久保田利伸の進化し続ける“ソウル”を体感 新旧の楽曲と観客が生み出した一体感溢れる熱いステージに

久保田利伸の進化し続ける“ソウル”を体感

 このツアーでは、実に多彩な年代の楽曲が披露されている。たとえば、昨年開催されたツアー『Bossa & Lovers Rock Night Ⅱ』でも好評だった曲もあれば、同ツアーで入れたかったけど、どうしても入れられなかった曲など。また、“いつもの”と言うだけあって、久保田を代表する楽曲が、多数披露されたこともファンには嬉しかっただろう。恐縮した様子で「やっちゃっていいかな?」と声をかけると、客席からは「待ってました」と言わんばかりの拍手と大歓声が沸き起こり、会場には久保田と一緒に歌う観客の大合唱が鳴り響く。デビュー当時の曲も披露され、その中では曲の途中で〈NHKホールに集う〉と歌詞を会場に合わせて歌うなど、“2024年の今”という瞬間を刻む嬉しいアドリブも満載された。

 そして6月にリリースした新曲「the Beat of Life」も披露された。「CITIZEN」のブランド時計 100周年を記念して作られた楽曲で、教会の中や東京のビル群をバックに撮影されたMVも印象的だ。YouTubeの紹介欄では「年月の悲喜こもごもたちが育んできた人生を、1本の太いGROOVE(Beat)に置き換えて「the Beat of Life」ができました」(※1)とコメントしている。どっぷりとした深みのあるビートに乗せて、ゆっくりと体を揺らした観客。久保田は衣装のフードを目深にかぶって、ミステリアスな雰囲気で登場。雄大かつ力強い歌声を響かせ、ビートに乗って手を上下に揺らす。どこか映画のワンシーンを思わせるシアトリカルな演出が、楽曲のメッセージと重なって聴く者の胸を揺さぶった。

久保田利伸(撮影=入日伸介)

 久保田は来年迎える40周年に向け、「皆さんの応援のおかげです」と感謝の言葉を綴る。40周年における施策も予定しているとか、していないとか。今のところ真偽は不明であるが、なんだかとてつもなく期待したくなることも発言していた。来年1月15日、16日、21日、22日に開催される、大阪・フェスティバルホールでの4DAYSでファイナルを迎える本ツアー。楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。佐藤さんでなくとも何度でも観たくなる、久保田利伸のソウルとエンターテインメントあふれるツアーを楽しんでほしい。

※1:https://www.youtube.com/watch?v=u1UM-oPGUS8

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