ずま（虹色侍）「等身大の自分をもっと見せていきたい」 アーティスト活動本格化に至った背景
「末代」は人間味あふれるラブソングに 「自分の荒さ、そのままで勝負したい」
――そんなずまさんがあらためて音楽活動を本格始動させるわけですが、その最初の狼煙となるのが新曲「末代」です。これはどんなふうに作っていったんでしょう？
ずま：スタッフと一緒にいろんなトラックを聴きながら、いいと思えるものをまず選んで、それに合わせてメロディを作り、歌詞を書くっていう流れでした。これまでの自分は、いかにバズる要素を入れるかとか、いかに聴いてもらいやすい尺にするかとか、今思うと打算的だった気がします。でも、今回は“自分の好きなもの”という視点で作れていけたのがよかったと思います。歌詞に関しても今回は100％自分の言いたいことを書けたし。そういう意味ではほんとに思い入れの強い曲になりました。
――トラックを流しながらのメロディメイクは、いくつかのパターンを出して、そこから選んでいく感じなんですか？
ずま：そうですね。パッと出てきたメロディをいくつか録りためて、そこから選んでいく感じです。今回の制作過程で今までと大きく変わったのは、ライブで歌うことを想定してメロディを作ったところです。僕はYouTubeで「死に物狂いで歌ってみた」という動画をアップしていて、めちゃくちゃキーの高いボカロ曲なんかを歌っているんですけど、あれをライブの生歌で再現するのは難しいんです。オリジナル曲をライブでももっと歌っていきたいと思えるようになったから、丸ごとキーを5個くらい上げたり下げたりして、生でも歌えるものをちゃんと考えながら作りました。その過程では自分の実力、歌唱力とも向き合うことになりました。
――トラックのアレンジはmaeshima soshiさんが手掛けていますね。
ずま：曲を作り始めた時の参考にしていたビートの雰囲気を踏襲してもらいつつ、maeshimaさんのオリジナリティを存分に入れていただけた感じですね。制作過程で、「ここのブレイクはいらないかもしれないです」とか、僕から細かく注文したりもして、何度もトライしていただいた結果、めっちゃキャッチーだし、歌ってて気持ちのいいトラックになりました。
――歌詞は恋愛をモチーフにした内容になっていますが、ずまさんらしい人間味がすごく出ていますよね。日常に寄り添った世界観もすごくいい雰囲気で。
ずま：恋愛について書きたいことがあったので、それを正直に書きました。思ったよりもスラスラ書けました。僕、でっかい話を書く歌詞が苦手なんです。あとは喩えをたくさん使って書かれた歌詞とかも、あんまり意味がわからないというか。いや、そういう表現が素晴らしいことはわかるし、自分もそういう歌詞が書けたら書いてると思うんだけど、実際はまったく書けないので。
――だから半径数メートルの規模感で起こる出来事をストレートに書いていると。
ずま：そうそうそう。それが自分の個性になったらいいなとは思ってて、まだサウンドも含め、自分らしさがぼんやりとしか見えていないからなんとも言えないんですけど。
――そのうちでっかいことを歌い出すかもしれない（笑）。
ずま：急に「僕らの星が～」「何億分の一の確率で～」みたいな歌詞を歌い出したりして……それ、ずまの曲としてはイヤだな（笑）。
――ボーカルのレコーディングはいかがでしたか？
ずま：ボーカルは全部自分で録っちゃうことが多いんですけど、基本は数文字ずつバーッと歌ったものをコンピングして繋いでいく感じですね。
――頭から1曲丸々歌ったりはしないですか？
ずま：今まではほんとに2文字とか3文字ずつ歌ったものを繋ぐ感じだったんですけど、今回はワンフレーズ分をまとめて歌って、それを丸々使ったところもあったんですよ。他の人からしたらそれでも細かく刻んでると思われるかもしれないけど、僕としてはかなり勇気のいることで。「この1文字、もっと上手く、キレイに聴こえる歌い方があるんじゃないか？」って思ってしまうタイプなので。
――へぇ！ それだけ完璧な歌にすることへこだわりが強いんですね。
ずま：今まではそうでした。でも、本格的にオリジナル曲を出していくのであれば、あまりそこにこだわりすぎるのも違うかなっていう気にもなっていて。今回はボーカルにオートチューンもかかっているので、今までよりはピッチだけにとらわれず、もうちょっとラフに、ナチュラルに、ニュアンスを重視して歌えたところもあったんですよね。自分としてはやっぱり勇気がいることでしたけど。
――それによって、より生々しい歌になるはずですからね。
ずま：そうですね。今回も今までのやり方で1000テイクくらい録ったんですけど、「ピッチは正確だけど何の色もないよね」ってことになって、それ全部捨てましたから。結果的に自分でも今回のボーカルはいいものになったなって思いました。
――シンガーとして、新しいスタイルが見え始めてきているのかもしれないですね。
ずま：はい。自分の荒さ、そのままで勝負したいなと思うようになりました。その荒さを僕は恥ずかしいことだと思ってしまうタイプなんですよ。YouTubeにしても、素の自分が出るような生配信はせず、自分のこともほとんど話してこなかったですから。だからYouTubeのチャンネル登録者数は160万人以上いますけど、本当の意味での僕のファンがどれくらいいるのかは未知数だと思っています。
――ずまさんの動画コンテンツやパフォーマンスに対してのファンはいても、人間性みたいな部分もひっくるめた“ずまファン”とは違うということですか？
ずま：そういう見方もできると思います。でも、オリジナル曲をこれからどんどん出していくのであれば、等身大の自分をもっと見せるべきだなと。たとえ歌がよれてしまっても、それが曲にマッチしていればそのまま出す。歌詞に関しても自分の思っていることを、恥ずかしい部分も含めて書いていく。そんなずまを好きでいてくれる人がライブにも足を運んでくれたら最高じゃないですか。自分のことが一切投影されていないオリジナル曲を好きになってくれた人がライブ会場に押し寄せてきたとしても、自分じゃ責任取れないって思っちゃいます。だからほんとに自分のすべてを注ぎ込こむ、いいタイミングだと思ってます。
――そんな思いを持って、引き続きオリジナル曲をどんどん制作されているそうですね。
ずま：どんどん作ってます。楽しいです。曲がたくさんできればライブもやりたいですし。夢としては日本武道館とかさいたまスーパーアリーナとか大きな会場でワンマンライブをしたい気持ちはもちろんありますけど、オリジナル曲での成功がどんなものかはまだ全然イメージできていない感じですね。しっかり自分と向き合い、ファンと向き合った先にどんな景色が見えるのかに今は興味がある感じです。
■リリース情報
New Single「末代」
2024年7月3日（水）リリース
ストリーミング：https://lnk.to/MATSUDAI
ずまオフィシャルサイト：https://zuma-2416.com/
TikTok：https://www.tiktok.com/@nijiirozamurai
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