水曜日のカンパネラ、マカロニえんぴつ、imase、IMP.、ヤングスキニー、iri……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は水曜日のカンパネラ「たまものまえ」、マカロニえんぴつ「月へ行こう」、imase「Shine Out」、IMP.「Backbeat」、ヤングスキニー「雪月花」、iri「Run」の6作品をピックアップした。(編集部)

水曜日のカンパネラ「たまものまえ」

水曜日のカンパネラ『たまものまえ』

 Prime Video世界独占配信のAmazonオリジナルドラマ『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』主題歌として書き下ろされた新曲。タイトル「たまものまえ」は鳥羽上皇に寵愛を受けた女官をモデルとした平安時代末期に日本にいたとされる伝説上の人物の名前で、その正体は九尾の狐だったとか。能や歌舞伎などの題材にもなってきた中世の伝説の存在だが、それを〈FOX!〉〈たーま ものーまっえNo1〉とポップに解釈し、やたら中毒性の高い〈こーんこっこ〉のリフレインにしてしまうケンモチヒデフミの発想にまず爆笑。ひとしきり笑ったあと、伝説と冗談をごた混ぜにした作詞センスに唸り、ポップな歌声の隣に遠慮なく硬質なビートを叩き込んでいくトラックの攻め方に拍手したくなった。いや、これはオモロかっこいい!(石井)

マカロニえんぴつ「月へ行こう」

マカロニえんぴつ「月へ行こう」Official Audio

 最初に耳に飛び込んでくるのは〈嵐の夜にそっときみを連れ出して〉という歌とエレクトリックピアノの柔らかい音。さらに16分のハイハットとキック、R&B的な匂いがするベースが加わり、このままグルーヴィーに進むかと思いきや、いきなりハードロック系のギターが炸裂。曲が始まって約20秒でメンバーのプレイヤビリティが発揮され、独創的なバンドサウンドへと結びつく新曲「月へ行こう」は、マカロニえんぴつ特有のミクスチャー感がこれまで以上に強調されたナンバーだ。全員のセンスと技術を自由に注入しながら、決して難解にならず、楽曲が進むにつれてどこまでもポップに広がっていく構成も見事。〈約束してたとおり月へ行こう 月へゆこう〉というフレーズの直後に挿入されるブルージーなギターソロも聴きどころだ。(森)

imase「Shine Out」

【imase】Shine Out(MV)

 5月15日に1stアルバム『凡才』をリリース、11月には自身初のホールツアーが決定するなど確実なステップアップを続けているimaseから新曲「Shine Out」が到着。世界的ヒットを記録した「NIGHT DANCER」以来のタッグとなるESME MORIプロデュースによるこの曲は、眩い光を想起させるシンセやコーラス、厚みのあるキック&ベースがしなやかなグルーヴを生み出すダンストラック。4つ打ちのビートとともに広がる、ファルセットと低音を軽やかに行き来するボーカルも印象的だ。“輝く未来へ踏み出そう”というメッセージを放つ歌詞の気持ちよさを含め、imaseはソングライター、シンガーとして著しい進化を続けているようだ。モノクロの映像とダンサーの身体性によって楽曲の世界観を表現したMVも秀逸。(森)

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