野田愛実、「butterfly effect」で放つ強いエネルギー 混沌の世界を一掃する清らかな歌声の根源とは?

野田愛実、透明な歌声の根源とは

 連続殺人事件に巻き込まれ、すべてを奪われた女性刑事が故郷に戻り、過去の真相を暴いていくサスペンスドラマ『約束 ~16年目の真実~』(読売テレビ/日本テレビ系)。その主題歌「butterfly effect」を歌っているのが、シンガーソングライターの野田愛実だ。物語がシリアスに展開していくなか、ここぞという場面で天から降り注ぐように聴こえてくる歌声は救世主のごとく、ドラマをさらにエモーショナルなものへと仕立てあげてくれる。

野田愛実『butterfly effect』
『butterfly effect』

 稀有な歌唱力の高さで、ライブの現場を中心にじわじわと注目を集めてきた野田愛実。彼女の歌声は混沌とした世界を一掃してくれるほど美しく、清く、正しさを映し出した歌詞は彼女の魂から流れ出てくるメロディとともに聴く者の気持ちをニュートラルな気分にさせてくれる。筆者が実際に彼女に会った際、そこにいるだけで場を明るくしてくれる、笑顔が素敵な後光が差しているような――だが、一本筋の通った強いエネルギーを感じさせてくれたことが印象的だった。

 ピアノを3歳から習い、両親に大切に育てられ進学校へ通っていたことから、自ら「ルールは守る。真面目に生きてきたと思います」と話すほど、清く、正しく、美しい10代を過ごしてきた。宇多田ヒカル「Automatic」に衝撃を受け、ギターを片手に曲を作るようになったのは、中学校1年生の頃。その頃から“シンガーソングライター”という肩書きを意識するようになり、上京して大学へ通いながらライブハウスで歌い始め、ZIP-FMが主催するオーデション『ZIP-FM SPOTMUSIC AUDITION』でグランプリを取ったことがきっかけで、2015年にデビューミニアルバム『ミライ』をリリース。その頃は少女漫画的でフィクションな内容の歌詞が多く、しかしそこへの違和感も感じ始めた20代半ばから“脱・優等生”を目指し、シニカルな視点を持った独特な歌詞で意識改革をしていったという。

 コロナ禍には、ライブを行う現場を失い思うように音楽活動ができず、この先どのように活動をしていけばいいのかを考えた結果、始めたのがYouTube配信。アコースティックギター弾き語りのスタイルで、カバー曲を1日1曲配信をすることだった。歌唱力の高さと楽曲のセレクトのよさで、配信は彼女の存在を知らなかった人たちの目にも留まり、じわじわと注目を浴びることに。さらに、2021年10月には『スッキリ』(日本テレビ系)内の川谷絵音が担当するコーナーにて「今、いちばん惚れ込んでいる歌声」として彼女がピックアップされた。リアリティのある恋愛体験を等身大のまま歌詞やメロディに託す形で楽曲を制作し、そこへ共感を得たリスナーも増え、現在YouTube登録者は22万人以上、総再生回数は6000万回以上と、数字のみならず活動を繰り広げてきた。

真夏の果実 / サザンオールスターズ Cover by 野田愛実(NodaEmi)
サウダージ / ポルノグラフィティ Cover by 野田愛実(NodaEmi)

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