ヤングスキニー かやゆー×戦慄かなの、音楽を信じて進む独自の道 初共演で覆ったイメージ

ヤングスキニー かやゆー×戦慄かなの 対談

「嘘をついて『お前らのために』とか言っても伝わらない」(かやゆー)

――お二人は楽曲やMVなどを制作するにあたり、何かをインスピレーションのもとにしたり、そのためにインプットをしたりしますか?

かやゆー:いや。それこそ自分は何も考えずに生活しているだけです。作る曲も、基本的に誰かを勇気づけるためではなくて、自分のために歌っているもの。シンプルに自己顕示欲が強いんで、自分のことを見てもらうために音楽を作ったら、たまたま共感してもらえたという感じで。本当に自分の身の回りのことしか歌にできない。だから今までの歌詞を見返すと「この曲を作ったときの自分はこういう感じだった」とか「こういう心情だったときにこういう曲が書けたのか」と思います。

戦慄:私は、インプットはすごく必要だと思っていて。インプットがないとやりたいことがわからなくなる。そういう意味で、ずっとアウトプットが続いて、インプットがなかったので今はお休み(活動休止)しているんです。インプットの方法としてはYouTubeでいろんな国の音楽を観たり聴いたりすること。あの……今は音楽を聴くのがすごく苦痛なんですよ。でも全然知らん国の音楽だったらしんどくならずに聴けるから、そういうものを聴く毎日です。

――特に気に入っているものやオススメはありますか?

戦慄:どこの国の方かわからずに聴いてるんですけど、Tommy Cashさんというアーティストがいて(エストニアのラッパー・シンガー)。私は音楽も好きですが、映像も好きだし、映像のための音楽ってあると思っていて。この方もそう。面白くて見ています。

かやゆー:羨ましいですね。僕、悩みがないんですよ。例えばバンドマンでも、友達が死んじゃってそいつのギター使って、そいつのために音楽をやっているヤツとかいて。戦慄さんみたいに「アウトプットばっかりだったから、インプットのために活動を休止する」とかもそうですけど、そういう悩みがあるのが羨ましい。そういう悩みがあったほうが誰かに刺さる音楽が作れると思う。だからそういう人を見るとめっちゃ羨ましいなって思うんですよ。

戦慄:でも、そういう人にはそういう人にしかできないものがあるんじゃないですか。しかもヤングスキニーはそれでいて、作るものが一辺倒になっていないし。ラッキーだよ!

かやゆー:だったらいいんですけど……まぁ、ないものねだりですよね。

――「悩みがない」という悩みが、この先、曲になったり、ヤングスキニーの軸になっていったりするかもしれないですし。

かやゆー:じゃあそういう曲作ります。

戦慄:いやいや(笑)。

かやゆー:でも結構そうやって曲ができることって多くて。別にこれを曲にしようと日頃から思っているわけじゃないけど、話していて「ああ、確かに」と思ったことを、曲を作るタイミングでふと思い出して歌詞にするみたいなことが。だから自分のそのときのリアルな心情が曲に表れるのかなと思います。

――先ほど戦慄さんが、音楽だけでなく、映像との融合も楽しんでいるとおっしゃっていましたが、戦慄さんはMVやライブも含めて、音楽を“見せるもの”だと思っているのかなと思いました。

戦慄:そう。私は自分の目標に「ディズニーランドになる」というのがあって。人を楽しませたり、人をワクワクさせたりしたいんです。自分は出役じゃなくてもいいんじゃないかなと思うこともあるし、音楽もそのための1つという感じです。

――かやゆーさんはライブに対してはどのような意識でやっていますか?

かやゆー:僕は、ライブでも別に誰かのために歌っているつもりはないって正直に言っちゃっています。本当に思っているんだったらいいけど、嘘をついて「お前らのために」とか「誰かを救うために歌いに来ました」って言っても伝わらないし、カッコよくないなって思うんで。相手がどう思うかはわからないけど、僕は正直に言って、それでもいいと思ってくれる人に刺さればいいかなって。音楽もライブも、素で正直に、嘘つかずにやっているつもりです。

戦慄:そう! かやゆーくんと一緒にやって印象が変わったところはそこ! こういう音楽をしていたら、もっとファンに媚びたりしていても良さそうなのに、めっちゃ素直でサバサバしてる。思ってもいないことは言わない。媚を売らない。それがカッコいい。そこが好き!

かやゆー:ありがとうございます。最初の頃はMCで「みんなを救って帰ります」とか言ってたんですよ。だけど、ふと「ダッセーな」と思って。「お前らのために歌ってない」とか言うけど、だからってファンに感謝してないってことではないじゃないですか。そこは別物だと思っていて。それが伝わらない人にはいろいろ言われることもあるけど、「何も伝わってないんだな」としか思わない。自分のために書いた音楽を歌ってるわけだから、誰かを救うつもりはない。それでたまたま誰かが救われたんだったら嬉しいけど、変に嘘をついたら逆に誰にも刺さらないと思うし、素でいるのが一番いいのかなと思ってやっています。

戦慄:変に幻想を抱かせていないじゃん。かやゆーに恋して音楽を聴いてもらうんじゃなくて、純粋に音楽を聴いてほしいからそういうふうにいられるってことでしょ? それって誰でもできるわけじゃないと思う。だからそれができるのがカッコいい。ちゃんとヤングスキニーの音楽を好きなファンが残りますもんね。それで人気があるから素晴らしい!

かやゆー:このインタビュー、気持ちいいっすね(笑)!

「ライバルはどこかと聞かれたら“すべて”」(戦慄)

――ヤングスキニーは先日、ヤバイTシャツ屋さんのツアー(『“BEST of the Tank-top” 47都道府県TOUR 2023-2024』)に呼ばれ、それが初の他バンドのツアーゲスト出演でした。お二人は、同世代のバンドやアーティストの存在はどのように見ていますか?

かやゆー:ねぐせ。のりょたちとは、お互いバンドを組む前に弾き語りをしていて。同じような時期にバンドを組んで、同じような時期にフェスに出始めたので、勝手にライバルとは思っているんですけど、オフの日に飲みに行く友達でもあって。新曲を聴かせてもらっていい曲だったりすると、心のどこかでは悔しいと思うけど、リスペクトもある。でもそういう存在のバンドが他にはそんなに多くはなくて。友達もバンドも、深く狭くで生きていますね。面識がないバンドに対しても「このバンド、俺らが出てないフェスに出てる」と思って悔しくなることはありますけど……そもそも言ってしまえば、あんまりバンドで売れたい欲がないんですよね。バンドを組んだ理由も、音楽を一人じゃなくて誰かとやりたいと思ったからで。大きな会場でライブをやりたいというのが目標ではないですし、他のバンドを見て多少は悔しいと思いますけど、「まぁしょうがないか」と思っています。

戦慄:私は私でちょっとマイウェイすぎると言いますか。アイドルと名乗っていますけど、アイドルからはアイドルと思われていないですし、かと言って、アーティストでもないですし。ファンも、アイドルが好きな人もいれば、アニソン、歌い手さんが好きな人もいて。そもそも自分が何枠なのかわかっていないし、“界隈”もなければ、横の繋がりもない。それが快適だし、ライバルはどこかと聞かれたら“すべて”です。私も「どこに立ちたい」とか目標があんまりなくて。大人には「目標を決めないと」って言われるんですけど、明確に「これに出たい」とか「これがやりたい」とかなくて。よりいろんな、より多くの人に曲を聴いてもらいたい。そのために活動しているという感じです。

――ヤングスキニーは3月13日にメジャー2nd EP『不器用な私だから』をリリースされます。3月からワンマンツアー『“老いてもヤングスキニーツアー vol.3” 2度あることは3度ある編』、5月には東京&大阪の野音でワンマン(『ヤンスキ春の野音祭り』)が控えていますが、今後の目標はどのように考えていますか?

かやゆー:目標を立てるのは嫌いで。面倒くさいし、達成できなかったときに嫌じゃないですか。だから目標はマジでないんですけど、やりたいのは、地元の市民会館でのライブ。

戦慄:地元、どこ?

かやゆー:山梨です。僕が通っていた中学・高校の卒業生にフジファブリックのボーカル(志村正彦)がいて。亡くなる1年前くらいにフジファブリックが富士吉田市民会館(ふじさんホール)でやっていたライブ映像をよく観ていたんです。だから僕らもそこでやりたいなって。大きな会場でライブをするよりも、思い入れのあるところでライブをしたいですね。

――戦慄さんは今後のヤングスキニーに期待することは何かありますか?

かやゆー:FRUITS ZIPPERに楽曲提供(笑)?

戦慄:あー、それは楽しみですね! アイドルに関わらず、楽曲提供だったり、今回みたいなフィーチャリングだったりは見てみたい。誰を選ぶのかも気になるし。その理由を、直接聞かずに考察したいです(笑)。

ヤングスキニー「ベランダ feat. 戦慄かなの」ジャケ写
「ベランダ feat. 戦慄かなの」

■リリース情報1
配信Single「ベランダ feat. 戦慄かなの」
2024年2月14日(水)リリース
配信URL:https://jvcmusic.lnk.to/ys_Veranda

■リリース情報2
ヤングスキニー
メジャー2nd EP『不器用な私だから』
2024年3月13日(水)リリース
・初回限定盤(CD+DVD)¥3,500+税
・通常盤(CD)¥2,000+税
・VICTOR ONLINE STORE限定セット(初回限定盤+オリジナルグッズ):¥5,000+税
・VICTOR ONLINE STORE限定セット(通常盤+オリジナルグッズ):¥3,500+税
予約URL:https://jvcmusic.lnk.to/ys_2ndEP

<収録曲>
M1.雪月花
M2.ベランダ feat. 戦慄かなの
M3.恋は盲目
M4.精神ロック
M5.別れ話 (2024 ver.)

<DVD収録内容 ※初回限定盤に付属>
・『“老いてもヤングスキニーツアー vol.2” vol.2あったんだ編 Live at Zepp Shinjuku(TOKYO)』
ライブ映像およびツアードキュメンタリー(97分収録)
1.愛の乾燥機
2.ヒモと愛
3.ゴミ人間、俺
4.本当はね、
5.らしく
6.精神ロック
7.バンドマンの元彼氏
8.ごめんね、歌にして
9.東京
10.8月の夜
11.憂鬱とバイト
En.ロードスタームービー
・Documentary of “老いてもヤングスキニーツアー vol.2” vol.2あったんだ編

ヤングスキニー Official HP

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