佐藤大×JUN INAGAWA特別対談 ゲーム『攻殻機動隊』サントラに息づくテクノ/クラブカルチャーを語る

『攻殻機動隊』『エウレカ』に息づくテクノ/クラブカルチャー

――「虹」を若いDJがかけているという例も出ましたが、近年本当にクラブカルチャーが世代間を超える場面に出くわすことが多くなったと感じます。
佐藤:音楽が何かを託しやすい側面を持っているのは確かだと思います。僕がアニメ監督のナベシン(渡辺信一郎)さんと初めて会ったときにFrogmanの名刺も渡したんですけど、「キミのレコード持ってますよ」と言われて。当時からナベシンさんは音楽好きだと噂は聞いていたんですが、好きどころか音楽マニアだったんだと(笑)。その後、渋谷のシスコで偶然会ったりして、今でも一緒にクラブに行ったり。音楽で繋がると付き合いが本当に長くなる(笑)。
INAGAWA:それで『交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション 1』ではHardfloorが新曲として「Acperience 7」を書き下ろしてるわけですもんね。あれは本当に感動しました。僕もいつかは自分のアニメのサウンドトラックをThe Chemical Brothersに書いてほしい……(笑)。『Surrender』なんてアルバム全体で映画一本できますし、映像や情景も浮かんできます。
佐藤:最初は「『Acperience』シリーズは5までしかないんだけど……」って言われたんですけど、「そこをなんとか7でお願いします!」と。
INAGAWA:あの曲マジでフロア沸きますよ。エウレカ好きはアニソンとしても踊るし、知らない人も「何だかよく分からんけどアシッドベースめっちゃかっけー!」ってなります。
――あと、今回のサントラのアートワークは1997年当時に村上隆さんがアートディレクターとして手掛けたものです。草薙素子をフィーチャーしたB2ポスターがライナーとしてCDに封入されていたり、レンチキュラーカードも97年から進化したバージョンが封入されるなど、豪華な仕様です(サントラは、進化版リアル3Dレンチキュラーカード<97年当時のレンチキュラーから進化した3Dデプス仕様>、B2ポスター型ライナーノーツ<表:1997年版再録/裏:2024年新録スペシャル鼎談>、テクノ×アニメ×ゲーム15,000文字鼎談<佐藤大×渡辺健吾×弘石雅和/執筆・編集:ローリング内沢>、1980年~2024年までの"テクノ×アニメ×ゲーム"カルチャーの歴史をまとめた年表が付属する豪華版に)。
INAGAWA:こうやって物として手元に残るのはいいですね。家に置いておいてもテンション上がるし、何よりデータではなく、フィジカルとしてアーカイブされていくのは素晴らしいです。めちゃくちゃかっこいいです。
佐藤:村上隆さんと一緒にこのアートワークを担当したSTEREOTYPEというデザイナー集団(現在ビジュアルデザインスタジオとして多くのアニメ作品を手掛けている)がいるんだけど、彼らはこの後に『サムライチャンプルー』のデザインなども手掛けていくんです。テクノとアートは密接で、『エウレカ』のデザインをしてくれた草野(剛)くんも元々はニック・フィリップに憧れてデザイナーを目指して、僕が当時DJをしている時に、本人が作ったTシャツとかをよく見せに来てくれて。僕もニック・フィリップが大好きだったから、だから『エウレカ』のデザインを彼にお願いしたいと思ったし、そこから今では多くのアニメでカッコいいデザインを彼の会社が担当するようになったり。他にも、『エヴァ』(『新世紀エヴァンゲリオン』)のデザインをやっているTGB design.の市古(斉史)さんも、もともとはクラブ系のフライヤーを作ってましたよね。
あと『攻殻機動隊』でいえば、僕が参加した『攻殻機動隊S.A.C.』のシナリオ打ちの時に、僕がパソコンにAphex Twinのロゴを貼っていたら、それを偶然見た神山(健治)監督が「笑い男のロゴはそういうデザインにしたいんだよね」と話したことがきっかけで、直ぐに友達だったポール(ポール・ニコルソン)に連絡したんです。本人も原作の『攻殻機動隊』が大好きで、快く引き受けてくれたんですよ。
――佐藤さんがAphex Twinのステッカーを貼っていなかったら、「笑い男」(『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』に登場する架空のハッカー)のロゴは違っていたかもしれないんですね。今日の対談、クラブカルチャーやダンスミュージックを愛する者として個人的にも非常に励みになりました。最後に何かお知らせできることがあれば教えてください。
INAGAWA:今後は今までの経験を活かしつつ新しい漫画やアニメの物語の構想をしていったりFrog 3というエレクトロのバンドもやってるのでアルバムのリリースへ向けて楽曲制作にも専念していきます。やっぱり音楽も漫画もアニメもシンプルに「楽しい」「好き」だから続けていきます!
佐藤:さっき話にもでたナベシンさんの最新作『LAZARUS ラザロ(2025年放送・配信予定)』に、脚本チームの一人として参加しています。この作品でも音楽が素晴らしくて、Kamasi Washington、Bonobo、Floating Pointsが担当しています。よかったらチェックしてみてください。

■CDリリース情報




『攻殻機動隊~ビデオゲーム・サウンドトラック MEGATECH BODY. CD., LTD.』
Various Artists
購入はこちら:https://lnk.to/ghost-in-the-shell-CD
【完全生産限定盤】
●全曲デジタルリマスタリング
●ボーナストラック3曲収録(未発表バージョン1曲含む)
●進化版リアル3Dレンチキュラーカード付(97年当時のレンチキュラーから進化した3Dデプス仕様)
●B2ポスター型ライナーノーツ(表:1997年版再録/裏:2024年新録スペシャル鼎談)
テクノ×アニメ×ゲーム15,000文字鼎談
(佐藤大×渡辺健吾×弘石雅和/執筆・編集:ローリング内沢)
1980年~2024年までの"テクノ×アニメ×ゲーム"カルチャーの歴史をまとめた年表付
リリース日:2024年9月18日
フォーマット:CD2枚組
収録楽曲数:全24曲
価格:税込 6,380円(税抜 5,800円)
品番:UMA-1149-1150
発売元:U/M/A/A Inc.
Licensed by Sony Music Labels Inc.
■2枚組LPリリース情報
『攻殻機動隊~ビデオゲーム・サウンドトラック
MEGATECH BODY. VINYL. LTD.』
Various Artists
購入はこちら:https://lnk.to/ghost-in-the-shell-VINYL
【完全生産限定盤】
リリース日:2024年12月18日
フォーマット:LP2枚組
収録楽曲数:全11曲
価格:税込 8,800円(税抜 8,000円)
品番:UMA-9152-9153
発売元:U/M/A/A Inc.
Licensed by Sony Music Labels Inc.
【2枚組LP:トラックリスト】
Disc1
A-1 Ghost In The Shell / 石野卓球
A-2 Blinding Waves / Scan X
A-3 Ishikawa Surfs The System / Brother from Another Planet
B-1 Spook & Spell (Fast Version) / Hardfloor
B-2 The Searcher Part I / The Advent
B-3 Can U Dig It / Dave Angel
Disc2
C-1 Firecracker / Mijk Van Dijk
C-2 Featherhall / Westbam
C-3 Spectre / BCJ
D-1 To Be or Not To Be (Off The Cuff 2024 Redefined Mix)/ Derrick May
D-2 The Vertical / Joey Beltram
■ピクチャー盤リリース情報
『攻殻機動隊~ビデオゲーム・サウンドトラック
MEGATECH BODY. PICTURE VINYL. LTD.』
Various Artists
購入はこちら:https://lnk.to/ghost-in-the-shell-PictureVINYL
【完全生産限定盤】
リリース日:2024年12月18日
フォーマット:ピクチャー盤LP
収録楽曲数:全6曲
価格:税込 7,700円(税抜 7,000円)
品番:PINC-1237
発売元:U/M/A/A Inc.
Licensed by Sony Music Labels Inc.
【ピクチャー盤LP:トラックリスト】
A-1 Ghost In The Shell / 石野卓球
A-2 Moonriver / Westbam
A-3 Fuchi Koma / Mijk Van Dijk
B-1 To Be or Not To Be (J.Q. Public Mix) / Derrick May
B-2 So High / Dave Angel
B-3 Spook & Spell (Slow Version) / Hardfloor
©SHIROW MASAMUNE / KODANSHA Ltd.
©2024 Sony Interactive Entertainment Inc.
提供:Sony Music Labels Inc.




















