JIMIN、Official髭男dism、優里、KARA、NEE、Lucky Kilimanjaro……注目新譜6作をレビュー
New Releases In Focus
毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はJIMIN「Who」、Official髭男dism「Get Back To 人生」、優里「カーテンコール」、KARA「I Do I Do」、NEE「ポップスター」、Lucky Kilimanjaro「かけおち」の6作品をピックアップした。(編集部)
JIMIN「Who」
BTS JIMIN、2ndソロアルバム『MUSE』からタイトル曲。初めて聴く時はガットギターとおぼしきギターと憂いを帯びたメロディから始まるので、まず安直にフラメンコ系の哀愁ラブソングを想像する。それは決して間違いではないのだが、がちゃがちゃ音を詰め込めば熱苦しくなっていく楽曲に、クールな寂しさ、のようなものを通底させたトラックが絶品だ。最低限のビートと太めのベースラインで骨組みを作り、ギターとピアノの旋律が時折はらはらと「スパニッシュっぽい」風を吹かせるのだ。本人はかなり熱唱しているのに過剰な押し付けがどこにもない、引きの美学に痺れる。二つのチームが衝突するMVもミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』オマージュのようで見応えあり。(石井)
Official髭男dism「Get Back To 人生」
アルバム『Rejoice』収録の一曲。壮大に幕を開ける一曲目から地続きのイントロが、十数秒のじらしを経て、一気にバウンシーにはじけていくファンク系のポップソングだ。あえてリズムマシンを使うビートや80’sっぽいキラキラしたシンセなど、前半は遊び心がたっぷり。ただ、パーカッションを入れたり空白をしっかり作るなど、忙しくアレンジが変わる中盤を経て、最後はシンプルなバンドサウンドに回帰しているところが非常に興味深い。タイトルが示すように、曲のテーマは「他人の目など気にせず自分の人生を取り戻せ」と繰り返すもの。メインとなるのは藤原聡(Vo/Pf)のメロディだが、歌のテーマと楽器のチョイスが実はぴったりマッチしている。(石井)
優里「カーテンコール」
エレキギターの鋭いストローク、〈いざ何百回何千回/全開で君を救うって救うって/歌うから〉というラインが耳に飛び込んできた瞬間、心と身体をグッと惹きつけられる。優里の新曲「カーテンコール」は、ついにクライマックスを迎えつつあるTVアニメ『僕のヒーローアカデミア』(TOKYO MX)の新オープニングテーマとして制作されたロックナンバー。ヘヴィにしてタイトなビート、鋭利なギターのフレーズ、厚みのあるベースラインが絡み合うサウンドのなかで優里は、強烈なダイナミズムをたたえた歌声を高らかに響かせている。それぞれの正義をぶつけ合い、争い続ける『ヒロアカ』の世界観を踏まえながら、「違う世界で出会えていれば、笑顔でいられたかもしれない」という思いを吐き出すリリックも刺激的だ。(森)