2024.02.19 16:00

デビュー曲がストリーミング累計1億回再生突破　tuki. “顔出しなし”中学生アーティストの価値観

文・取材＝泉夏音

　デビューシングル「晩餐歌」がスマッシュヒットし、Spotify「Early Noise 2024」に選ばれた現在15歳のシンガーソングライター tuki.。顔出しはせず、TikTokで弾き語りカバーやオリジナル曲を披露したことから人気に火がつき、「晩餐歌」のMVはYouTubeで1500万回再生を突破。どんどんファンの数を増やしている期待の新人だ。

tuki. 「サクラキミワタシ」

　そんな彼女の新曲「サクラキミワタシ」が、ABEMA『今日、好きになりました。卒業編、卒業編2024』の挿入歌を担当。今年3月に卒業を控える彼女の心境をそのまま表現したという同曲は、リアルな学校生活の風景と共に別れに対する寂しさが歌われている。

　楽曲を作り始めたきっかけから普段の音楽制作まつわるエピソード、デビュー以降の反響に対する印象などを聞いた（編集部）。

面白いアニメを見れば大体1曲は作れる気がする

tuki.『晩餐歌』Official Music Video

ーーまずは歌手になりたいと考えたきっかけを教えてください。

tuki.：もともと歌手になりたいとは思っていなかったです。音楽は好きなので、音楽に携わる仕事がしたいなという認識くらいでした。

ーーなぜ音楽を作るようになったんですか？

tuki.：十三歳の時に父が使っていたギターが部屋に落ちていて、コロナの時に暇で触っていたのがきっかけでした。普段はピアノ、ギターとノートで音楽を作っています。

ーーお父さんの影響もあったんですね。では、楽曲を作りたいと思う瞬間はどんな時ですか？　

tuki.：アニメ、漫画、日常生活から刺激を受けて楽曲を作ることが多い気がします。最近だと『呪術廻戦』や『進撃の巨人』に心を動かされました。あと、『約束のネバーランド』も好きな作品ですね。漫画は私にとって教科書みたいなもので、どうすれば人の心が動くのかを教えてくれるんです……私としては面白いアニメや漫画を読んだ後はすぐ創作意欲が湧くし、いいものができる気がしています。

ーー作詞作曲のほか、編曲もご自身で手掛けていますか？

tuki.：編曲は自分でやってないです。父の友人のアレンジャーの方とお話しをしながら少しずつ詰めていく作業をしています。

ーーなるほど。では、tuki.さんが普段歌詞を書くうえで大事にしているポイント、楽しさを感じる部分を教えてください。

tuki.：うーん……心の動いた瞬間を文字に起こすことを大事にしています。言葉の韻を踏むワードを探して、ピッタリハマった時はうれしいです（笑）。でも、ボキャブラリーがまだまだ少ないので、ネットで調べながら地道に作詞していっています。

ーーもともと歌手になりたいとは思っていなかったというお話もありましたが、tuki.さんにとって歌うことはどんな意味を持っていますか？

tuki.：楽しいからやってるだけで、特に意味はないです！　純粋に楽しいからやっているに尽きますね。

ーーデビュー曲「晩餐歌」がヒットを記録し、Spotify「Early Noise 2024」に選ばれて、周りからの注目も高まっていると思います。曲がヒットしたことで音楽活動に対する熱量が上がったり、心境に変化はありますか？

tuki.：ヒットしたから熱量が上がる、ということはないですね。逆に言うと以前も今も変わらない。

ーー急速に名前や歌が世の中に広がっていくことに対して、どんなことを感じていますか？

tuki.：静かに暮らしたいので、それが害されたらイヤだなーという不安はあります。もちろん、私は顔出しをしていないので、顔出ししている有名人の方に比べたらマシな方だとは理解しています……。それにもっというと、普通の生活の中にいい音楽をつくるチャンスはあると思っているんです。

ーーいわゆる刺激が日常になくても音楽は作れると？

tuki.：私は生きること自体もクリエイティブな活動だと思っていて。クリエイティブな活動って音楽に限らず、どんなものでも楽しいなと思います。