2024.11.15 16:00

Uru、野田愛実、乃紫……SNSやカバー動画からヒットを生む女性シンガーたち　拡散される鍵は歌声にあり？

文＝荻原梓

乃紫

　作詞作曲からアートワークすべてをセルフプロデュースする2000年生まれのZ世代。幼少期に習っていたピアノやバイオリンにはのめり込むことはなかったものの、大学の夏休み中にたまたま作曲ソフトに触れたことがきっかけで音楽制作を始めるようになる。今年1月にリリースした「全方向美少女」が大きなヒットを巻き起こし、知名度が急上昇。続く「初恋キラー」もバイラルヒットとなり、一躍2024年の顔のひとりとなった。

乃紫 (noa) - 初恋キラー【Official Music Video】

　新曲「緑色反応」は激しいギターサウンドをバックに〈いっそ中学生みたいな恋したい〉と歌う一曲。大人になって変わってしまった自分の本音を、独特の言語感覚で綴った歌詞が印象的だ。言葉選びやエピソード選びのセンスに新世代を感じさせる。

tuki.

　自粛期間中に家にあったギターを弾いてみたことがきっかけで音楽活動を始めたtuki.。TikTokに弾き語り動画を投稿すると、その深みのある伸びやかな歌声で徐々に注目度が上昇。初リリースの楽曲「晩餐歌」がバイラルヒットを巻き起こし、15歳にして大ブレイクを果たした。彼女も2024年の音楽シーンを代表するひとりだ。

tuki.『晩餐歌』Official Music Video

　新曲「愛の賞味期限」は、SNSばかり見ている恋人に自分から別れを告げる歌。持ち前の歌唱力は健在で、美しく力強い歌声のなかにも随所に特徴的な表現が光る。相手に強く出る主人公だが、内心は寂しさもあり、その絶妙なバランスが歌声にも歌詞にも表れた作品である。

　無名の存在がたった数日で時の人になることも珍しくない昨今。最近は視聴者側の目も肥え、楽曲や歌に対する鋭いコメントも散見されるようになった。そういう意味では、若手アーティストにとってSNSは成長の場とも言える。ネットで磨き上げられたアーティストが今後も音楽シーンに増えてくるだろう。