SEKAI NO OWARI、Number_i、野田洋次郎、BREIMEN、Little Glee Monster、Eve……注目新譜6作をレビュー

BREIMEN「ブレイクスルー」

BREIMEN「ブレイクスルー」Official Music Video

 メジャー1stアルバム『AVEANTIN』のリードトラック。しなやかな疾走感に貫かれたバンドサウンドの軸を担っているのはファンクミュージック。ルーツ音楽に対する造詣の深さを感じさせながら、メンバーそれぞれの独創性を活かしたアンサンブルによって、“めちゃくちゃ気持ちよく踊れる”と“こんなの聴いたことない”を見事に一体化している。既存のフォーマットを踏襲するのではなく、そこを手掛かりにして脱構築的なサウンドに導いたこの楽曲は、〈こなしたい訳じゃない 感動したいだけ〉というパンチラインに象徴されるBREIMENの根本的なスタンスとも直結している。音楽的な言行一致と称すべき「ブレイクスルー」によって、このバンドは文字通り大躍進を遂げることになるだろう。(森)

Little Glee Monster「I Promise You」

「I Promise You 1MIC&1TAKE LIVE」-Little Glee Monster

 3月20日発売のアルバム『UNLOCK!』より先行配信。TikTok生配信での企画「視聴者の皆さんと楽曲制作プロジェクト」から生まれた一曲で、アンケートで集めた言葉を反映させた、まさに王道のバラードである。今後、結婚式の定番になることも想像できるし、この季節、卒業で離れてしまう友人に捧げる曲としてもハマりそうだ。合唱というリトグリの武器は「me」を「we」に変換できること。後半〈You're My Love〉を繰り返しながら、ハーモニーの幅をぐんぐん広げ、転調を挟んでさらに高みに上りつめる瞬間には、大切な人への想いが溢れ出す実感というのか、感動の相乗効果のようなものが確かに感じられる。このグループにしか出せない強みはここに。(石井)

Eve「インソムニア」

Eve「インソムニア」

 『映画 マイホームヒーロー』主題歌となる書き下ろし新曲。ギターのカッティングから始まる前半はいわゆるロック風だが、疾走感に乗るように、いや、小気味よく刻まれるビートを追い越すくらいの勢いで、言葉が溢れ出しメロディが乱高下するのが印象的。また、いわゆる一番が終わったあと、BPMもトラックも唱法も突然ヒップホップ風に変わるところは心底びっくりする。15秒ほど経てばギターの音が戻り、メロディはさらなる発展を見せていくが、明らかに違う複数のサウンドを当たり前に共存させるアイデアは通常の制作では思いつかないだろう。これぞタイアップ効果。人気のノンストップクライムサスペンス『マイホームヒーロー』に相応しい一曲が生まれた。(石井)

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