スターダスト☆レビュー 根本要、デビュー40年経て100本超えのツアーを行う理由 療養中のVOHへの思いも

スタ☆レビ 根本要、100本超えツアー行う理由

熱い思いであいつがいない分をなんとか補っている

ーーあと、これは言ってしまってもいいですかね。療養中(喉頭がんの治療で声帯を切除)の林“VOH”紀勝さんも、映像や音源の使用でライブに参加してくれています。VOHさんの不在をどんなふうに乗り越えるのか、このツアーの大きなテーマだったと思うんですけど、今できることをしっかり見せてくれたという感想を持ちました。

根本:僕らはバンドなのに、一人欠けてもツアーに出るって、正直恥ずかしいことなんですけど、VOH林とも相談しながら、やっぱりスタ☆レビの歩みを止めたくないという気持ちが強かったですね。もっと言えば、VOH林も必ず戻ってくるんだから「今はゆっくり休憩しとけ」、長い時代にはそんな時期もあるさぐらいな気持ちでいます。スタ☆レビは、いつでもどんな時でも、今できることを前向きにやってきました。野外ライブで電源が落ちればア・カペラをやったり、機材がトラブればMCで繋いだり、その時その時のスタ☆レビを作ってきました。今回のツアーは、彼の状態をちゃんとみんなに知ってもらった上で、映像や言葉でVOH林をクローズアップする。それによって、また違うあいつの存在となによりバンドの結束力を見せられるのでは、と思っています。

ーーそういう意味では、VOHさんはちゃんとステージ上にいるような気がします。

根本:今までやってきたあいつの演奏データがあるんで、それを実際の演奏にうまいこと合わせて何曲かやってます。正直「これが一番いい方法なのか?」というところはありますけど、スタッフも含め俺たちが動けないっていうことは食えなくなるってことですからね(笑)。「とにかく今できることをやろう」とメンバー、スタッフも含めた熱い思いで、あいつがいない分をなんとか補っている形です。

ーーそこは要さんが説明せずとも、ファンの方はわかっている気がします。VOHさんが帰る場所を我々は守っているんだという意識は、同じだと思うので。

根本:そうね。ちゃんと話し合っての結論ではあるけど、残されたあいつがどんな気持ちでいるのかは僕らにはわからない。メールはちょこちょこ来てるんだけども、まずはね、とにかく元気で顔を見せてほしい。体力さえ戻ればパーカッションを叩けるわけだから。SING LIKE TALKINGの西村(智彦)も同じ病気を克服してステージに戻ってきた。つんく♂も、声帯を取っても表舞台にちゃんといる。そんな人たちの活動も、きっとあいつには心強く見えていると思うんです。簡単に頑張れとは言えないけど、自分のペースで復帰を目指してくれたらうれしいですね。

ーーそこは本当に無理をせず、ゆっくりと時間をかけて戻って来てほしいと思います。では最後の話題で、ツアー終盤の5月12日、東京・昭和女子大学 人見記念講堂でのライブが、WOWOWで生中継されることが決定しました。どうですか、生中継はやはり緊張しますか。

根本:もちろんしますね(笑)。ただ、最近はいい意味での緊張感というか。去年の日比谷野音も生中継してもらいましたが、だいぶ慣れてきたのか、実際WOWOWチームの人たちと仲良くなったことも大きくて、要らない緊張感はなくなるし、逆にどうやったらもっと生中継を楽しめるんだろう? と考えたりもします。「せっかくカメラが入ってるんだから」とか、特に生中継の場合はリアルタイムでテレビの向こうで参加してる人たちもいるわけですから、会場のお客さんだけでなく、そういう人たちも届くようなMCや選曲も大事になってくるでしょうね。

ーー楽しみにしています。来られない方はぜひ日本中のどこかで、テレビや配信画面を通じて見ていただければ。

根本:もちろん、リアルタイムだけでなく録画もできますしね。ぜひ見てほしいです。

ーーそして、その公演が終わればツアーも残すところあと数本。いよいよフィナーレが見えてきました。

根本:3年に及ぶ110公演のファイナルは、久しぶりの福島の郡山です。郡山の会館は震災で被災したこともあり、なかなか使えなくて、前回のツアーの時でも郡山をラストにしていたんですけど、会場の不具合が発見されて中止になってしまいました。なので今回久しぶりに、しかも110公演目に郡山に行けるのが本当にうれしいです。よく「ツアーが終わるってどんな気持ちなんですか?」って聞かれるんですけど、本当に寂しさしかないんですよ。もちろん終わりがあるからこそ、また次が始まるんだけど、正直にいえば、次を始めるのにはえらい労力が必要なんです。なんて言うかなぁ、チョット変な例えかもだけど、電車を乗り換えるみたいな感じ(笑)。たとえば、山手線に乗ってぐるぐる回っていれば、五反田に行こうが恵比寿に行こうが、乗ってりゃ着くんだけども、乗り換えて別の路線に行くとなると、ホームに降りて階段を上って、改札口を抜けて、と目的の場所までいろんなことを考えなきゃいけない。新しいことをやる時には本当にその労力が必要なんです。僕なんて、サボってばかりの人生だから、できれば一生このツアーを続けていたいなと思いますけど、そういうわけにもいかないので(笑)。

ーー新曲や、さらなるニューアルバムも必要ですし。

根本:ホント、そこは毎回モチベーションとの戦いですね。気持ち的にはいつだって新しいスタ☆レビをお見せしたいと思ってますからね。曲や内容だけでなくタイトルもね。ツアータイトルとかも「Vol.1」「Vol.2」とか、そう、昔のシカゴみたいにアルバムタイトルを全部数字にするとか、あれは楽でいいなと思うけど、今さらできないしねぇ(笑)。まぁ、凝ったものを作りたいのは自分の性(さが)ですからね。

ーーでも、次は「50周年です!」って、もう宣言しちゃってますよね、ライブの中で。「50周年祈願」のグッズも出してますし、もう次のテーマは決まってるんじゃないですか。

根本:このツアーではそんな構成にして笑ってもらったけど、普通ありえないよね、バンドがそんな先のことをお客さんにお願いして、グッズまで作って(笑)。まだ40周年なのに50周年グッズ作ってるのって、僕らぐらいですからね(笑)。でもね、ファンの人たちもそういう冗談を一緒に楽しんでくれてるんだから、本当にありがたいことです。

ーーみんなで元気に迎える50周年に向けて、まずは5月12日のWOWOW生中継、そして無事にツアーファイナルを迎えることを願っています。

根本:ありがとうございます。頑張ります。

■WOWOW番組情報
生中継!スターダスト☆レビュー ツアー 2022~24「ブギウギ ワンダー☆レビュー」
5月12日(日)午後3:00~
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※放送・配信終了後~1週間アーカイブ配信あり
収録日:2024年5月12日
収録場所:東京 昭和女子大学 人見記念講堂
番組サイト:https://www.wowow.co.jp/music/stardust/

スターダスト☆レビュー ツアー 2022~24「ブギウギ ワンダー☆レビュー」 野外編 with んなアホなホーンズ
5月10日(金)午後5:30~
WOWOWライブで放送/WOWOWオンデマンドで配信
※リピート放送
※放送・配信終了後~1週間アーカイブ配信あり
収録日:2023年9月24日
収録場所:東京 日比谷公園大音楽堂
番組サイト:https://www.wowow.co.jp/detail/193461

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