ExWHYZ、ありのままを楽しむピュアな表現力 怒涛の1年を経て強固になった“結束と自信”を語る
2022年8月に始動して以来、怒涛の勢いでライブとリリースを重ねてきたExWHYZ。今年5月には初の武道館ワンマン公演『ExWHYZ LIVE at BUDOKAN the FIRST STEP』も成功させ、新生グループとしてのスタートダッシュは鮮やかに決まったと言っていいだろう。EMPiRE(2022年6月に解散)として積み重ねてきた歴史と、その中で6人のメンバーが遂げてきた成長。そのすべてを背負って始まったExWHYZの歩みは、その始まりから1年あまりを経て、早くも新たなフェーズに突入しようとしている。
それを物語るのが、10月18日にリリースされた1st EP『HOW HIGH?』だ。これまでの2作のアルバムでは気鋭のクリエイターとともにエッジの立ったダンスサウンドを響かせていたExWHYZだが、今作では楽曲の幅が一気に広がった。メンバーの自己紹介ソングとなっている1曲目「6WHYZ」はもちろん、どの曲でも6人のパーソナリティやキャラクターがはっきりと見えるし、歌詞にも等身大の彼女たちが写し込まれている。つまり、これまでのどの作品よりも「ExWHYZ自身」に近い1枚なのだ。
彼女たちはどんな気持ちでこの1年4カ月を駆け抜け、このEPにたどり着いたのか。改めて振り返ってもらった(休養中のmidorikoは不参加)。(小川智宏)
「信頼関係が強くなってるから、前向きにチャレンジできた」(mayu)
――ExWHYZとしてスタートしてから1年ほど、怒涛の勢いで走ってきましたね。
mayu:もう、落ち込む暇とかないぐらい走り続けてきた感があって。EMPiREからExWHYZになる狭間の時期は「どうしよう」っていう不安もあったんですけど、始まってからは、作品ができたと思ったらすぐ次の制作に入るという繰り返しだったし。ツアーも3本あって、武道館もあって、とにかくアウトプットの機会が多かったので、前向きな気持ちでやってこれました。常にExWHYZをよくしようって、話し合わずとも同じ方を向いている感じがあります。
yu-ki:毎回かっこいい曲が届いて「この曲はどんなふうになるんだろう」っていうワクワクがあったりとか、夏ツアーで初めて行く場所もたくさんあって、初めて会う人もたくさんいて。そういう機会をもらえて、常に楽しみながら先のことを考えてやってこれたなって思います。マスター(ファンの総称)のみんなも一緒に歩んでくれている感覚があったので、それが自信につながったし、一歩踏み出せる力になったなって思いますね。
maho:怒涛だったんですけど、EMPiREとしてやってきた経験もあったから、振り落とされず、いい方向に持っていこうって考えられました。今もどんどん新しい挑戦をしているけど、ちゃんと前向きにできているなって感じです。
now:新しいグループになって新しいことが始まることに対して、心の中では不安とか、マスターのことを悲しませてしまってはいないかとか、そういう気持ちもありつつ、でもワクワクする部分の方が大きくて。1年前の自分に「心配することなくそのまま突き進んで大丈夫だよ」って言えるほどに、今はExWHYZとしての自分が好きですし、マスターとの関係性も本当に安心できるものになったので。そういう気持ちでいられるのは本当にここまで一緒に歩んできてくれたマスターのおかげですし、チームの皆さんにも感謝の気持ちでいっぱいです。これからまた、どんなものを作っていけるんだろうっていう楽しみも大きいので、1年でこんな気持ちになれているのはすごく嬉しいことだなって思います。
mikina:隙間なくライブと制作をやってきたので、本当に怒涛のスピード感だったんですけど、1個1個のトピックにちゃんと向き合えた感覚があって。やっぱり1個やるとどうしても課題が出てくるから「アップデートしなきゃ」っていう焦りもあったけど、それも悪い焦りじゃなかったんですよね。マスターも1個1個しっかり反応してくれて。始まりが始まりなのでびっくりさせちゃった部分も多かったと思うんですけど、一緒に楽しんでくれてることがすごく伝わるので、そのおかげもあって、ここまでやってこれてると思います。
――5月の武道館は改めて振り返るといかがでしたか?
mayu:武道館という舞台にも臆せずに立ててるなって思えて、嬉しかったですね。それは今までの経験ももちろんあるし「武道館に立つよ」っていう目標ができてからマスターと一緒に積み重ねてきた時間すべてが、私たちの背中を押してくれたと思うので、「よかった」って思いました。
――武道館のアンコールで、EMPiREの「MAD LOVE」を歌ったじゃないですか。めちゃくちゃ盛り上がってましたけど、どう感じました?
mayu:まあ「このサプライズは嬉しいよな」と思って(笑)。武道館に立ててるのもEMPiREがあったからですし、EMPiREの時代に大事に歌ってきた曲を武道館に連れていきたいっていう気持ちもありました。すごく盛り上がっていたけど、センターステージの音響が回りすぎて、とにかくリズムを崩さないように、変に感情的になりすぎずに歌わなきゃって思ってたから、不思議でしたね。でも喜んでくれてよかったなって思いました。
――ExWHYZとして「MAD LOVE」をやるというのは、メンバーの皆さんにとっても、お客さんにとっても複雑な気持ちもあったと思うんですよ。でも堂々とやったことで「これも私たちだ」って言えたことが、ExWHYZとして始まっていくにあたってはすごく大事だったんじゃないかなって思いました。
mayu:そうですね。『the FIRST STEP』って言ってるからできたことではあるかなって思います。
――グループが変わって新しい挑戦をしている中で、自分たち自身の内面やメンバーとの関係性は変化してきましたか?
maho:変わったというよりは広がったというか。時を重ねている分、厚みを増してるっていう感覚ですね。
mayu:みんな大人になってきてるからね。
maho:何年もいる中でお互いのこともわかったりとか、自分自身ともちゃんと向き合えるようになってきて。今までちょっとわかり合えなかった部分が、少しずつわかり合えるようになったりとか。グループが変わったからというより、一緒に続けてきたからこそ、そこにたどり着けてるのかなっていう感じですね。
――逆にいうと、そういうタイミングで新しい挑戦ができてよかったのかもしれないですね。もう少し早かったら難しかったかもしれない。
mikina:余裕がなかったよね。
mayu:確かに、自分に余裕がなかったら無理だったかもしれないです。メンバー同士の結束感や信頼関係が強くなっているから、新しいチャレンジも前向きにできたんだと思います。私なんて結構すぐネガティブになっちゃって「できるかな、大丈夫かな?」とか思っちゃうけど、みんなが「大丈夫、大丈夫!」って前を向かせてくれるから、すごくいいタイミングで始められたなって。
「『HOW HIGH?』は今の私たちとギャップがない」(mikina)
――EMPiREはある意味とてもコンセプチュアルなグループだったと思うんです。ExWHYZも始まった時は、さらに強いコンセプトを打ち出すんだなと思って見ていたんですけど、最近の曲を聴いているとそこもだんだんほぐれてきているというか、自由になってきている感じがして。そこは、やりやすくなっている感じはします?
mayu:楽しいですね。だんだん素に近くなってきています。最初はガチッと「こうですよ」っていう方向性を打ち出すために、1stアルバム『xYZ』を出したんです。でも、今回の『HOW HIGH?』もそうですけど、自分たちのハイテンションさとか楽しい雰囲気も、だんだん出てきていて。ライブもたくさんやらせていただく中で自分たちの色が出てきて、それが作品に反映されてる感じがします。
now:ExWHYZが始まって最初に「Wanna Dance」をリリースした時は、そういう曲に合った自分を見せなきゃっていう気持ちだったので、私は少し背伸びをしてた部分があったと思うんです。でも、さっきmahoちゃんが言ってくれた通り、この1年間を通して私自身の厚みが増して、『HOW HIGH?』もより伸び伸びとできた。今の自分は0.1ミリも背伸びすることなく、等身大のnowとしてできているので……すごくいいEPができました!
maho:まとめた!
mayu:うんうん、そうだよね。
――「0.1ミリも背伸びしてない」って言いましたけど、EMPiREの時からすれば、きっと背が伸びているんだと思います。
now:確かに、成長してます。
――今回のEP、アルバムよりは曲数が少ないけど、同じような曲は1曲もない、ものすごく振り幅の広い作品になりました。自分たちではどんな作品になったと思いますか?
mayu:なんか……楽しく遊んで作った、みたいな感じ(笑)。肩の力を抜いて、みんなでやれたなって感じがします。歌い方も本当に全部違うので、そこも固くなりすぎずに「やってみちゃおう」みたいな感じで、楽しくやれたなって思います。
yu-ki:曲が全部かっこよすぎて、デモが毎回来るたびにみんなでぶち上がっていました。「よすぎる!」って。
mikina:前作からお世話になっている方々の曲も雰囲気が結構変わってるんで、ExWHYZを見てくれてるなって思うと、すごい愛を感じますね。今の私たちとギャップがないので。
――確かに、曲を作っている方々もExWHYZで遊び始めた感じがしますよね。1曲目の「6WHYZ」からして、みんなでマイクリレーするポップなラップチューンになっていて、とてもおもしろいですね。
mayu:自己紹介ラップみたいなものになっていて、「そういうこともさせてもらえるんだ」と思って嬉しかった(笑)。曲も最初から気が抜ける感じだし、「おもしろ!」と思いました。最初に山田(健人/yayhel)さんが全部歌ってるデモが届いたんですよ。それ聴いて「おもろ!」と思って(笑)。歌詞とかもふざけてるなって思って。
――ソロパートの歌詞は当て書きだと思うんですけど、それぞれのメンバーのキャラクターを言い当てている感じがしますね。
mayu:みんなハマってるなって思いました。やっぱり見てくれている時間が長いし、たくさんお世話になってるので、「ラブだな」って。
――mayuさんは〈4番バッター〉と言われていますね。
mayu:はい(笑)。恥じないように頑張ろうって思いました。「頑張れよ」って気持ちとして受け取りました。