柴咲コウ、多彩な活動で魅了してきたシンガーとしての変遷 普遍的かつ個性的な「紫陽花」に至るまで

柴咲コウ、最新曲「紫陽花」に至るまで

 柴咲コウから新曲「紫陽花」が届けられた。シングル「TRUST」(2022年12月)以来、約2年ぶりの新曲となる「紫陽花」は、11月27日にリリースされるEP『響宴』からの先行配信曲。現在の彼女の音楽的モードの一端が窺える楽曲と言えるだろう。

 まずは“柴咲コウの音楽”について振り返ってみたい。

 2002年、シングル『Trust my feelings』で歌手デビュー。彼女の歌声が広く認知されたのは、RUI名義のシングル『月のしずく』(2003年)だった。映画『黄泉がえり』主題歌として制作された表題曲は、和のテイストを取り入れたメロディ、エキゾチックな雰囲気のボーカルが印象的なバラードナンバー。オリコン週間シングルチャート1位を記録した『月のしずく』によって彼女は、アーティストとしての最初のイメージを確立したと言っていいだろう。

 その後は柴咲コウ名義の楽曲「かたち あるもの」(TBS系ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』主題歌)、「Sweet Mom」(映画『この胸いっぱいの愛を』主題歌)、「影」(TBS系ドラマ『白夜行』主題歌)などがヒット。ほとんどの楽曲で柴咲自身が歌詞を手がけていて、美しい憂いを帯びたボーカルと同じく、彼女のアーティスト性における重要な要素となった。

柴咲コウ「かたち あるもの」 | KO SHIBASAKI 20th Anniversary HINOMIKO UTAGE 陽の巫女の宴
柴咲コウ - Sweet Mom

 また、幅広いアーティストとのコラボレーションにも積極的に取り組んできた。福山雅治とのユニット KOH+では、「KISSして」(フジテレビ系ドラマ『ガリレオ』主題歌)、「最愛」(映画『容疑者Xの献身』主題歌)などがヒット。そのほかにもUKのエレクトロニックユニット・Juno Reactorとの共作による「Intoxicated」のリリース、DECO*27、TeddyLoidとのgalaxias!結成など、ジャンルを超えた活動を繰り広げてきたのだ。抒情的なバラードの印象もある柴咲だが、彼女自身はエレクトロからボカロまで幅広い音楽に触れていて、それを自分の作品や活動に反映させてきたというわけだ。

 歌手活動20周年を迎えた2023年には、アルバム『ACTOR'S THE BEST 〜Melodies of Screens〜』を発表。俳優として出演した作品(映画『バトル・ロワイアル』『世界の中心で、愛をさけぶ』、TBS系ドラマ『オレンジデイズ』や『GOOD LUCK!!』、フジテレビ系ドラマ『Dr. コトー診療所』、NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』など)の主題歌や挿入歌をカバーした本作は、俳優と歌手を初めて交差させた作品として話題を集めた。さらに昨年末には4年半ぶりの全国ツアーを開催。以前から「LIVEとはエネルギーの交換場所だ」(※1)という趣旨のコメントをしていた彼女にとっても、歌手活動の集大成と呼ぶべきツアーになったようだ。

【柴咲コウ CONCERT TOUR 2023 ACTOR'S THE BEST】アーカイブ配信開始!

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