星野源、XG、SUPER BEAVER、ヨルシカ、羊文学、JO1……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は星野源「Mad Hope (feat. Louis Cole, Sam Gendel, Sam Wilkes)」、XG「MILLION PLACES」、SUPER BEAVER「まなざし」、ヨルシカ「火星人」、羊文学「mild days」、JO1「Be brave!」の6作品をピックアップした。(編集部)

星野源「Mad Hope (feat. Louis Cole, Sam Gendel, Sam Wilkes)」

 ニューアルバム『Gen』収録曲のひとつで、星野源とオードリー・若林正恭によるトーク番組『「LIGHTHOUSE」〜悩める2人、6ヶ月の対話〜』(Netflix)に書き下ろしたオープニングテーマの完全版となる。30秒程度のショートバージョンを改めて聴くと、広がる世界の違いに愕然とせざるを得ない。共作者 ルイス・コールを筆頭に、ゲストプレイヤーがもたらす現代ジャズの躍動感。さらには、前衛セッションと古今東西のポップミュージックがあまりにも幸せな形で溶け合っていく歌唱パートの意外性。予想できない展開だが無理に繋げた印象はなく、攻めているのに誰も置き去りにしない温もりも確かにある。これはもう何度でも言わなくちゃいけない曲だ。星野源、天才。(石井)

星野源「Mad Hope (feat. Louis Cole, Sam Gendel, Sam Wilkes)」

XG「MILLION PLACES」

XG「MILLION PLACES」

 アメリカの音楽フェス『Coachella Valley Music and Arts Festival 2025』の最大規模の屋内ステージ・Saharaのトリとして出演し、和の要素を取り入れたステージングで世界の音楽ファンに鮮烈なインパクトを与えたXG。ワールドワイドな活躍を続ける彼女たちの新曲「MILLION PLACES」は、ワールドツアー『XG 1st WORLD TOUR “The first HOWL”』での経験をベースにした楽曲。穏やかなチル系のトラック、優しく語り掛けるようなボーカル/ラップ/ハーモニーが心に残るこの曲に流れているのは、世界中の都市をまわりながら、オーディエンスと作り上げてきた確かな関係だ。それを象徴しているのが〈Looking for you everywhere we go〉(どこに行ってもあなたを探している)というフレーズ。ALPHAZ(XGのファンの名称)への愛と信頼が真っ直ぐに伝わってくる、意義深い楽曲だと思う。(森)

SUPER BEAVER「まなざし」

SUPER BEAVER「まなざし」

 映画『金子差入店』主題歌となる書き下ろし新曲。映画がヒューマンサスペンス作品なのでわりとダークな曲調を想像したが、ギターロックに乗せて愛と希望を歌い上げる、力強いメッセージソングが誕生している。“愛と希望を歌う”行為自体が揶揄されかねないこの時代、そのことを今一度疑い、見つめ直し、自分たちの実感を込めて生命を吹き込む。SUPER BEAVERがやっているのはそういうことだ。柳沢亮太(Gt)の書く歌詞は真面目な作文のようでもあるが、それを広く届く歌に、心を震わせる音楽に変えるのが渋谷龍太(Vo)の歌唱。近年ずっとそうだが、今のビーバーには恐ろしいほどの説得力がある。うん、これこそ確かな愛と希望だ、とわからせてしまう説得力が。(石井)

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