連載「lit!」第138回:Ado、あいみょん、sumika、MWAM、女王蜂……新境地を示す注目作5曲
まだまだ寒さも身に染みるが、気づけば2月も後半。3月、4月には、MAN WITH A MISSIONや女王蜂など久しぶりのリリースをはじめ、数々の注目作が世に送り出される。
今回の「lit!」では、そんな3月以降リリースのシングル/アルバムをピックアップ。一足早く聴ける楽曲たちに作品への期待を膨らませながら、春の訪れも楽しみに待ちたい。
Ado「エルフ」

4月9日に初のベストアルバム『Adoのベストアドバム』をリリースし、その後は世界30都市以上をめぐる、日本人アーティストとして最大規模とも言えるワールドツアーを控えるAdo。ベストアルバムにも収録される「エルフ」は、てにをはが作詞曲を手掛けたドラマチックなバラードだ。孤独を抱え続ける人間が長年の時を生きるエルフ(妖精)に喩えられており、美しい言葉の一つひとつを際立たせるように、しっかりと感情を乗せて聴き手に訴えかけてくるAdoの歌唱が素晴らしい。決して悲観的ではなく私たちの孤独に寄り添う楽曲で、〈その心臓は最後の一打ちまで君の物だ〉〈降る雫が君の森を育てるだろう〉といった、聴き手を鼓舞するキラーフレーズも詰まっている。
あいみょん「スケッチ」
3月5日にリリースされるシングル『スケッチ / 君の夢を聞きながら、僕は笑えるアイデアを!』からの先行配信曲。穏やかなアコースティックギターの音色と優しい歌声に、まるで春の日差しを浴びているような温もりを感じる一曲だ。3月7日公開の『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』の主題歌であり、〈僕〉と〈君〉をのび太とドラえもんに当てはめて聴くと、ふたりが言葉を交わす姿や表情までもが自然と頭に浮かんでくる。とはいえ、そんな予備知識なしで聴いても、大切な人との未来を描く楽曲として心に響くものがあるだろう。タイアップソングとしても、映画と切り離した物語としても十二分に楽しませるところに、あらためてアーティスト・あいみょんの凄みを感じる。
MAN WITH A MISSION「REACHING FOR THE SKY」
2月9日にバンド結成15周年を迎えたMAN WITH A MISSIONは、3月12日に約3年ぶりの新作となるEP『XV e.p.』をリリースする。収録曲のなかから先行配信されたのが、「REACHING FOR THE SKY」だ。楽曲は、そんな彼ら自身を想起させる過去を振り返るフレーズから始まり、〈Reaching for the sky〉(空に手を伸ばして)と歌う突き抜けるようなサビを経て、〈The call is yours〉(決めるのはあなただ)と力強く連呼するアウトロへ。疾走するバンドサウンドと力強いメッセージの数々が、これからもバンドが大きくなっていくことを予感させてくれた。後半には大勢でシンガロングできそうなパートも含まれていて、早くもこの曲がライブアンセムとしてライブ会場で響きわたる光景も想像させる。