乃木坂46、センター復帰の遠藤さくらが齋藤飛鳥から受け継ぐもの 『歩道橋』フォーメーション解説
乃木坂46の公式YouTubeチャンネル『乃木坂配信中』の生配信にて、12月10日にリリースされる37thシングル表題曲「歩道橋」のフォーメーション発表&初披露が行われた。
2024年8月にリリースされた36thシングル『チートデイ』から約4カ月ぶりとなる今回のシングル。すでに卒業を発表している向井葉月は本作には参加せず、彼女を除くメンバーの中から19人が選ばれた。乃木坂46の選抜発表は冠番組『乃木坂工事中』(テレビ東京系)で行われるのが恒例となっているが、今シングルは生配信で行われた。過去には齋藤飛鳥のラストシングルとなった31stシングル『ここにはないもの』をYouTube生配信で初披露したことがあるものの、翌日放送された『乃木坂工事中』で改めてフォーメーションが発表されたことを踏まえると、今回は特異なケースと言える。
ファンが固唾を呑んで画面を見守る中、センターに選ばれたのは遠藤さくら。センターを務めた3期生の山下美月ラストシングルとなった『チャンスは平等』、5期生の井上和の成長を見せた『チートデイ』という今年の流れを踏まえると、今年のラストシングルとしてグループの中核を担う4期生の遠藤がセンターを務めるのはごく自然な流れと言える。
ただ、筆者が気になるのは「歩道橋」のパフォーマンスの演出が齋藤の卒業シングルと酷似していたことだ。遠藤にとって齋藤は、グループの先輩後輩の垣根を越えた存在。齋藤の卒業コンサートで遠藤は、「飛鳥さんからいただいたものを忘れないように、一生懸命抱えて、これからもここで一生懸命踏ん張って頑張ります」と誓いを立てていた。
これまで24thシングル『夜明けまで強がらなくてもいい』、27thシングル『ごめんねFingers crossed』、34thシングル『Monopoly』と表題曲センターを経験してきた遠藤。この1年は、『乃木坂46 真夏の全国ツアー2023』『乃木坂46 真夏の全国ツアー2024』ともに座長としてグループを牽引した井上を先輩としてそばで支える側に回り、先輩としてたくましい姿を見せてきた。『EX 大衆』2024年7月号(双葉社)のインタビューで遠藤は、「後輩ができたことが大きかったと思います。後輩に弱い姿は見せたくないし、『先輩なのにどうして?』と言われたくないんです」と頼もしい言葉を残していた。約1年ぶりに立つセンターというポジションで、彼女は齋藤の思いを受け継いで、後輩に頼もしい背中を見せる。
そんな遠藤を支える両隣のポジションは、井上と池田瑛紗という5期生が並ぶ。「Monopoly」では、2列目のポジションからセンターに立つ遠藤と賀喜遥香の背中を見てきた2人が、今度は遠藤の間近で支える立場になる。二度のセンターを経験し、もれなく乃木坂46の顔へと成長した井上。『真夏の全国ツアー』で2年にわたって座長経験を積んだ井上は実に頼もしい。
そして、東京藝術大学進学を機に活動の幅を広げている池田もすでにグループの中心的存在として、安定したパフォーマンスを見せている。池田は公式ブログの中で「センターを務められるさくらさんのお隣で支えられる場所です」「支えられると書いて、おこがましいかな…とも思ったけれど、やっぱり支えられる人間になりたくて書きました」(※1)と決意を覗かせていたが、池田のこの思いは井上も同じだろう。その両翼には遠藤を誰よりも近くで見守り、時にはライバルとして切磋琢磨してきた賀喜、そしてグループ全体を俯瞰して常にバランスを取ってきたキャプテンの梅澤美波という盤石な布陣だ。
2列目には下手から五百城茉央、川﨑桜、久保史緒里、与田祐希、一ノ瀬美空、中西アルノと、5期生に挟まれる形で、3期生の“よだくぼ”がシンメトリーというこれまでになかった形。遠藤の裏センターの位置に久保と与田という安定感のある2人がいるのは心強い。遠藤も安心して背中を任せられるはずだ。2列目の中でも注目したいのは、今年3月の『12th YEAR BIRTHDAY LIVE』で遠藤と距離が縮まったという中西。井上を筆頭に遠藤を推しメンに挙げているメンバーが5期生には多いが、SHOWROOM配信番組『のぎおび』で中西は「さくさんのことを好きになっちゃったら、もうおしまいなの。抜け出せないから!」と遠藤に対してくびったけな様子だった。この1年で遠藤との距離が縮まった中西にとって、彼女の背中を間近で見ながらパフォーマンスできるのは願ってもない機会だろう。