JUBEE「主役になって、俺とぶつかり合ってくれ」 Kj、JESSE、OMSB、MUD……豪華ゲストと鳴らした熱狂の20曲
後半に差し掛かる直前のMCもよかった。かつてCreativeDrugStoreに加入したものの、ソロをやりたくてシェアハウスを出たこと。当時は逃げたと思われたかもしれないが、本当にやりたいことがあるのなら、何かを捨てなきゃいけないタイミングもあるということ。まっすぐ語り出すJUBEEは、センスのいいラッパーというより、熱く人生を語る部活の顧問、みたいな様子である。格好いいのかと言われたら正直わからない。ただ、これらの熱い言葉たちを説得力に変えていくのが続く楽曲群なのだった。
仄暗いギターサウンドに乗せて〈捨てちまいな過去〉と歌い上げる「Escape」の胸に焼きつくエモーション。牛丸ありさ(yonige)と歌う「Droptown」が生々しい感情をしっとりと夜の色に染めていき、続く「electroclash」のダンスビートが、回り続けるライトの美しさが、真夜中に猛スピードでトンネルを突っ切っていくような光景を見せていく。そして、辿り着いた先には「PICK UP THE PIECES」。まばゆいメロディに乗せて〈Never go back/Believe in yourself/立ち上がれるさ〉と宣言するAA=のカバーである。
まずバンドの爆音が好きになり、ひとりラッパーとしてキャリアをスタートさせたJUBEEが、音楽を掘っていく中で神様的存在だと感じるようになった上田剛士。彼への愛を凝縮させたこのカバーは、何かを捨ててこそ本気のメッセージを手に入れた今のJUBEEを象徴するものだった。一瞬でも素に戻ってしまえば、ステージ上で〈立ち上がれるさ〉と声を張り上げることなど不可能だろう。それができる情熱、覚悟、人間力をまず手に入れた。ライブハウスを一体に染める「ひとりバンド」スタイルは確かに面白いが、一番大切なのは、聴いてきた音楽だけでは測れない、個人の想いの強さ、なのだった。
ここをハイライトとするなら、もう残りは爆発するボーナスステージである。満を持してDragon AshのKj登場となった「Dream Smasher」。幼い頃から憧れたバンドマンとの共演に、JUBEEはもうガキのような表情で喜びを爆発させ、隣のKjも頼れる兄貴分どころか同じガキ大将として祭りを盛り上げる。続いて(sic)Boyらと歌う名曲「Playground」。さらには以前の代表曲を散りばめたアンコール。ずっと見たかった景色が見れたと笑うJUBEEは、アルバム『Liberation』で掲げた使命が現実になっていると感じていたのだろう。全員が主役のようなシンガロングで幕を閉じたあとには、いつまでも消えない一体感が会場中を染め上げていたのだった。
JUBEE、心を解放させる音楽の力 既存のラッパー像を覆して“みんなの歌”を届けたい理由
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