UVERworld、世界屈指の過酷なバンド道を走り抜く美学 25周年目前にして怒涛の“総決算シーズン”へ
2025年はUVERworldにとって記念すべき節目の年だ。2000年に前身バンドを結成してから25年、そして2005年にメジャーデビューを果たしてから20年というWアニバーサリーイヤーなのだ。結成から四半世紀ともなれば、言うまでもなくベテランもベテランである。その間さまざまな出来事を潜り抜けながら、彼らは唯一無二のキャリアと確固たるポジションを築き上げてきた。今の音楽シーンを見渡しても、UVERworldのようなやり方でトップランナーとなり、その後も長く先頭を走り続けている、そんなバンドは他にいない。自分たちに向けられた評価やパブリックイメージを、徹底した現場主義と極限的なこだわり、そしてストイシズムでぶち壊し、呑み込み、自分たちの糧にしてきたUVERworldの歩みは、ここで書き切れるほど簡単なものではない。
ただひとつだけ言えるのは、UVERworldは10年経とうと20年経とうと、UVERworldであり続けているということだ。自分たちの手で道なき道を切り拓き続けてきた彼らだけに、25周年を前にしてもその姿勢は一切ブレない。一般的な「ベテランバンド」とは真逆とも言える行動原理で自分たちにハードルを課し、それを自ら乗り越えていく――そんなアスリート的とも言える追い込み方で、今なお彼らはさらなる高みを目指し続けているのだ。そんな姿勢に憧れ、強い影響を受けているバンドマンも少なくない。彼らの年月の重ね方は、25年経とうという今、「バンドを続けていく」という人生のひとつのロールモデルとなっているように思う。
そんなUVERworldだからこそ、多くのcrew(ファン)や同志に熱く祝福されるであろうアニバーサリーを前にしても、その歩みを緩める素振りは1ミリも見せない。むしろますますストイックに、そして情熱をたぎらせながら、前人未到の領域に足を踏み入れようとしている。そんな彼らの姿勢が端的に表現されるのは、言うまでもなくライブの場である。彼らにとっての主戦場であるステージを追い求めて、今もUVERworldは走り続けている。これを書いている今も彼らは9月25日・名古屋の「誠果生誕祭」から始まった『UVERworld NO ENEMY TOUR』の真っ只中だ。「NO ENEMY」=「無敵」と名づけられたツアータイトルに、彼らの充実ぶりと並々ならぬ自負が透けて見える。
その『NO ENEMY TOUR』は大晦日まで続くのだが、そのラストスパートがとんでもないことになっている。マラソンで言えば40kmを過ぎたあたり、すでに後ろに追ってくる者はいない文字通りの独走状態であるにもかかわらず、そこからUVERworldは猛烈なダッシュで追い込みをかけるのだ。その皮切りとなるのは12月20日・横浜アリーナ。この日は「男祭りvs女祭り」というコンセプトが掲げられている。「男祭り」「女祭り」とは、ファンならばご存知のとおり、UVERworldが長く続けてきている男性限定、女性限定ライブのこと。それぞれ、違った意味でとんでもないライブになるのが常だが、今回は場内を男性限定エリアと女性限定エリアに分けた、文字通り「対決」の構図となっている。そして翌12月21日は、TAKUYA∞(Vo)の生誕祭。2013年以降毎年欠かさず行われ、ここ数年は横浜アリーナで開催されてきたこの日のライブもまた、前日とは違った意味で特別なものになるのは間違いない。
そしてクリスマス、12月25日は日本武道館での公演。この日は『UVERworld PREMIUM LIVE on Xmas 2024』と題され、なんと昼夜2回公演となる。今「なんと」と書いたが、UVERworldの場合、それぐらいではもはや驚かなくなっている(以前には「TAKUYA∞生誕祭」を武道館と横浜アリーナの2会場をハシゴして開催したこともあった)。とはいえ、冷静に考えてほしい。彼らがやっているのは、紛れもなく「UVERworldのライブ」なのだ。幕を開けた瞬間から全力疾走、そしてそのままゴールまで走り切るような、陸上競技で言えば800m走みたいなライブを、わずか数時間のインターバルで繰り返すというのがいかに超人的なことか。世界を見渡してもこれほど過酷なクリスマスを過ごすロックバンドはいないのではないかと思う。そして12月30日と31日、マリンメッセ福岡で『NO ENEMY TOUR』はファイナルを迎える。なかでも大晦日はまたしてもダブルヘッダーである。最後の最後まで自らを追い込みゴールラインを切るUVERworld。もちろん、それも求めるcrewがいればこそだが、そこまでやり切って燃え尽きなければ、UVERworldにとっての2024年は終わらない、ということなのだろう。