BOYNEXTDOOR、『19.99』は聴きやすさと深みが融合した一作 隙のないポップスとしての完成度の高さ
若さゆえの焦燥をコンセプチュアルなストーリーに落とし込む代わりに、同世代のリスナーに寄り添うような軽やかさで表現するにあたっては、「SKIT」(文字通りスキット)の肩肘張らない雰囲気も絶妙な役割を果たしているように思う。
ところで驚いたのは、先行配信もされた1曲目の「Dangerous」で、ログドラムのベースがさりげなく取り入れられていることだ。南アフリカ発のダンスミュージック、アマピアノで多用され、ジャンルを象徴する音色として広く認知されたのみならず、そのユニークな存在感から他のジャンルでも取り入れられることが増えている。ポップミュージックの文脈でいえば、タイラ「Water」の世界的なヒットがその認知度を高めたことだろう。K-POPではLE SSERAFIM「Smart」(ミニアルバム『EASY』収録)がかなり「Water」を意識したアレンジで、当然のごとくログドラムを鳴らしていたのが印象深い。
しかし「Dangerous」は特にアマピアノやアフロビーツといったジャンルらしいサウンドに貫かれているわけではなく、ミニマルなヒップホップの中にややダークでパーカッシヴな4つ打ちのパートが登場し、そこにログドラムの特徴的な音色と高速連打するフレージングが取り入れられている。本楽曲はちょっと意表をつく登場だった。
『19.99』は粒ぞろいの曲が揃ったEPで、捨て曲がない。街中やラジオ、パーティーで流れているところに出会ったら少し得した気分になれるような作品だ。
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