JUJU、マニアの域を超えたディープな昭和歌謡愛 豊かな歌唱に直結している歌詞への洞察力

JUJU、昭和歌謡への洞察力

 昭和歌謡は“大人の恋愛”が題材になりやすいのもひとつの特徴である。80年代のアイドルも、実年齢より少し背伸びをしたようなラブソングやままならない恋を歌うことが多かったように思う。恋愛の楽しさよりも、辛さを描いた歌詞がヒットソングとして多く残っているのは、スマホのない時代ゆえ、すれ違いが多かったせいもあるだろう。番組の後半では、すれ違いから生じた恋愛ソングの歌詞や主人公像に2人でつっこみまくりながら「昭和ラブソング ダメ男ダメ女」をランキング形式で発表。JUJUが1位に選んだのは沢田研二「勝手にしやがれ」。この曲のアンサーソングが山口百恵「プレイバックpart2」だったというトリビアも飛び出した(諸説あり)。彼女を追い出した男の歌「勝手にしやがれ」と、男の家を飛び出した女の歌「プレイバックpart2」。両者とも自分勝手な行動を経た後、最後には女性が男性の家に戻り「最後には2人で(男性の)家でツーマンショーを繰り広げたわけです」というJUJUのくだりにはテレビを観ながら個人的に大爆笑。しかし、JUJUはここで終わらず、「この2人が何があって喧嘩したのかを、私は知りたい」と発言。1曲の歌詞についてここまでイメージするだろうか。JUJUは、歌詞に登場する人物の心情をいかに理解するかはもちろん、理解するその行程まで大切にして、楽曲と対峙しているのである。オリジナル曲でもカヴァー曲でも、このスタンスは変わらないのだろう。豊富なイマジネーションと鋭い洞察力が、歌い手 JUJUの表現の一端を担っていることは間違いない。

 番組内で紹介された「ラヴ・イズ・オーヴァー」(欧陽菲菲)、「つぐない」(テレサ・テン)、「二人でお酒を」(梓 みちよ)、「恋におちて」(小林明子)は、『スナックJUJU ~夜のRequest~」で、そして「プレイバックpart2」(山口百恵)、「酔っぱらっちゃった」(内海美幸)は、最新作『スナックJUJU ~夜のRequest~ 「帰ってきたママ』』で、JUJUの歌声で聴くことができる。番組で明らかになったJUJUの昭和歌謡への愛を想像し、振り返りながらじっくり聴いてみるのも良いだろう。

JUJU 『ラヴ・イズ・オーヴァー』Music Video(Short Ver.)
JUJU 『なごり雪』 Music Video

 先日、約3年ぶりとなる全国アリーナツアー『JUJU 20th ANNIVERSARY ARENA TOUR 2024 「YOUR REQUEST」』(全9カ所11公演)、約11年ぶりのフルオーケストラコンサート『billboard classics JUJU 20th ANNIVERSARY PREMIUM CLASSIC CONCERT 2024』(全2カ所4公演)、2011年から毎年恒例となっているBLUE NOTE TOKYOでの『JAZZ LIVE』(11月開催予定。詳細・日程は後日発表)と、2024年のライブが一斉に発表となった。上述してきたような、JUJUの幅広く、奥行きの深い表現を堪能できる1年になりそうだ。

■リリース情報
カヴァーアルバム『スナックJUJU ~夜のRequest~ 「帰ってきたママ」』
配信リンク:https://smar.lnk.to/0Vlapr
<収録曲>
1.あゝ無情
2.異邦人
3.魅せられて(エーゲ海のテーマ)
4.飾りじゃないのよ 涙は
5.ダンシング・オールナイト
6.じれったい
7.メモリーグラス
8.酔っぱらっちゃった
9.ドラマティック・レイン
10.たそがれマイ・ラブ
11.別れても好きな人
12.プレイバックpart2
13.いとしのエリー
14.なごり雪
15.時の流れに身をまかせ

カヴァーアルバム『スナックJUJU ~夜のRequest~』
配信リンク:https://smar.lnk.to/c9JjFL

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