イヤホンズが挑んできた“音と言葉”の探究 『それが声優!』からはじまった物語、10年の歩みと楽曲群を辿る
「記憶」、『手紙』……イヤホンズが拓いた言葉と声で紡ぐ芸術作品
声優としてのスキルを注ぎ込んだ「あたしのなかのものがたり」のポエトリーな要素は、2020年にリリースされた3rdアルバム『Theory of evolution』収録の「記憶」にも引き継がれていく。「記憶」は、「あたしのなかのものがたり」の前日譚とも呼べる楽曲で、ポエトリーリーディングと日常の環境音が織り成す不思議な心地好さは、もはや芸術品と言ってもいいだろう。これら2曲とは趣向を変えて、“声”と“言葉”に対して異なる形でフォーカスしたのが、2021年にリリースされた「はじめまして」。この曲は手話と多言語がモチーフとして取り入れられており、さまざまな国の言語で“はじめまして”と挨拶したり、MVでは手話を披露したりと、イヤホンズの音楽がさらに多くの人に届くようなメッセージが込められた楽曲となっている。
そして、昨年リリースされた最新アルバム『手紙』は、その名のとおり“手紙”をテーマにしたコンセプチュアルな作品。ラブレター、タイムカプセル、果ては盗まれたバイクへ宛てたという変化球まで、さまざまな視点で紡がれた手紙がしたためられている。しかし、どの曲も纏う空気感が温かいのが絶妙で、これも3人の歌声と表現力があってこその作品だろう。
ほかにも、ライブで盛り上がる人気曲「サンキトウセン!」や、全編ウィスパーボイスで展開される“お耳の恋人”楽曲「チュラタ チュラハ」など、彼女たちの楽曲には「次はこうきたか!」と唸るような挑戦に常に溢れている。イヤホンズで経験した活動はそれぞれの声優業の糧となり、そこで培ったスキルがイヤホンズへと還元されていく。このポジティブな相乗効果は、お互いの活動が長く続くことでさらに大きな可能性へと進化していくのだろう。10周年を迎えたイヤホンズはここからさらに大きく羽ばたいていくに違いない。
※1:https://www.excite.co.jp/news/article/Qetic_408297/

























