DOPING PANDA、盟友と駆け抜けていく新たな青春 ツアー再開を機に熱狂の『kickoff party』を振り返る

ドーパン『kickoff party』を振り返る

 DOPING PANDAが4カ月にわたって開催している全国ライブハウスツアー『mugendai THE CARNIVAL 2024』もいよいよ後半戦に差し掛かった。

 10年越しの華々しい再結成から早2年、DOPING PANDAは絶えず新しい挑戦を続けてきた。2022年のニューアルバム『Doping Panda』リリースや、再結成ツアー『DOPING PANDA「MIRACLE」∞ THE REUNION TOUR』開催、『FUJI ROCK FESTIVAL '22』出演などを経て、2023年にはドーパンのDNAを受け継いだ夜の本気ダンスとの対バン『本気ダンスタイム VS 無限大ダンスタイム』や、盟友 the band apartとの対バン『mellow fellow』が実現。そして今年6月12日、念願となるドーパンとバンアパのスプリットEP『MELLOW FELLOW』がリリースされた。決して急ぐことなく自然体に、それでいて一瞬一瞬を濃密にするためのストイックな情熱は過去一番に。新たな青春を謳歌するべく、DOPING PANDAは第二の黄金期を更新している。

 そう、DOPING PANDAといえば、そのストイックさゆえに2000年代ロックシーンの中で孤高の存在感を放ったバンドだった。ハードロックやパンクといった従来のロックの王道を土台にしながら、同時代の英米のインディロックとも共振し、ダンスミュージックやファンクを昇華したソングライティングで時代を先取った。その選択がいかに正しく、そして早かったのかについては、ドーパン解散以降の2010年代の邦ロックシーンの流れが示している通り。解散以前のドーパンは、ロックに内包された先鋭性を体現するために、曲作りのみならず、イメージづけやライブの見せ方に至るまで、自身に高いハードルを課す必要があったのだろう。だが、彼らのDNAがロックシーンに幅広く浸透し切った今、ドーパンの音楽性を受け入れる土壌は10年以上の時を越えて、正しく耕されたと言っていい。いい意味でシーンを気にしない姿勢はそのままに、目の前のオーディエンスと手を取り合いながら熱狂のダンスタイムを繰り広げているのが今のドーパンなのである。

Yutaka Furukawa

 そんな彼らが、再結成後一発目のライブ会場となった新代田FEVERで6月15日に開催した『Doping Panda 2024 kickoff party』は、肩肘を張らないリラックスした空気感と、ストイックな“無限大ダンスタイム”(ダンスナンバーの連発)をどちらも堪能できる、2024年のドーパンにしか実現できない素晴らしい一夜だった。

 オープニングを飾ったのは「MIRACLE」。早速Yutaka Furukawa(Vo/Gt)のギターソロが火を吹くと、赤い照明に照らされながら間髪入れずにかき鳴らされた「The Fire -Alarmix-」ではテンポに緩急を入れつつ、自由にドーパメイニア(DOPING PANDAファンの総称)を踊らせる。「I'll be there」や「beautiful survivor」といった定番曲で畳み掛け、序盤から無限大ダンスタイムが火を吹いたのも束の間、再結成後初の新曲として発表された「Imagine」が過去曲を凌駕するほどの景色を作っていたのも感動的だった。新しいドーパンのアンセムにフロアの誰もが拳を掲げ、「WOW」と歌声を重ねていく景色は、「ドーパンが帰ってきた」という感慨を何度でも与えてくれる。

Taro Hojo

 「Transient Happiness」では「待たせたな。今年も行こうぜ!」「一生愛してるぜメイニア」と言ってタッピングも交えたFurukawaのギターソロが炸裂。続く「beat addiction」ではTaro Hojo(Ba)、Hayato Beat(Dr)の織りなすグルーヴとギターがとめどなく絡み合い、ディープな世界へとオーディエンスを誘った。互いの体力を心配し合うような長めのMCにフロアから笑いが生まれると、「Lost & Found」や「GAME」などベース始まりのパンキッシュな楽曲でオーディエンスを小刻みに踊らせ、Taroが思わずステージ前方に身を乗り出す場面も見られた。

Hayato Beat

 二度目のMC明け。印象深かったのは、ドーパンの新たな定番曲となる予感に満ちた『MELLOW FELLOW』収録曲「goodbye to the old me」、そして本ブロックのラストを飾ったインディーズ一発目のシングル『Dream is not over』収録曲「JUST SAY GOOD-BYE」。この2曲は24年も間を空けて放たれた“原点”と“現在地”であるとともに、同じイントロから始まる、いわば兄弟曲。まさか「JUST SAY GOOD-BYE」にこうした新しい物語が生まれるとは想像もしていなかったが、過去の名曲を今のバンドの姿と地続きなものに昇華していけるのも、再結成ならではの美しさだろう。

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