech 20周年、ホントにホントにおめでとうございます！」（Micro）、「どれくらい笑顔してるかわかってるの？　みんな！」（Shen）と喜びを全身で表す二人の姿も心に残った。

　〈“扱いづらい”って誰が／言ってんだ？／Def Tech 20 years,／What a wonderful world〉というラインが響きわたる「Man Up」からは男性ダンサーが登場し、最新アルバム『4ELEMENTS』の楽曲を中心としたコーナーへ。Def Techのベーシックなスタイル“ジャワイアンレゲエ”の進化型と称すべき「Ring D Alarm」、オーセンティックレゲエに根ざした「KANPAI」と、現在の彼らのモードを反映した楽曲が続く。個人的にもっとも印象的だったのは「FANTASY」。今も犠牲になっている誰かがいて、世界はほとんど終わっているように思える。それでもなお、もし空想だとしても〈one love〉を見つけたいーーそんな真摯なメッセージが美しいメロディとともに広がり、会場は大きな感動で包まれた。

　アルバム『4ELEMENTS』は、“Earth（大地）”、“Water（水）”、“Fire（火）”、“Air（風）”と自然界を彩る4つのエレメントをテーマにした作品。ShenとMicroのセンス、技術、想いが有機的に融合した本作は、現在のDef Techの充実ぶりをはっきりと示している。この日のライブを通し、そのことを改めて体感することができた。

　ここで登場したのは、世界的ウクレレ奏者の名渡山遼。Shen、Microも椅子に座り、「Like I Do」「One Day」などをハワイアンスタイルでじっくりと聴かせる。二人が意気投合したきっかけになった「I Hear Music a.k.a Mr. Reggae」、最新アルバム収録曲「On the Shore」では、青山学院大学フラサークル・Uluwehiのメンバーが美しいフラを披露。Def Techの大きなルーツであるハワイの音楽とダンスを堪能できる場面が続いた。