YOASOBI、米津玄師、Ado、LiSA……海外ヒットに欠かせないアニメとの親和性 藤井風らの人気に見るJ-POPの現在地も

 国内のみならず海外にまで広く届くJ-POPが増えつつある。現在その筆頭はYOASOBIの「アイドル」だろう。楽曲公開時から話題を集め続け、国内・海外問わずに人気を博した結果、6月10日付の米ビルボード「Billboard Global Excl. U.S.」チャートで首位を獲得した。この記録は日本語楽曲にとって初の快挙であるが、偶発的なものではない。

 2022年、Spotifyの海外で最も再生された国内アーティストの楽曲ランキングでは「夜に駆ける」が2位、海外で最も再生されたアーティストのランキングではYOASOBIが1位で、YOASOBIは海外で着実に支持を集めつつあった。「怪物」(『BEASTARS』第2期OPテーマ)や「祝福」(『機動戦士ガンダム 水星の魔女』OPテーマ)といったアニメタイアップ楽曲で再生数を積み重ねつつ、放送前から注目度の高かったアニメ『【推しの子】』のオープニング主題歌「アイドル」が作品の後押しもあり、見事にヒットした形と言える。

YOASOBI「アイドル」 Official Music Video

 グローバルでも注目度の高いK-POPオマージュを取り入れつつ、J-POPらしい明快なサビが炸裂するこのカオスなバランス感を持つ「アイドル」。『【推しの子】』というあらゆるジャンルがミックスされた作品のカラーとも合致し、高い親和性とともに広く支持されたのだろう。

 現代においてJ-POPが世界を見据える上でアニメタイアップの効果は見逃せない。例えば米津玄師。国内ではすでに言わずと知れたビッグアーティストであるが、世界にその名を知らしめたのはアニメ『チェンソーマン』のOPテーマとなった「KICK BACK」であった。

米津玄師 Kenshi Yonezu - KICKBACK

 危ういダークさとエッジーなサウンドは作品の世界観を見事に体現し、高い支持を得た。その結果Spotifyで“世界で最も再生されている楽曲”を示すデイリーランキング「トップ50-グローバル」にて、2022年10月13日付で47位にチャートイン。これは国内アーティスト初の快挙であり、「Billboard Global 200」では13位、「Billboard Global Excl. U.S.」では4位を記録した。

 またAdoはウタ名義でリリースした「新時代」が昨年8月11日にApple Musicでグローバルデイリーチャート1位を記録。映画『ONE PIECE FILM RED』の主題歌という注目度の高さがチャートアクションに起因したのであろう。

【Ado】新時代 (ウタ from ONE PIECE FILM RED)

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