aiko「相思相愛」に重なるのは平次と和葉だけじゃない? 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』との親和性を徹底考察

aikoと『100万ドルの五稜星』抜群の相性

 『相思相愛』のリリースに際したインタビューで、aikoはサビ頭の〈あたしはあなたにはなれない〉というフレーズについてこのように話している。

「私にとって好きな人は、尊敬できる人なんです。『この人、好きだな』って思ったら、そのなかには尊敬が絶対にあるというか。ただ、どんなに好きな人でも、全部が重なり合って、すべて分かり合えることはなくて。パズルの隙間みたいに、わからない部分は必ずある。」(※1)

 このaikoのコメントは『コナン』のキャラクターたちにも当てはめることができるだろう。平次の卓越した推理力と剣技は和葉には真似できないが、和葉の天真爛漫で素直な愛くるしさは平次には持ち得ないものだ。人はそうした違いに尊敬の念を抱き、時に恋心を抱く。平次と和葉だけでなく、新一も蘭も快斗も青子もそれぞれ自分には持ち得ない相手の良さを見出し、その違いに時にとまどったり悩んだりしながら、それでもなお想い続けている。

 この〈あたしはあなたにはなれない〉というフレーズは『100万ドルの五稜星』における恋愛以外の描写に対しても効果的に作用している。初代怪盗キッドであり快斗の父である盗一の死の謎を追うために、自身が二代目怪盗キッドとなって怪盗稼業を続ける快斗。『100万ドルの五稜星』においては盗一が盗まなかった宝とその遺志を知るために奔走した。姿形をトレースし同じ怪盗稼業をしながらも快斗は盗一の本当の思考を読めず、だからこそ父のことを知りたいと願っている。まさに〈あたしはあなたにはなれない〉であり、その影を追い続けることで〈ずっと遠くから見てる〉のだ。

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』©2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 聴き手に、そして映画館に訪れた観客に切なさという強烈な印象を残す「相思相愛」。とりわけサビにおける2つのフレーズは、『100万ドルの五稜星』ひいては『コナン』シリーズにおける恋愛の側面を端的に示す、ラブソングを歌い続けてきたaikoならではのフレーズと言えるだろう。5月8日にはYouTubeの東宝MOVIEチャンネルにて「相思相愛」に乗せて『100万ドルの五稜星』の本編映像を楽しめるスペシャルムービーが公開されている。aikoの切なげなメロディに乗せて『100万ドルの五稜星』を味わい尽くしてほしい。

劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』×aiko「相思相愛」スペシャルムービー

※1:https://www.barks.jp/news/?id=1000246513

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■公開情報
劇場版『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』
全国東宝系にて公開中
原作:青山剛昌
監督:永岡智佳
脚本:大倉崇裕
音楽:菅野祐悟
キャスト:高山みなみ(江戸川コナン)、山崎和佳奈(毛利蘭)、小山力也(毛利小五郎)、山口勝平(怪盗キッド)、堀川りょう(服部平次)
スペシャルゲスト:大泉洋
主題歌:aiko「相思相愛」(ポニーキャニオン)
アニメーション制作:トムス・エンタテインメント
製作:小学館、読売テレビ、日本テレビ、ShoPro、東宝、トムス・エンタテインメント
配給:東宝
©2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会
公式サイト:https://www.conan-movie.jp/2024/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/conan_movie
公式Instagram:https://www.instagram.com/conan.official/
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@conan_pr_official

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