宇多田ヒカル、三浦大知、千葉雄喜、Aimer、ヤングスキニー、WOLF HOWL HARMONY……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回は宇多田ヒカル「何色でもない花」、三浦大知「Everything I Am feat. Furui Riho」、千葉雄喜「チーム友達」、Aimer「800」、ヤングスキニー「ベランダ feat. 戦慄かなの」、WOLF HOWL HARMONY「Frozen Butterfly」の6作品をピックアップした。(編集部)

宇多田ヒカル「何色でもない花」

 ドラマ『君が心をくれたから』(フジテレビ系)主題歌の書き下ろし。先に放送されるショートバージョンをピアノ伴奏のワルツとして楽しんでいたので、いざフルバージョンを聴いて驚いた。楽曲のちょうど半分、2分を過ぎたところからビートとベースが動き出し、複数のコーラスが大胆な陰影を生み出していく。前半と後半で曲の印象がガラリと変化、歌ものから現代的ビートミュージックに切り替わる、というのは前シングル曲「Gold〜また逢う日まで〜」にも見られた手法。『Fantôme』以降の宇多田は日本語のポップスと向き合ってきたが、今はそれに加え、UKジャズや現代エレクトロニカへの鮮やかな着地という第二テーマがあるのではと感じる。なんとも美しい。(石井)

宇多田ヒカル「何色でもない花」

三浦大知「Everything I Am feat. Furui Riho」

三浦大知「Everything I Am feat. Furui Riho」

 約7年ぶりのオリジナルアルバム『OVER』の最後に収録された「Everything I Am feat. Furui Riho」は、「Super Star」「LOA」のヒットで知られるシンガーソングライター Furui Rihoをフィーチャー。ジャージークラブの要素を感じさせるトラックのなかで歌われるのは、“自分の価値は自分で決める”という決意を込めた歌詞。特に〈本当に必要なものを私は知ってる〉というラインは、両者の活動スタンスともしっかりと重なり合い、強い波動を生み出している。1番を三浦、2番をFuruiが歌い、その後は1行ずつ交互に歌声を交わす構成もこの曲のポイント。確固たるスタイルを持ち、精神的に自立したアーティスト同士だからこそ、この楽曲のメッセージにリアルな感情を与えられるのだと思う。(森)

千葉雄喜「チーム友達」

千葉雄喜 - チーム友達 (Official Music Video)

 2021年末にKOHHとしての活動を引退した千葉雄喜。その後、文芸誌『文學界』(文藝春秋)でのエッセイ連載、Yan Sekuのデビューアルバム『NATURAL PUNKS』のプロデュースなどを手掛けてきた彼が、自身名義による初めての楽曲「チーム友達」をリリースした。ビートメイカー・Koshyによるトラップ系のトラック、〈チーム友達 チーム友達〉〈契り 契り 契り 契り〉というリフレインを軸にしたこの曲は、タイトル通り、友達・仲間への連帯を呼びかける楽曲。驚くほどラフな構成だが、中毒性のあるフロウによって一聴しただけで耳から離れない、というか、一緒に歌いたい気持ちを抑えきれない。北区・王子駅前の天丼店で大勢の仲間とともにシューティングされたMVの後半、ZORNがアップになるシーンも印象的。「チーム友達」は日本のヒップホップの新たな発火点になるのはまちがいない、と断言しておきたい。(森)

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