連載「lit!」第141回:あばらや、ひらぎ、OSTER project……『ボカコレ2025冬』各部門で輝いた注目作5選
Ruliea「さよならギフテッド」
ルーキー部門第2位に輝いたRulieaも、活動歴2年未満の新星ボカロPとなる。従来からくっきりとしたエレクトロな音像を強みとするクリエイターだったが、本作ではサウンドメイクがさらに洗練されたことに加え、リスナーを飽きさせないバラエティ豊かな曲調展開や、軽快でリズミカルな歌詞の音取りも強烈なインパクトを残す一助となっているように感じられる。
また総じて楽曲の随所、特にフレーズの切り替え位置にアクセント的な装飾音が効果的に用いられている点も傾聴すべきポイントだ。スラップベースやガラスの割れる音、時には無音の間など、多彩でありながら統一感のある音像構成も、楽曲の高い完成度の一端を担っている要素なのだろう。
OSTER Project「好きな惣菜発表ドラゴン~心を込めてREMIX~」
ミニマルな原曲から一転、壮大なピアノとオーケストラアレンジを加え、圧倒的かつ感動的な物語性を持たせたリアレンジでREMIX部門優勝を果たした熟練ボカロP・OSTER projectによる本作。これまでのキャリアでもメジャーシンガーからアイドルまで、多彩な楽曲提供/プロデュース実績を持つOSTER project。そんな彼女のプロアレンジャーたる高いサウンドメイク力を、存分に堪能できる1曲としても申し分ない作品となっている。
また、今作だけに留まらず、OSTER projectはTOP100部門にも「もんめためたもん」「テトヨガ」の2曲でランキングに参戦。活動17年を越えてなお意欲的にシーンを牽引するそのクリエイティビティは、今後まだまだ後進に大きな影響を与え続けるはずだ。
























