米津玄師、宇多田ヒカル、キタニタツヤ、JO1、いきものがかり、Saucy Dog……注目新譜6作をレビュー
JO1「Test Drive」
私事で恐縮だが、筆者は幼少の頃から阪神タイガースファンである。長年の苦難の時期を超え、昨年見事に“アレ”を成し遂げた我がタイガースだが、今年は開幕からなんだか様子がおかしい。いつもの阪神に戻ったかと諦めかけてきたときに届いたのが、JO1「Test Drive」。阪神の勝利試合後に行われる「阪神タイガース 2024年度VICTORY DISCO」とのコラボレーション楽曲である。骨太のベースライン、シンプルな8ビート、軽やかなビターが絡み合うトラックの中で奏でられるのは〈ずっと想像してた 君とならGrand slam〉をはじめとする“野球×恋愛”が楽しいリリック。思い切りフルスイングするようなメンバーの歌声も気持ちいい。4月16日に甲子園球場で行われる阪神タイガース 対 読売ジャイアンツでJO1はこの曲を初パフォーマンス。「Test Drive」の勢いに乗って、ぜひ阪神に勝ってほしい(あくまでも私的な願望です)。(森)
いきものがかり「運命ちゃん」
2人体制初の最新アルバム『〇』を引っ提げた全国ツアーの真っ最中、さらに新解釈コラボレーションアルバム『いきものがかりmeets』も話題のいきものがかり。アニメ『夜桜さんちの大作戦』(MBS/TBS系)OPテーマである新曲「運命ちゃん」は作詞を水野良樹、作曲を水野、蔦谷好位置が手がけたハイテンションなポップソングに仕上がっている。華々しいホーンセクションで幕を開け、カラフルなサウンドが出現。心地よいグルーヴ感をたたえたメロディから放たれるのは〈奪えやしない/楽しむココロ〉というハッピーにして切実な思いを込めた歌詞だ。70年代のディスコ、ファンク、ソウルの雰囲気を反映させつつ、現代的なポップミュージックに昇華した温故知新なサウンドメイクも絶品。(森)
Saucy Dog「poi」
アニメ『烏は主を選ばない』(NHK総合)OPテーマとなる新曲。イントロはガツンとユニゾンで迫るガレージロック風。ただし勢い任せに進むことはなく、歌が入ってくるとギターはメロディを活かすため動く脇役となり、主役たる石原慎也(Vo/Gt)の歌声に対し、準主役のように浮上するのが秋澤和貴(Ba)のベースになる。シンプルなルート弾き、歌心たっぷりのフィル、ほとんどソロとも言えるくらいリード楽器の役割を担っている箇所もあって、ベースを意識して聴くと一層楽しくなる曲である。また石原の歌詞は、陰謀が渦巻く原作の世界に寄せた結果なのか、いつになく不穏だったり物騒な言葉が多い。それが暴力的に響かないのは彼の素直さ、愛すべき個性だろう。(石井)
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