水曜日のカンパネラ、詩羽が伝えたメッセージとは? 現体制初の日本武道館単独公演

水曜日のカンパネラ、武道館ライブレポ

 4人を見送った詩羽は、ここで観客を座らせて長めのトークタイムを設けた。2代目としてセットリストに込めた思いやライブでアンコールを実施しない理由などをあらためて表明したのち、「私、真面目なMC苦手なんですよ(笑)」とおどけた様子も見せながら、彼女がステージに立つ意味についてぽつりぽつりと語り始める。「水曜日のカンパネラという活動が始まるまで、高校生の私はなかなか上手に生きることができなくて、生きてるのがツラかった。“もう死んじゃおっかな”と思った時期が本当にあったんですよ」と打ち明け、「なかなか愛がない生活をずっとしていたんですけど、この活動を始めて、みんなにバカみたいに愛されるようになっちゃって」と話したところで、思いがあふれるあまり声を詰まらせる詩羽。それでも気丈に務めて明るく振る舞いながら、噛みしめるように言葉を続ける。

水曜日のカンパネラ『日本武道館単独公演〜METEOR SHOWER〜』
photo by 興梠真穂

 「ステージに立ってみんなの前でいろんなことを言って歌ってると、みんながすごい愛を私にくださって。それが本当に本当に私にとってはかけがえない時間で。私の1分1秒を、明日を作ってくださるのは、ここにいるみなさんの大きな大きな愛のお力なので、あらためて本当にありがとうございますと伝えたいです。愛してまーす!」と満面の笑みで絶叫する詩羽に対し、客席は温かな声援と盛大な拍手で応える。

水曜日のカンパネラ『日本武道館単独公演〜METEOR SHOWER〜』
photo by 興梠真穂

 そして「自分の好きなものを好きだと言えるように、自分にとっての“普通”を大事にしていけるように、前に立って、闘って、少しでもよい社会にしていきたいなあと思っています」「どうかそんな私のことを見て一緒に毎日をがんばって、一日でも長く一緒に生きていけたら嬉しいなと思ってます。生きるぞ、みんな!」と力強く呼びかけたのち、「詩羽はあんたたちのおかげで元気になってるんです! あんたたちのおかげなんだからね! わかった?」とツンデレキャラのようなセリフを高らかに発し、詩羽はラストスパートをスタートさせた。

水曜日のカンパネラ『日本武道館単独公演〜METEOR SHOWER〜』
photo by 興梠真穂

 波を模した不思議な衣装をまとったダンサー隊と大漁旗を掲げる屈強な男たちが場内に散らばって披露された「マーメイド」、宝船に乗ったオオカミとともに客席を大いに盛り上げた「七福神」に続き、現体制の水カンをスターダムに押し上げたきっかけの一曲「エジソン」では〈蓄音機〉や〈活動写真〉といったフレーズで大合唱が巻き起こった。

水曜日のカンパネラ『日本武道館単独公演〜METEOR SHOWER〜』
photo by 興梠真穂

 この日のラストナンバーに選ばれたのは「招き猫」。ステージにはおなじみの巨大招き猫バルーンが運び込まれ、アリーナ上空には無数の金テープが大判小判のように景気よく乱れ飛ぶ。歌い終えた詩羽は晴れやかなえびす顔をたたえて「愛してるよー!」の言葉と深々としたお辞儀を全方位に向けて繰り返し、「また会おうね!」と満足そうに花道から舞台袖へと駆け抜けていった。

 日本武道館公演を経て、水曜日のカンパネラは6月5日に3rd EP『POP DELIVERY』を発売。また、7月からはZeppツアーを開催する。

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