ぷにぷに電機、“SFオタク”思考が音楽制作に与える影響 『11人いる!』『銀河英雄伝説』……ルーツ作品も語る

 ぷにぷに電機がEP『超重力幻想』をリリースした。同作は「宇宙戦争末期を舞台にした架空のSFゲーム『超重力幻想』のキャラクターソング集」と公式が紹介する、ぷにぷに電機のコンセプトEPとなる。英雄と呼ばれた元エースパイロットをはじめ、スナイパーやハッカー、はたまた三つ子のサイキッカーまで、個性に富んだキャラクターをモチーフにそれぞれ制作されたという楽曲群は、モダンなエレクトロサウンドと有機的なボーカルが調和する、ぷにぷに電機の新境地を感じさせる。

ぷにぷに電機 - EP『超重力幻想』teaser

 幼少期からSFの魅力に染まり、それが音楽表現のルーツの一つにもなっているというぷにぷに電機。本インタビューでは、『超重力幻想』の制作エピソードと共に、ぷにぷに電機が愛してやまない『11人いる!』『銀河英雄伝説』『Fallout 4』という3つのSF作品について語ってもらった。

 オタク視点でそれぞれの作品の魅力を熱く語る言葉の端々には、自身の表現活動に直結するクリエイターとしての矜持が表れていた。(編集部)

違う質感のものが融合していることに私は価値を感じる

ぷにぷに電機

ーー本作『超重力幻想』は、これまでとは打って変わって、ぷに電さんのSF趣味が全開となった作品になりました。

ぷにぷに電機:そうですね(笑)。実はこれまでの作品にもSFの要素はうっすら入れていたんです。私はコラボレーションで楽曲を発表することが多くて、特にR&Bとかシティポップの系譜の楽曲は他の方にサウンドプロデュースに入ってもらって、それをレーベルから出すという形を取っているんですけど、そのラインとは別に『M3』という自主製作の音楽の祭典に出すための作品は自分で編曲もやって、プライベートEPという形でちょこちょこ発表していて。そういった作品の中では、“ゆるふわディストピア系ジャズ”というものを自分一人でやっています。

ーー新ジャンルですね(笑)。

ぷにぷに電機:私が勝手に言っているだけなんですけどね(笑)。ただ、その“ディストピア”というものの中にはSFの要素が多分に入っていますし、何て言うんですかね……同質のものでできている世界ではなく、“ぷにぷに電機”という名前もそうなんですけど、違う質感のものが融合していることに私は価値を感じているんですよね。だから、音楽の中でも、ジャズにうっすらSFを入れるとか、そういうことを隠れてやってきたんです。

ーーそれを今回、前面に押し出すことにしたのは、どういう理由からだったのでしょう?

ぷにぷに電機:最初はEPにする予定はなかったんですよ。去年の夏にスウェーデンに行って、Pikesというアーティストとセッションをして、今回のEPに入っている「Star Runner」という曲を作ったんです。その曲は、『OutRun』とか80年代から90年代のレーシングゲームの後ろで鳴っているようなシンセサウンドをPikesが作ってきてくれたところから始まって……それが今まで自分がやってきたスタイルとかなり離れたスタイルだったので、どのタイミングでリリースしようかちょっと悩んだところがあって。私もすごく気に入ってる曲だし、単体で出して普通にスルーされるのはちょっと嫌だなって。だったら、一曲で出すのではなく、何曲かまとめてEPにするのはどうだろうと考えたんです。ちなみに、この「Star Runner」という曲の主人公は、小型宇宙船戦闘機のエースパイロットっていう設定なんですけど……。

ーーいきなり始まりましたね(笑)。

ぷにぷに電機:はい(笑)。エースパイロットの彼女が英雄としての役割を脱ぎ捨てて、自分のために旅に出るというコンセプトで作った楽曲だったから、それを宇宙戦争末期を舞台にした架空のゲームのキャラクターソングっていう立て付けにして、他の曲も書いてみようかなって思って。それを組み合わせたのが今回のEPという感じなんですよね。だから、今回の作品は最初からバキバキに世界観を固めて、どういう役割のキャラクターにしようかなってところから作曲が始まりました。エースパイロットの曲が最初にあったので、彼女が前衛タイプだとしたら、彼女を後方からサポートする遠距離攻撃系のスナイパーのキャラクターがいるよねって感じで「Lonely Shooter」が生まれて。で、やっぱり宇宙空間の戦闘はハイテクノロジーの戦いだから、情報操作やハッカー的な役割の人もいるよねって「Maze Maker」を作って……。

ーーなるほど(笑)。

ぷにぷに電機:最初はその3曲で出そうと思ったんですけど、やっぱり楯が欲しいよね、“タンク”がいないときついよねって思って「The Veils」という曲を作って。リリースまでもう1カ月を切っているなかで、わっと書き上げて、Taishi(Sato)くんに「これのアレンジ、お願いできますか?」って無茶なお願いをしてしまったんですけど、すごく素晴らしいアレンジをしてくれたおかげで、この4曲で完成したなっていう感じがしました。

Punipunidenki - Star Runner official MV with Dolby Digital 5.1ch

ーー今、いろいろと名前が出てきたように、今回もさまざまなアーティストとコラボレーションをしていますが、いつもどんなふうに、楽曲のイメージをすり合わせていくのですか?

ぷにぷに電機:Pikesの場合は、現地に行って一緒に話をしながら作ったので大丈夫だったんですけど、他のクリエイターの方に依頼をするときは、「こういうコンセプトの楽曲なんですよ」ってことを言葉で伝えました。特に今回は内容が内容なので、すごく濃い内容の「作品概要」を作って、そこにキャラクターの設定とかをびっしり書いて、「こういう感じでお願いします」みたいな形でお願いしました。まあ、見ようによっては怪文書なんですけど、みなさんすんなりと受けとってくれて……それは非常にありがたかったです(笑)。

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