ExWHYZ、“Sweet & Sour”を抱えて駆け抜ける今 出会いの重なりから生まれた豊かな感情表現

ExWHYZ、駆け抜ける今

 ExWHYZから今年の夏を盛り上げるニューEPが届いた。7月31日リリースの『Sweet & Sour』は、過去も未来も喜びも切なさも、あらゆるものを抱きしめて、目の前にある“今”を生きるExWHYZと僕らの日々をリフトアップさせる、力強い1作だ。始動から2年間、駆け抜けてくる中で感じたもの、5月から繰り広げてきたライブハウスツアー『ExWHYZ TOUR 2024 'Futura Free'』で築き上げてきたマスター(ファンの総称)との信頼関係、進化し続けるメンバーの感情表現……培ってきた全てのものを注ぎ込んだ5曲は、今までのように様々な表情を見せながら、今まで以上に彼女たちの素顔を伝えてくる。現在、ExWHYZはmidorikoとmayuが体調不良で活動休止中。大変な状況だが、だからこそExWHYZの底力と、マスターとの結束力が問われている。このEPはそんな今のExWHYZに対してもきっと光を照らしてくれるんじゃないかと思う。(小川智宏)

感情が溢れ出す瞬間が増えたツアー『Futura Free』

――ツアー『Futura Free』、手応えはどうですか?

mikina:mayuちゃんがお休みしたり、いろいろ状況の変化はあるんですけど、今回は最初からメンバーの感情がすごく感じ取りやすいツアーだなと思っていて。メンバーの感情の起伏によって歌い方とかライブの空気に如実な変化が出るのが、人間味があっておもしろいなという感想がありますね。あとはライブハウスでお客さんと距離が近いので――お客さんは本当はただ楽しんでくれるだけで十分なんですけど、こういう状況もあって「俺たちも一緒にいるよ」みたいな感じを出してくれるんです。そういう気持ちに支えられながら進めていってる感じですね。

yu-ki:毎公演、マスターのパワーをビシバシ感じてます。本当にこの瞬間を楽しもうとしてくれているのがすごい伝わってきて。今回初めてライブに来てくれる人もいるのに、あんなにみんな楽しんで、前に前に来てくれてるのが嬉しいなって純粋に思いました。あと何より、地元・埼玉で初めてライブができたんです。すごく楽しみにしてたので嬉しかったですね。

now:このツアーは、ライブハウスということもあって去年の夏以上に汗をかきまくっていて、床が水滴だらけになるほど汗をかけているツアーだなって(笑)。あと私もこのツアーは1曲1曲で出る自分の感情をすごく大切にできてると思うんです。その時その時でマスターとメンバーが引き出してくれた自分なりの楽しい気持ちをすごく出せてる気がしてるので。今話を聞いていて、mikinaちゃんもそういうことを感じてくれてるのが嬉しかった。

――そうなれたのはどうしてだと思いますか?

now:これまでの一つひとつのライブの積み重ねがあったからだなっていうのはすごく思いますし……あと私、ちゃんみなさんが好きなんですけど、年始にライブを観に行ったときにすごく刺激を受けて、陰ながらいろいろなチャレンジをしてみたりしているんです。今までは自信がなかったけど、メンバーとかマスターが「nowらしく、そのままでいていいんだよ」って伝えてくれることに対してよりじっくり考えるようになって。だから自分の感情にもっと素直になれることが増えたんです。そういういろいろなことが重なって、たぶん今、とてもいい状態でライブができているんだなって思います。

――そういうところは他のメンバーにもあるんじゃないですか? 自分の気持ちをより素直に出せるようになった、とか。

yu-ki:感情が溢れ出てしまう瞬間が増えたなって思いますね。悲しいとかじゃなく、嬉しいとか楽しいとかのプラスな方の感情でいっぱいになって、ライブ中にそれが溢れ出てしまうとか。メンバーやマスターのみんなの楽しそうな顔を見たりして、それで心が温かくなる瞬間がすごくいっぱいだなって。

――それはいろいろな要因がありそうですよね。もちろん表現が進化したというのもあるし、いろいろな感情を出せる曲が増えてきたというのもあるでしょうし。mahoさんは今回のツアー、どんなことを感じながらやってきましたか?

maho:今年に入ってからのワンマンライブは『Futura Free』が初めてで。年始にあったWACKツアー(『PiZZA WACKful WORLD TOUR』)とかで初めて観てくれた人も意外といたんです。長い期間、いろいろな場所をツアーで回るとそういう出会いがあるから、やっぱりすごく大事だなって思います。毎年こうやってライブハウスツアーをさせてもらえるのはすごくありがたいなって思いましたし、やっていても「Unknown Sense」みたいな曲が育っているというか。みんなめっちゃアガってくれるなんて、去年はわからなかった。このツアーでそうやって色が出てくるのもおもしろいなって。

maho

――ここまでやってきて、何か印象的な出来事はありますか?

maho:ツアーだから、メンバーの気持ちもどんどん溜まっていくじゃないですか。「Unknown Sense」でいえば、mikinaちゃんが今までやったことのない……煽り?

yu-ki:ドスの効いた声っていうか……。

mikina:なんか私、「魔王」って呼ばれるんですよ(笑)。

maho:mikinaちゃんの中の魔王が出てくるんですよ。想像できないじゃないですか。

mikina:私としてはすごく生き生きと楽しく煽ってたつもりなんですよ。で、終わってから「今日『Unknown Sense』楽しかったね」みたいなことを言ったら「お前、今日“魔王”が出てたぞ」みたいなことを言われて(笑)。

maho:やっぱり地方ごとにみんな(煽りを)変えてきたりするから。練習してるけど、みんな鏡に向かってやってるときじゃなかなか出ないものが出るのがおもしろい。この人(yu-ki)もさ……。

yu-ki:(笑)。

mikina:私が「6WHYZ」のイントロで煽るようになったんですよ。その日、その時に出た言葉を叫ぶんですけど、新潟で私が「酒は飲んでも飲まれるな」みたいなことを言ったんです。

mikina

――新潟は酒どころですからね。

mikina:そしたら、それを受けてyu-kiちゃんが自分のパートで「酒が好きなヤツが一番!」みたいなことを言って。「飲んでも飲まれるな」って私は言ってるんですよ(笑)。なのに……。

yu-ki:そこに抗う気持ち(笑)。

now:あと地方ごとで方言を入れたりもして。

maho:あの(近い)距離感だからできるっていうのもあるよね。話してる感覚じゃないけど、本当に全員見えるから心が開放的になるというか。それがおもしろいですね。

――でもそうやって心を解放して、感情を解放して、その上で初めましての人ともたくさん出会えているというのはいいですね。今までExWHYZを応援してきたマスターにとっても新鮮でしょうし、当然初めて来た人は「あ、こんなグループなんだ」って思うだろうし。「魔王がいるんだ」とか(笑)。

yu-ki:ギャップがね。

mikina:ギャップどころか、初めてだと魔王がデフォになるかもね。「あの人こういう感じなんだ」って(笑)。

yu-ki

『Sweet & Sour』はいろいろな愛の形が詰まったEPに

――今回のEP『Sweet & Sour』の気分もそういうライブの実感と繋がっている感じがしますよね。ステージでの皆さんと同じように、いい感情もそうじゃない感情も溢れさせて、しかもそれをちゃんとポップに歌っていくという。このEP、どんな作品になったと思いますか?

maho:私にとっては「ExWHYZの夏休み」って感じです。曲が夏っぽいっていうのもあるし、リリース時期もそうだし。馴染みのあるところからちょっと冒険して、いろいろな色の道を通って、それを振り返るかのような「Sweet & Sour」で締める。ひと夏の冒険的だなって聴いていても思うし、レコーディング中もそういう気持ちになりました。

――冒険した感がある?

maho:冒険しました! 非日常っぽいのもあるじゃないですか。「NIGHT COASTER」とか「教えない」とか。かと思ったら「present[ExWHYZ Ver.]」で幸せな気持ちになったりとか。

――確かに、いろいろな世界を行き来している感じがありますね。過去とか未来とか、夢の中とか真夜中のクラブとか。

maho:そうそう。いつもなら行かないところに行ってみたりとか。それが自分にとって夏休みっぽいなという感じでしたね。

now:初めて曲を聴いたときに、メンバーの表情がちゃんと想像できて。きっとこの曲たちは、その日の気持ちによって聴き方が変わってくるのかなともすごく思いました。「Sweet & Sour」とかはライブでもすごく感情が出たりするから。私自身もこのタイミングでこのEPの曲たちに出会えたことがすごく大きいなと思います。

now

――まさに1曲の中にいろいろな感情が詰まっているというか。「これは切ない曲」「これは楽しい曲」っていうんじゃなくて、全部が混ざり合っている。

yu-ki:はい。いろんな愛の形があるなと思ったEPでしたね。それこそ「ドラマ」はストレートに愛を伝えてくれる曲だし、「present」は隣で寄り添って優しく包み込んでくれる愛の形だし。愛にもいろんな伝え方とかいろんな種類があるんだなっていうのを、このEPの曲を通して私は感じました。

――いろいろな愛を感じることで、歌う上での表現も変わっていきましたか?

yu-ki:どういうふうに歌いたいのか、結構自分の中で考えてレコーディングした感じがします。「Sweet & Sour」とかは本当に感情100%で、大切な人を目の前に思い浮かべてレコーディングしたし。曲ごとに録るときの温度感とかは結構違いましたね。

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