りりあ。目の前のファンと楽曲や想いを共有した時間  1stワンマンライブツアー『約束』ファイナル公演

りりあ。『約束』ツアーファイナルレポ

 シンガーソングライターのりりあ。が、11月6日に自身初となるツアー『First OneMan LiveTour「約束」』のファイナル公演をSHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催した。

 「騙されないからね。」「ねえ、ちゃんと聞いてる?」そして、TVアニメ『らんま1/2』エンディングテーマ「あんたなんて。」など、今年に入ってからも話題曲を続々と発表しているりりあ。。この日のライブで彼女は、色とりどりの感情を映し出すボーカルとフレンドリーなキャラクターを軸に、アーティストとしての類まれな魅力を存分に発揮してみせた。

 ステージに掛けられた幕に投影されたのは、美しい光の粒や湖、空、宇宙を想起させる映像。白い鳥が飛翔するシーンが映された後、エレクトロ的なSEが鳴り止み、幕が上がる。ステージにはりりあ。、そして4人のバンドメンバー。金髪ツインテール&ひざ丈ドレス姿の彼女が「最後まで楽しんでいこう! よかったら、みんな立って!」と呼びかけると観客が一斉に立ち上がり、手拍子を送る。1曲目は「騙されないからね。」。生々しいバンドサウンドと力強い歌声が響き渡り、会場全体に心地いい一体感が生まれた。

りりあ。ライブ写真(撮影=飛鳥井里奈)

 さらにカントリー系のサウンドと〈私こそずっとずっと大好きだったよ〉というフレーズが広がった「素直になりたい子の話。」を披露し、最初のMC。「音、大丈夫? 奥まで見たいので照明当ててもらっていいですか? みんなありがとう!」と、客席全体を見渡しながら話しかけた後、「貴方の側に。」(TVアニメ『わたしの幸せな結婚』オープニング主題歌)で愛らしさと切なさを表現。続く「ねえ、ちゃんと聞いてる?」(ドラマ『あの子の子ども』オープニング曲)では、“君”に向けられた初々しい愛情を歌い上げ、オーディエンスを強く惹きつける。音源よりもさらにエモーショナルの度合いを強めたボーカルも印象的。観客の前で歌うことで、シンガーとしてのポテンシャルがさらに高まっていることが真っ直ぐに伝わってきた。

りりあ。ライブ写真(撮影=飛鳥井里奈)

りりあ。ライブ写真(撮影=飛鳥井里奈)

 ここからはアコギの弾き語り。「こういう曲しか書けないんだなって最近よく思います。なかでもいちばん重い曲を。この曲が私のスタートといっても過言ではないです」という言葉に導かれたのは「浮気されたけどまだ好きって曲。」。恋人に浮気されたと知ったときの放心状態、そして、〈汚れた君は嫌いだ/君を汚したあいつも嫌いだ〉というラインを丁寧に紡ぎ出してみせる。

 「浮気されたけどまだ好きって曲。」と同じくバイラルヒットを記録した「蛙化現象に悩んでる女の子の話。」もアコギの弾き語りで披露。SNSを介して10代~20代を中心としたリスナーの暮らしに寄り添ってきた楽曲が、ライブという場所でリアルに鳴らされ、目の前の観客に改めて手渡される。そこにあったのは音楽による純粋なコミュニケーションそのものだ。繊細なボーカル表現はもちろん、歌を引き立てるアコギの上手さも記しておきたい。弾き語りカバーから活動をスタートさせた彼女。その原点はやはり、“アコギと歌”なのだろう。

りりあ。ライブ写真(撮影=飛鳥井里奈)

 続いてはキーボードと歌の編成で歌われた「最後のバイバイ。」「何回歌っても感情移入しちゃうし、泣いちゃうこともあります」というコメント通り、一つひとつの言葉の濃い感情を乗せていく。恋の終わりに伴う痛みにも似た感情をダイレクトに刻むボーカリゼーションはまさに圧巻。彼女の歌がこんなにも強い共感を生み出す理由を、改めて実感することができた。

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