星野源、XG、SUPER BEAVER、ヨルシカ、羊文学、JO1……注目新譜6作をレビュー
ヨルシカ「火星人」
アニメ『小市民シリーズ』(テレビ朝日系)第2期オープニングテーマとなる新曲。ごく控えめに、軽やかに続くギターのカッティングが印象的で、同時に無音の空間をかなり意識的に用意した曲でもある。重要なのは音と音が邪魔し合うことなく、一瞬だけ存在する儚さのようなもの。〈ぴんと立てた指の先〉という歌い出しも然りで、内容よりも〈ぴん〉の響きが一瞬で消えていく、その事実に耳が惹きつけられるのだ。なお、繰り返されるこの歌い出しは、三番で萩原朔太郎の『猫』の引用に。想像以上に深い世界へと聴き手を誘う手法はさすが。また、自分の不甲斐なさを嘆く主人公にツッコミの声(コーラス)が入る後半などは、今までにないユーモアを感じる。(石井)
羊文学「mild days」
こんなにノスタルジックな羊文学は、もしかしたら初めてかもしれない。TVアニメ『サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと』(TOKYO MX)ED主題歌「mild days」は、穏やかな手触りのギターストローク、心地よく跳ねるリズム、フォーキーな雰囲気のメロディが溶け合うミディアムチューン。海外のインディーロックの潮流も感じさせるサウンドのなかで描かれているのは、おそらくは10代の頃の、友達たちと過ごした時間。特別な出来事があったわけではないし、強く記憶に残っているわけでもない、だけど確かに存在したあの時間が、今となってはとても愛おしく、温かい。多くの人が経験したであろう、美しくも儚ない青春の日々を想起させるナンバーだ。(森)
JO1「Be brave!」
メンバーの豆原一成の初主演映画『BADBOYS -THE MOVIE-』の主題歌として制作された「Be brave!」は、タイトル通り、「勇敢であれ!」という力強いメッセージを高らかに響かせる応援歌。河野純喜、金城碧海が手がけた歌詞には〈踏み鳴らせ 決心のアクセル 守りたい絆のため〉〈もう後ろは振り向かないよ〉といった前のめりにしてアグレッシブなフレーズが並んでいる。サウンド自体は決して熱苦しくなく、しなやかさを前面に押し出したグルーヴを表現。ボーカルも同様で、ただひたすら熱く歌うというより、心地よく上昇していくような手触りが宿っている。JO1のファンや若いリスナーだけではなく、30代以上の大人の音楽ファンもすんなりと楽しめる楽曲だと思う。(森)


























