スターダスト☆レビュー 根本要、デビュー40年経て100本超えのツアーを行う理由 療養中のVOHへの思いも

スタ☆レビ 根本要、100本超えツアー行う理由

ヒット曲は持ってなくても音楽で食っていける

ーージャンルというよりは、生き方ですよね、きっと。スタ☆レビのブギウギって、楽団というか、お祭りというか、日本中のあちこちに灯を灯して回るみたいな、そういうイメージが重なる気がします。待っている人も、「ああ、今年もスタ☆レビが来てくれた」みたいな感じだと思いますし。

根本:ありがたい話です。僕らは40年やってきたけど、でも自慢できることは何一つない。ただ、よく「継続は力なり」と言うけど、30年を過ぎたくらいから世の中のスタ☆レビに対する扱いが変わってきたんですよ。それはもう本当に、目に見えて変わりました。何もしてないのに、「30年ですか!」ということで、驚きを持って接してくれるようになったんですよ。長いことやっていると、勝手にそうやって思ってくれるというか、外箱みたいなものができるんですよね。実際の中身は何もないけど(笑)。だけど勝手に僕らをそういうふうにカテゴライズしてくれて、評価してくれるんですよね。それが30年から40年へ積み重なっていく。それはすごくありがたいなと思っています。その分、もっと頑張らなきゃとは思いますけど。

 でね、何が言いたいかというと、僕らはそこそこ、こうやって取材もしていただけるし、僕らの曲を流してくれるFM局があったり、ありがたいことに今回だってWOWOWがツアーを生中継してくれます。でも大事なのは、僕らがやってきたことをそうやってちゃんと残すことによって、これからのロックバンドたちが「そういう生き方もあるんだ」って気付いてほしいんです。僕らがデビューしてから言われ続けたのが、とにかく「ヒット曲を出すこと」でした。今で言えば「バズる」かな。人の話題になることによって音楽も聴いてもらえるんです。才能がありながらも、世の中の目に留まらずに消えていく人たちをたくさん見てきました。でも、たとえヒットがなくても「こんなやり方もあるよ」ということを伝えたいんです。僕らができることと言えばライブしかないけど、そのライブをやっていくうちにだんだんと人が集まってくれるようになって、たとえヒット曲は持ってなくても音楽で食っていけるんです。実は今回のツアーで、ご来場のお客さんのメッセージを読むコーナーがあるんですけど、先日函館でやった時に、その中に「最初に来てくれた時はお客さんが半分もいなくて、要さんが“飽きたら後ろの方で横になって聴いてていいよ”と言ってました」というのがあって(笑)。でも、その後も僕らが何度も函館に行くたび、そういう方も足を運んでくれて、知らず知らずのうちに客席が埋まっていく。まぁ、函館では満席にはならなかったけど(笑)、「そういうことも可能だぞ」ということを、僕はロックバンドたちに言いたいんです。なんか偉そうだけど、40年バンドをやっている僕が今、使命感を持って伝えたいことでもあります。

ーー素敵です。そして、ツアーのフィニッシュに合わせて、新曲「ブギウギ ワンダー☆レビューのテーマ」もリリースされます。もうライブで披露しているので、見た人は知っていると思いますけど、新曲と言いますか、何と言えばいいですかね。メドレー?

根本:一応「新曲のような」とは言ってますけどね(笑)。今回のツアーのアンコールはひたすら楽しい気持ちで踊ってほしいと思ったんです。そこでふと思いついたのが、80年半ばぐらいにあった「スターズ·オン45」。

ーー僕も「ブギウギ ワンダー☆レビューのテーマ」を聴いて、「スターズ・オン45」シリーズを思い出しました。ビートルズのバージョンが大ヒットしましたよね。

根本:気付いてくれてうれしいです。人って知らない曲でも、同じビートの中で踊りながら楽しんでると、不思議と知らない曲でも聴けちゃうんですよね。今回のアンコールは、そんなふうにスタ☆レビのこれまでの曲たちをメドレーで繋いで楽しんでもらおうと考えたんです。全曲一つのテンポに当てはめているから、不思議と次の曲にも自然と移り変われます。それが、一般的なメドレーとはちょっと違うところですかね。実際はサビの部分を17曲繋いだだけの本当に単純なものだけど、聴き応えも十分あって、やってみたらめっちゃ評判が良くて、評判がいいことは僕らはすぐ商売にしちゃいますから(笑)。

ーーバンドもファンもみんなうれしい。ウィンウィンです。

根本:実はこのシングル、通常より高いんです。自分たちの著作権なのに、制作にめちゃくちゃお金がかかるってスタッフに言われました(笑)。なので、なんとか元を取ってもらおうと(笑)、ミュージックビデオのDVDを付けたり、メイキングの映像や僕らのインタビュー映像も収録してます。通常あまりお見せしない部分も含めてまるまる楽しんでもらえたら、制作の内面も知ってもらえる気がして、そういう風にしました。

ーー踊れるディスコビートと、ツアータイトルの「ブギウギ」との親和性も高いですし。

根本:そう、だって元々はブギウギもダンスミュージックですからね。そういう意味では、うまくリンクしたかなと思います。

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