FAKE TYPE.が『FAKE SWING 2』で広げた音楽性 DEMONDICE、缶缶ら迎えたツアーファイナル
TOPHAMHAT-KYO(MC/ラッパー)、DYES IWASAKI(トラックメーカー)によるFAKE TYPE.が『FAKE SWING 2 Release tour』のファイナル公演を東京・Zepp Shinjukuで開催した。
昨年11月にメジャー2ndアルバム『FAKE SWING 2』をリリース。“エレクトロ・スウィング×ラップ”スタイルをさらに発展させると同時にDEMONDICE、青妃らめ、nqrse、缶缶、花譜をフィーチャーするなど、自らの音楽性を大きく拡大させた。
キャリア最大規模となったこの日のライブには、DEMONDICE、缶缶が登場。映像・VJを取り入れた演出、オーディエンスとの強い一体感を含め、独創的かつ熱狂的なステージを繰り広げた。
和のイメージを携えたSEとともにTOPHAMHAT-KYO、DYES IWASAKI――“偽型”と書かれた和傘の後ろに隠れている――さらにサポートギタリストのJohngarabushi、映像とVJを担当する野良いぬが登場。TOPHAMHAT-KYOとDYES IWASAKIが姿を見せると、フロアを埋め尽くしたオーディエンスが大きな歓声を上げた。オープニングは彼らのアンセムのひとつである「真FAKE STYLE」、そしてアルバム『FAKE SWING 2』の収録曲「魔崇華麗奴」。ジャズ、民俗音楽、電子音楽を融合させたトラック、超高速&超ポップなラップが炸裂し、いきなり心地好い高揚感が広がっていく。楽曲の世界観や歌詞のメッセージを際立たせるVJも楽しい。
メンバー自身も「すごいな、この人の数!」(TOPHAMHAT-KYO)、「高まるね!」(DYES IWASAKI)と冒頭からテンション上がりっぱなし。「前回と違って、今回は声出しOK。みなさん最後までよろしくお願いします!」(TOPHAMHAT-KYO)と煽った後も『FAKE SWING 2』の収録曲を連発。DYESがフックを歌い、サックス演奏を披露した「FAKE SOUL」、“床屋”と“SNSにおける言葉の切り取り”を重ねた「BARBER SHOP feat.青妃らめ」。音楽性の広がり、現代社会とリンクした歌詞の鋭さをダイレクトに体感することができた。
そして「ウタカタララバイ」へ。映画『ONE PIECE FILM RED』に提供した楽曲のセルフカバーだが、この曲がFAKE TYPE.躍進の大きな要因になったことはまちがいない。赤いペンライトが輝くフロア、TOPHAMHAT-KYOのエモーショナルな歌声はこの日のライブにおける最初のハイライトだった。
ここで約10分のインターバルを挟み(「FAKE TYPE.のマニアッククイズ」をテーマにした映像が流れました)、ゲストを招いたコーナーへ。まずはDEMONDICEが登場し、「Toon Bangers feat.DEMONDICE」。和テイストのトラックと英語のラップが共鳴し、ジャンルと国境を超えた音楽空間が生まれる。
DEMONDICEはFAKE TYPE.のファンであることを公言(結成当初のインストアライブをアメリカから観にきたのだとか)。「Yummy Yummy Yummy」のMVをファンアート的に制作するなど、交流を重ねてきた。今回のツアーに参加したことは、彼女にとっても夢の実現だったというわけだ。続く「ツキ feat.DEMONDICE」では、観客にスマホのライトを照らすように促し、ミラーボールの光とともに幻想的な雰囲気に。抒情的なメロディが響き合うシーンも心に残った。
さらに歌い手・缶缶が登場。まずは「不夜城 feat.缶缶」を披露し、彼女のパワフルなハイトーンが広がっていく。全身を使って表現する躍動感、積極的にオーディエンスのコミュニケーションを取る姿も印象的だ。
“缶缶×FAKE TYPE.”名義の「Bloody Mary」をはじめ、これまで何度もコラボを重ねてきた両者。続いてパフォーマンスされた「Honky Tonky Night feat.缶缶」は、初めてFAKE TYPE.側から缶缶を招いた楽曲だ。中音域を活かしたメロディ、“夜に憧れる少女”を主人公にした歌詞と彼女の声のマッチングも見事。レアなコラボレーションを目撃できた観客はもちろん、約4年ぶりの生のステージだったという缶缶にとっても貴重な機会になったはずだ。